【TAS18】ホンダアクセスが製作した、コーナリング最速のS660スピードスター!!【Modulo】
東京オートサロン2018のホンダアクセス・ブースには、これまで紹介した「CHUMS仕様N-ONE」「Re:Z」「オデッセイ・クロスクルーザー」「バーバパパ仕様N-BOX」などが展示されていたが、全体がウッディ調でまとめられたブースの一角に、明らかに雰囲気の異なるクルマが飾られていた。
アスファルトを思わせるフロアをはじめ、壁面には工具やレーシングスーツが飾られるなどレーシングガレージの雰囲気を思わせるブースに飾られたのは、S660をベースにしたレーシングカー。それもただパーツを交換・装着したというのではなく、ボディを大幅に加工するなど思い切った作業がなされたマシンである。
ボディサイドに貼られた665のカーNo.が示すように、このマシンはホンダアクセス社内のモータースポーツ部活動メンバーが、2017年のK4-GP・500km耐久に出場するべく制作したレース車両。業務外の時間を使うなどして制作された、いわば「クラブ活動」の成果である。しかしその内容は車体だけでなくエンジンにも強烈に手が入れられるなど、流石のメーカークオリティといった仕上がりだ。
コンセプトは『最強の軽自動車を作ろう』で、車重666kg/パワーウェイトレシオ6kg/ps台を達成すべく、ボディを大胆にカットするなどのシャシーチューニングや、専用デザインの前後バンパーを装着。リアウイングは市販品を使用する。エンジンはタービンやインタークーラーを交換するなどパワーアップが図られている。
純正形状のドアはドライカーボン製。内部のガラスも除去されており、開閉は驚くほど軽い。運転席はフルバケットシートに換装され助手席はない。フロントウィンドウはAピラーごとカットされ、特製ロールケージとウィンドウリフレクター(風除け)が備えられている。
タイヤはDUNLOP ディレッツァZⅢで、サイズはF:165/50R15、R:195/45R16を装着。前後ブレーキキャリパーもACRE製の対向タイプに変更されている。
この665号車S660が出場したK4-GPの模様はホンダスタイル87号でも紹介しているが、筆者は同じレースにN-ONEオーナーズカップ車両で参戦しておりコース上でも何度か遭遇。とてつもないコーナリングスピードを披露し抜き去っていった。
次号ホンダスタイル89号(2018年3月20日発売)では、この665号車S660を改めて紹介予定。市販モデルへの直接的なフィードバックがあるとは考えづらいが、Modulo Xシリーズというコンプリートカーを開発するホンダアクセスだけに、こうした放課後のクラブ活動というノリから生まれるイノベーションには大きく期待したい。
(photo&text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)