【Modulo 30th】ホンダアクセスの純正アクセサリー、モデューロのヴェゼル用最新ホイール「MS-050」を試乗!
ホンダ車用純正アクセサリーの企画・開発・販売を担当するホンダアクセス。その純正アクセサリーのスポーツブランド「Modulo(モデューロ)」が、今年2024年に誕生30周年を迎えることを記念して「Modulo 30th Anniversay EXPO Vol.1」と題したメディア向け取材会が開催された。
この「Modulo 30th Anniversary EXPO Vol.1」では、30年におよぶModuloのヒストリー紹介のほか、S660 Modulo Xを使用した「実効空力」の試乗をはじめ実際にステアリングを握って体験できるコンテンツも充実していた。なかでも印象的だったのは、まもなく発売となるヴェゼル用新作ホイール「MS-050」の体験試乗である。
幻となったコンプリートカー、ヴェゼルModulo XのDNAを継承する「MS-050」
「MS-050」は、2024年春にマイナーチェンジが行われるコンパクトSUV、ヴェゼル用にホンダアクセスが開発したものだ。別記事でも紹介しているように、ホンダアクセスでは新型ヴェゼルに向けて「Sports Style」と題したカスタムコーディネートを提案。そのキーアイテムとして、このMS-050ホイールが設定されている。
【ホンダアクセス】2024年春にマイナーチェンジ予定の新型ヴェゼル用純正アクセサリー「Sports Style」を一部公開
MS-050のデザインを見て、「どこか見たような?」と感じる人もいるかもしれない。というのも、以前に発売目前まで開発が進められていた「ヴェゼルModulo X concept」用ホイールとほぼ同じフォルムを持っているからだ。
これまでModulo Xシリーズの開発で培ってきたアルミホイールの設計思想がMS-050にも継承されており、タイヤにかかる荷重に応じてスポークやリム部全体が「しなる」ことで、タイヤのトレッド面を路面に接地させ続けるという効果を実現。操縦安定性のアップが体感できるほか、乗り心地においても向上が見られるとのこと。
あまり事前情報を仕入れしすぎると純粋な試乗にならないので、詳細な説明は後ほどあらためて伺うこととして試乗エリアに向かった。今回の試乗では2台のヴェゼルe:HEV Z(マイナーチェンジ前の従来モデル)が用意されており、グレードだけでなく装着タイヤも同じ。走行距離もほぼ同じで、異なるのはホイールのみ。1台は標準装着ホイールで、もう1台がMS-050を履く。どちらも新車時に装着されるタイヤをそのまま履いており、空気圧設定も標準だ。
試乗コースは、広い駐車場に設定された特設コースで、定常円を2周+直線路というもの。舗装路面は一般公道とほとんど変わらず、さらに散水車によって水が撒かれていた。試乗にあたっては、走行速度は時速40kmを目安にと言われたが、これは「一般公道を走行している速度域でも効果が体感できる」というModuloのコンセプトに基づくものだ。
まず最初に、標準ホイールを装着したヴェゼルe:HEVに乗り込む。シート位置を調整し、ドライブモードを「NORMAL」にセット。レバー式のセレクターをDレンジに入れて走りだす。現行ヴェゼルに乗るのは久しぶりだったけれど、ボディのしっかり感は相変わらず。40km/hを保持して左まわりに定常円を走行すると、路面が濡れているとはいえ危なさを感じることも(当然)なかった。
そしていよいよ「MS-050」を装着したヴェゼルe:HEVに乗り換える。繰り返すけれど、2台の仕様はホイール以外まったく同じ。タイヤも新車装着されるもので統一され、違いはホイールのみ。そして標準ホイールとMS-050では重量差もほとんどないとのことで、つまりModuloが掲げる「ホイールのしなり」だけが異なるということになる。
はたしてホイール以外はまったく同一という2台を比較試乗し、その違いは体感できるのだろうか…。そんな心配はまったく杞憂に終わった。結果から先に記すと、ステアリングの切り始めの応答から「MS-050」装着車の違いは明らかだった。
まずはヴェゼルe:HEVのノーズを定常円のコースへ向けた段階で、驚くほどのスムーズさを感じた。車両が手の内にあるというか、定常円のコースを示すパイロンにもっとギリギリまで近づける、そう思えるほどの安心感がある。
さらにコーナリング中においても、「MS-050」ホイールを装着車は前輪だけでなく後輪もしっかりと路面を捉える感覚が明確にあり、はっきりと安定感が高い。あまりにも路面を保持している感覚が明確すぎるためか、ついつい40km/hという目安の速度を超えてしまいそうになる。速度が上がっても路面をしっかりと捉える力が変わらないから、ステアリングを握っている自分の身体が揺すられるような気がしたほどだ。
「こちらの車両はシート表皮が滑りやすい気がする」と試乗後に2台の内装を見比べてみたが、もちろん両車のシートに違いはない。何度も繰り返すように2台の違いはホイールのみだ。つまり「MS-050」を交換装着したことにより、意のままに車両を操ることのできるハンドリング性能、上質なステアリング操舵フィール、路面への接地感の向上といった変化があった。
そして運転席しか体験できていないという注釈が必要だけれど、乗り心地についても「MS-050」装着車のほうが突き上げは少なく、角が丸い印象だった。
試乗を終え、MS-050の開発を担当したホンダアクセスの菊田辰哉さんにお話を伺った。開発過程においては、ステアリング操作に対するレスポンスの早さを重視していたという。ホイールの「しなり」を利用しているのは前述のとおりだが、ホイールのどこか一部分だけが強いと、弱いところだけがしなってしまう。ホイール全体をしならせるために、全体の剛性バランスをとることが重要だったそうだ。
開発過程では、デザインがおおよそ決まったあとに細部の厚みが異なるホイールを何本も用意し、実走テストを重ねて最終的な仕様が決定されたとのこと。それくらい「走ったときに違いがわかる」ホイールであることが、MS-050の最大の特徴といえる。
(photo:Naoki YUKIOKA 雪岡直樹 text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)
https://www.honda.co.jp/ACCESS/vezel/new/