デトロイトのレース1はホンダがTOP6を独占!!!
インディ500の翌週末は、デトロイトでのダブルヘッダー……というのが今や定着している。世界最大のレース=インディ500の余韻を引っ張って、アメリカにおける自動車文化発祥の地といえるモーター・シティへ乗り込む。
サーキットはインディが超高速オーバルだったのに対し、デトロイトはベル・アイル・パークというストリートコース。これはインディカーならではだ。どんなコースでも速いドライバーにこそチャンピオンの資格あり……というコンセプトがよく現れている。
デトロイトのレースはダブルヘッダー。つまり土曜日がレース1、日曜日はレース2とそれぞれ決勝レースが行われる。レース1の予選は全エントリー車を2グループに分け、12分ずつ思い切りアタックさせるもの。
レース1用の予選では、グループ1でスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)がトップ。グループ2ではマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)がトップだった。
このふたりのうち、タイムの速かったアンドレッティがポールポジション(通算5回目)を獲得。ホンダとデトロイトは非常に相性が良い。今年の予選でもトップ5を独占した。
去年のデトロイトはグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が2レースともに優勝した。佐藤琢磨もレース2用の予選でポールポジションを獲得した。琢磨は2014年にもPPを1回獲っており、2015年は2位で表彰台に上っている。ベル島内に特設されるサーキットを得意としているのだ。
チームも、チームメイトも、琢磨本人も強いコースとなれば好成績が期待されて当然だが、グレアムは金曜の順位が6番手と今一つ。琢磨の方はプラクティス2回ともにブレーキにトラブルがあってマシンを思うように仕上げ切れず、12番手とスロー・スタートになってしまった。
しかし、予選で琢磨が躍進! グループ2で4番手に食い込み、スターティンググリッドは7番手をゲット。グレアムもグループ1で奮闘して4番手。琢磨の隣りの8番グリッドからレースに臨むことになった。
そして、土曜日の午後にはもうレース1の決勝。ポールからマルコがキャリア3勝目に向かって逃げる。しかし、1回目のピットストップを利用してディクソンがトップを奪った。そして、その先は危なげない走りでゴールまで突っ走った。
予選5位だったライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)が3ストップ作戦を成功させてディクソンに猛チャージしたが、4回チャンピオンになっているディクソンはプレッシャーをかけられてもミスを犯すことなく、今期初勝利を飾った。インディカー歴代3位タイにマイケル・アンドレッティと並ぶ42勝目だ。
「シーズン初勝利はいつでもうれしいもの。今日はマシンも最高だったし、チームも作戦、そしてピットストップで素晴らしさを発揮してくれていた。チームの総合力で優勝を掴み取った」とディクソンは喜んでいた。
2位はハンター-レイで、3位はチームメイトのアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)が入り、ホンダは表彰台を独占! その後ろの4、5、6位もマルコ、佐藤琢磨、エド・ジョーンズ(チップ・ガナッシ・レーシング)の順で、ホンダはシボレーの地元デトロイトでトップ6を占め、インディ500で敗れたリベンジを果たした。
琢磨は終盤にマルコにチャージ。パスはならなかったが、前日のトラブルを考えれば今季初のトップ5=今季ベストリザルトはうれしい。今年は開幕戦から不運やトラブルが多いので、これをキッカケにコンスタントに上位で戦うことになるといいのだが……というレースになったデトロイトの1戦目だった。
ゴールの後に琢磨は、「最良の1日までにはなっていませんでしたが、しっかり結果を残せたと感じています。大きな期待を持って臨んだレースですが、苦戦しました。初日はマシンにトラブルがありましたが、そこからよく挽回をしたと思います。明日の予選は力強く戦えるでしょうし、いいマシーンに仕上げて決勝を走りたいと思います」と語った。
(text:Hiko AMANO 天野雅彦)
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