【GT300】34号車の第2戦富士は、マシントラブルのため26位でフィニッシュ
開幕戦はあいにくの大雨に見舞われ、約半分で赤旗終了となってしまったSUPER GT。約2週間ちょっとのインターバルを経て、第2戦が行われた。もはやゴールデンウィークの富士スピードウェイといえば、SUPER GT第2戦というのは恒例になっているが、今年は10連休の真っ最中ということもあって予選日から大勢の観客が詰めかけた。
開幕前に行われた公式テストにおいても好調さを見せていた34号車Modulo KENWOOD NSX GT3は、悲願の初優勝を目指してサーキット入り。土曜日の午前中に行われた練習走行から、タイムボードの上位に名前を刻み続ける。
Q1を担当したのは道上 龍選手。開幕戦とはオーダーを入れ替える形となったが、1分37秒357をマークしてQ2へ進出。大津弘樹選手へとマシンを託した。
富士スピードウェイにはいい印象を持っているという大津選手。時間の経過とともに気温および路面温度が下がり、またGT500マシンほかのラバーがコース上に載ったこともあってグリップが高まり、1分36秒775までタイムアップ。しかしライバル車両はさらにタイムを上げ、GT300の予選上位争いは1分36秒フラットを巡る戦いに。唯一の1分35秒台を叩き出した56号車がポールポジションを獲得した。
とはいえ、翌日の決勝日は高確率で雨予報となっており、もし予報通りの雨となった場合は通常時ほど予選順位は意味をなさない。ピットに戻ってからも雨天時のセットを前提としたミーティングが続けられていた。
迎えた決勝日。富士スピードウェイは前日以上に大勢の観客が訪れ、周辺道路は朝から大渋滞となるほど。しかし、そんな観客の熱気と反比例するかのように天気は下り坂で、正午を過ぎるころには空は暗くなり、グリッドウォークが終了する14時すぎから大粒の雨が落ち始める。そのため主催者からウェット宣言が出され、多くのマシンがコース上でレインタイヤへと交換を行った。
レースはセーフティカー(SC)先導でスタート。今回の第2戦は500kmのレース距離で争われ、2度のピットストップが義務付けられる。そのため走行(スティント)は3つとなり、スタートの第1スティントを担当したドライバーが第3スティントも走ることとなる。34号車のスタートドライバーは大津弘樹選手。SCは2周目を終えるタイミングでコースから外れ、3周目からいよいよグリーンフラッグとなった。
富士にはいいイメージを持っているという言葉どおり、コースの各所に川が出現するようなウェットコンディションのなか大津選手は抜群の走りを見せ、8番手スタートからほぼ1周おきに前走者をパス。ついに表彰台圏内の3位までポジションを上げる。しかし雨足はさらに強まり、13周目には再びSCが導入される。
このSC導入中に、他マシンがスピンを喫してしまうほどコースコンディションは悪化し、ついに赤旗が出されてレースは中断。開幕戦と同じような光景となったが、約30分後に天候は回復。雨が小康状態となったことでレースが再開される。なお、中断中はタイヤ交換を行うことは認められていないため、全車がレインタイヤのままだ。
雨はやがて止み、路面はウェットから徐々にドライへと変化し始めると、34号車はペースが上がらなくなる。タイヤのグリップ発動温度レンジの違いか、他社タイヤを装着する車両たちのペースについていけずに順位を下げてしまう。そこで当初のルーティンより早めにピットイン、道上選手へとドライバー交代を行った。
この時点では空にはまだ雲が残っており、雨が再び降りだすかどうかは微妙な状況。そのためチームはレインタイヤへの交換を選択する。しかし結果的に、この判断がレースの結果を大きく左右することとなった。
他マシンに先駆けてピット作業を行った34号車だが、空は明るさを増し、路面はさらに乾いていく。レコードライン上はドライ路面も見えるようになり、通常タイミングでピット作業を行ったチームは、レインタイヤからスリックタイヤへと交換を行った。34号車もたまらず再度ピットインしタイヤ交換を行うものの、大きくタイムロスをしてしまう。
これで一時は20位以下にまで順位を落としてしまった34号車Modulo KENWOOD NSX GT3だが、スリックタイヤへと履き替えた道上選手が追い上げを開始する。そして16位まで順位を回復させ、再び大津選手へとドライバーチェンジ。
マシンを託された大津選手も快調にラップを刻んでいたが、走行中に突如シフトダウンができなくなるトラブルに見舞われてしまいピットイン。NSX GT3はステアリング背後に備えられたパドルによりシフトチェンジを行うが、それに反応しなくなってしまったとのこと。
メカニックが総出で作業にあたるが、レース中では原因究明に至らずそのままチェッカー。規定周回数には達していたため、26位完走扱いでフィニッシュとなった。
次戦第3戦は、5月25日-26日に鈴鹿サーキットで開催される。
(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)