【24BIMS】タイ国内で生産される電動SUV「e:N1」がデビュー! 「ヴェゼルEV」として日本上陸の可能性もある!?
2024年3月25日、タイ・バンコク郊外にて「バンコク国際モーターショー2024(Bangkok International Motor Show)」が開幕。3月25〜26日の両日がプレスデイとなり、3月27日から一般公開となった。
ホンダブースでは4輪と2輪、さらにマリンエンジンまでのオールラインナップを展示。タイ国内市場でのホンダ車の盛り上がりを表すように、4輪は販売中のほぼ全車種がずらりと並べられた。
そんななか、メインステージ上で披露されたのがコンパクト電動SUV『e:N1』である。
タイ国内で生産される、右ハンドル&右ウィンカーの電動SUV
今回披露された「e:N1」は、そのフォルムを見れば一目瞭然だが、欧州で販売中の「e:Ny1」のタイ仕様だ。中国市場では、同様に兄弟車となる「e:NS1」および「e:NP1」が販売されており、販売地域において微妙に車名が変わっているところがおもしろい。
生産はタイ国内のプラチンブリ工場にて行われ、すでに2023年12月上旬より生産ラインが稼動中。日本の自動車メーカーがタイ国内でEVを生産するのは、この「e:N1」が初めてとなる。なお「e:N1」はタイ仕様であるため、前述の兄弟車シリーズにおいて初の右ハンドル車となる。
さてe:N1の外観を見ていくと、基本的には欧州仕様のe:Ny1と違いはなさそう。発表されたe:N1のボディサイズは、全長4380×全幅1790×全高1592mm。ホイールベースは2607mmだ。
日本仕様ヴェゼルe:HEV Z(FF)が全長4330×全幅1790×全高1590mmだから、全長のみ50mm伸びているのは前後バンパー形状の違いと思われる。ヴェゼルのホイールベースは2610mmだが、これはタイと日本の表記方法の違いによるもので、実際には同一といっていいだろう。
車両重量はヴェゼルe:HEV Z(FF)が1380kgであるのに対し、e:N1は1662kg。約280kgの重量増となっている。
e:N1は、ホンダが「e:NアーキテクチャーF」と呼称する、新しいシャシーを採用しており、フロントにモーターを搭載し前輪を駆動する。
フロア下に68.8kWhの大容量リチウムイオン式バッテリーを搭載し、最大航続距離は500km(NEDC)を達成。最高出力は150kW(204PS)、最大トルクは310Nmを誇る。
インパネデザインはヴェゼル(HR-V)から大きく変更されており、メーターまわりは角形の液晶タイプとなるほか、ダッシュボードには15.1インチという大型サイズのタッチパネル式モニターを搭載。ハザードスイッチのみ物理タイプとなるが、エアコンやオーディオ操作はすべてこのタッチ式モニターで行う。
シートは白いパイピングが施されたレザータイプで、コックピットをぐるりと囲うアンビエントライトとあわせ、インテリアは全体的に高級感が漂う。運転席には電動調整機構も備わっている。
リアシートは60:40の分割可倒式で、バックレストを前方に倒して大型の荷物を搭載することも可能。ラゲッジルーム容量については詳細な発表がなかったものの、欧州仕様e:Ny1では361リッター(最大1176リッター)と十分な広さが確保されている。
今回、タイ国内への導入が発表されたe:N1だが、一般販売ではなくレンタル形式で行われる。これはバンコクのような大都市中心部は別にして、まだまだ充電インフラの拡大は進んでいないという現状があるためだ。
いっぽうで日産・リーフやトヨタ・bZ4X、また中国メーカーのEVが順調にシェアを伸ばしていることからも、タイ国内におけるEVのニーズは今後さらに高まっていくことは間違いなさそう。気になるレンタル費用だが、月2万9000バーツからを想定しているとのこと。2024年3月時点では1円=0.24バーツだから、なんと月額約12万円だ。
そして気になるのは、e:N1を日本市場へ導入する可能性だ。タイ国内は右ハンドル車しか走行できないため、e:N1は右ハンドル&右ウインカーであり、またタイ・アユタヤ工場で生産されているアコードが先代モデルから日本市場へ導入されているという「実績」もある。
現時点では、e:N1のタイ国外への輸出については「検討段階」とのこと。しかし実際のところは(期待も込めつつ)、日本市場への導入は時間の問題といえるのではないだろうか。それほどe:N1のパッケージングやスペック、なにより実車の質感は魅力的だ。唯一、問題となりそうなのは車両価格だけれど……。
(photo&text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)