デトロイトGPレース2はハンターレイが久しぶりの美酒
デトロイトGPのレース1でスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)に惜しくも敗れ、2位となったライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)だったが、レース2でも前日と同じ3ストップ作戦を選び、レース1以上に研ぎ澄まされた走りでアレクサンダー・ロッシを猛追。
2ストップでの逃げ切りを狙った若いチームメイトにプレッシャーをかけ続け、ミスを犯させた。ロッシがコースを飛び出したことで目の前が開けたハンター-レイは、2015年の8月以来となる優勝へと突っ走った。
2012年に年間4勝を挙げてチャンピオンになったハンター-レイは、2014年にはインディ500でも優勝している。今回、彼はデトロイトGPレース2で久しぶりの勝利の喜びに酔いしれた。
「もちろん、またインディ500で勝ちたい。それは大きな目標で、来年また挑戦する。今は2018年シーズンに集中し、二度目のシリーズタイトルを獲りたい。2012年に僕は3連勝を記録し、シーズン終盤に1勝を加えてチャンピオンになった。その再現を目指す」と、強い意気込みを語った。
早いもので、今回のデトロイトGPはシリーズの7、8戦目となる。全17戦で争われるシーズンの、ほぼ折り返し点まで来ている。そのデトロイトGPでは、レース1がディクソン、レース2はハンター-レイが勝った。いずれも今季初勝利だった。残り11戦は果たしてどのような展開になって行くのだろう。まださらにウィナーの数は増えそうだ。
デトロイトGPではアンドレッティ・オートスポートの強さが目立ち、その前のインディ500まで最強と映っていたチーム・ペンスキーにはまるで存在感がなかった。結果だけ見ればウィル・パワーがレース2で2位フィニッシュしてポイント・ランキングのトップに返り咲いているが、ペンスキーの3人は、デトロイトGPでは優勝争いに一切絡んで来なかった。
昨シーズンから若いロッシにプラクティスや予選、決勝で上位のポジションを取られることが多くなって来たハンター-レイは、チームのリーダーとしての座が実は危うくなっていた。不振が続けばチームはロッシ中心で回り始める。それをデトロイトでの勝利で彼は食い止めた。
2020年までの長期契約をチームと結んでいるハンター-レイだが、速くなくなればドライバーは居場所はなくなる。しかし、ハンター-レイはマシンを作り上げ、操る能力、レース中のバトルでの強さに大きな自信を持っている。その上で優勝、チャンピオンシップ獲得にかける想いにおいても彼は誰にも負けない。自身の才能と実績に対するプライドも高い。
パワー、ロッシ、ディクソン、ハンター-レイ、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)、今後はポイント争いがますます熾烈になるだろう。次戦は高速オーバルのテキサス。ハンター-レイのアグレッシブな戦いぶりが楽しみだ。
まだ依然として勝ち星はロッシの方がひとつ多く、ポイントスタンディングでも彼の方が上。デトロイトで掴んだ勢いを活かし、チャンピオン争いに食い込んで行くためにも、連勝もしくはそれに近い成績が欲しいところだ。
そしてテキサスでは、今回のデトロイトGPで奮わなかったチーム・ペンスキー勢が、インディでのようなスピードを取り戻せるかにも注目が集まる。
(text:Hiko AMANO 天野雅彦)
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