【S耐】最終戦を残し、Modulo CIVIC TCRがチャンピオン!
2018年9月は2週連続の3連休。その2週目となる9月22〜24日の3連休のうち、土日の2日間でピレリスーパー耐久シリーズ第5戦がツインリンクもてぎで開催された。
7月中旬に開催された第4戦(オートポリス)から2カ月ぶりの開催となった第5戦。季節はすっかり秋の装いとなり、朝晩は上着が欲しくなるほど。しかし日中の日差しはまだ暑さを感じるときもあるという気温のなか、全8クラスに計48台がエントリーして行われた。
注目のST-TCRクラスは、シリーズランキングトップを快走する97号車Modulo CIVIC TCR(植松忠雄/中野信治/大津弘樹/小林崇志組)がチャンピオン獲得に王手をかけて迎える一戦となった。
9月22日に行われた公式予選はA、Bドライバーのタイム合算で争われ、ST-TCRクラスは98号車のFLORAL CIVIC TCR(飯田太陽/加藤寛規/石川京侍組)が予選クラス2位を獲得。
いっぽう97号車Modulo CIVIC TCRは、ウェイトハンデと吸気制限に苦しみ、クラス8位となった。
そして迎えた5時間耐久レースの決勝日、ツインリンクもてぎの空には灰色の雲が浮かび、長丁場のレース中にはもしかしたら雨があるかも…いう状況。しかしレースが進むにつれ時おり晴れ間ものぞくほどで、レースは終始ドライコンディションで行われた。
97号車Modulo CIVIC TCRのスタートドライバーは、大津弘樹選手が担当。シリーズランキング2位につける98号車の結果次第では、必ずしも上位でなくともチャンピオンが決まる状況ではあったが、スタート直後からハイペースで前をいくマシンを追いかけ、順位を次々に上げていく。
大津選手は90分間の連続走行を行い、クラス3位まで順位を上げることに成功。そして2番手の植松選手にドライバーチェンジを行った。
このピットインでは、フロントタイヤのみ2輪を交換しピットアウト。前述のようにウェイトハンデも背負っている97号車のドライバーは、速さだけでなくブレーキやタイヤを労わるドライビングも求められる。
そして第3スティントは、中野選手が担当。基本的にフロントタイヤはピットインごとに交換し、リアタイヤは2スティントごとに交換するレースプランのため、ここでは前後とも4輪のタイヤ交換を行った。ニュータイヤを得た中野選手は好タイムを連発し、トップを快走する98号車を追う。
しかし前回の第4戦で優勝している98号車は、この第5戦でも好調を維持。レースウィークに入り、マイナートラブルに悩まされていた97号車とは対照的に、トラブルもなくここまで完璧なレースを披露。
97号車も同一周回には追いすがるものの、決定的に差を詰めることはできず、98-97というCIVIC TCRのワンツー状態が形成されたまま、レースは終盤に突入する。
中野選手の後を受け、最後のスティントを担当する小林選手は、フロントタイヤのみを交換してピットアウト。トップを走る98号車は同一周回ながら約30秒ほどの差があるが、好タイムを連発して間隔をどんどんと縮めていく。しかし残念ながら追いつくまでは至らず、98号車はそのままクラストップでチェッカー。そして97号車はクラス2位を獲得した。
98号車と97号車の2台のCIVIC TCRは、第4戦オートポリスに続いてワンツーフィニッシュを達成。決勝2位表彰台を獲得した、97号車Modulo CIVIC TCR(植松忠雄/中野信治/大津弘樹/小林崇志組)は、最終戦を待たずして今シーズンのST-TCRクラス・シリーズチャンピオンを獲得した。
4名のドライバーで参戦した97号車Modulo CIVIC TCRだが、なんと中野信治選手と大津弘樹選手は、4輪レースにおいて初のシリーズチャンピオン獲得となった。F1やインディカー、ルマン24時間にも参戦した中野選手がこれまでシリーズチャンピオン未経験だったとは意外だが、このスーパー耐久ではどんな状況でも着実に順位を上げる、ステディかつスピードのある走りはサスガのひとこと。
そして若武者の大津選手は、この日も約90分というロングスティントを担当。前週に行われたSUPER GT第6戦(SUGO)でも、終盤に驚異的な追い上げを見せる走りを披露しただけに、今後がますます楽しみなドライバーだ。
次戦の最終戦は、11月3日~4日に岡山国際サーキットにて開催される。今回のレースでシリーズチャンピオンを獲得した97号車Modulo CIVIC TCRだが、最終戦は『チャンピオンにふさわしい走り』をしたいとのこと。
小林崇志選手コメント
「金曜日の練習走行と土曜日の午前中までずっとウェットコンディションで、予選はなんとかドライで走れました。なのでほぼぶっつけに近い状況で、ウェイトハンデも大きいし、決勝レースも自分たちのペースで走ることを何より重視しました。前半を担当した大津選手と植松選手が順位を上げてくれたので、ピットも非常にいい雰囲気でした。僕は最終スティントを担当しましたが、ブレーキは厳しかったですけどリアタイヤはまだ残っていて、マシンはすごく乗りやすかったので見せ場を作ろうと(笑)プッシュして走りました」
「次戦の最終戦、僕自身は走りませんがチームには帯同します。シリーズチャンピオンを獲得して、最後に表彰台を逃したのではカッコがつかないので、必ず優勝してシーズンを終えたいですね。そのためにできることをしっかりサポートして、チーム全員で笑いたいと思います」
(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)