【モデルカー】あの頃のホンダに世界がときめいている!日本が世界に誇るハイブランドがホンダの名車を続々製品化(2)
「クルマ好き」を自認する人ならば、自宅には幾台もミニカーやモデルカーをコレクションされているという方は多いだろう。ところで「ミニカーとモデルカーって何か違うの?」という疑問を抱かれる向きも少なくないと思われるが、明確な定義はないが、前者はおもちゃで手に取って遊ぶ用で玩具安全基準を満たすもの、後者はあくまで観賞用のものを指すとお考えいただきたい。
いずれも実車をスケールダウンさせた“小さなクルマ”たちではあるが、それらがどのようにして開発され商品化まで漕ぎつけるかについて、具体的な工程というのはご存じだろうか。
「実車を丸ごとスキャンして、その採寸データを3D CADなどを介して縮小化して原型データを作り、さらに生産用の型を製作、はい! 量産開始」となりそうだが、実際はそれほど簡単ではないし、デジタル設計となった今でも人間の感性がモノをいうところが多い。
金属やプラスチックのモデルカーが主流となった1950年代(それ以前は木製)、多くは木製の原型を、簡単な手書きの設計図を元に原型師が手彫りして、それを生産用の金型に反転させて量産するのが基本だった。
時代を追って手書きの図面から2D CAD、3D CADと進化して、原型自体も手彫りから、旋盤、CNC旋盤、さらには現代の3Dプリント出力と移行してきた。その過程においては、良い面と悪い面が併存していたことも事実だ。
またモデルカーに対する考え方も変わりつつあり、かつては実車をもっとカッコよく見せたい、あるいはその形状を強調したいといったデフォルメが重んじられ、それが原型設計者や原型師の腕の見せ所だった時代もあったが、現在はいかに実車を忠実に縮小するかという、客観的な造形が良しとされる傾向が強い。
しかし、客観的とは言っても単純に縮小するだけでは、微細なプレスラインや面の張りが消滅してしまったり、物理的に再現できないパーツなども存在するため、ある程度の強調やオーバースケールでの表現など、設計者の主観によるアレンジも必要となってくる。
これはアナログ領域とデジタル領域が重なり合う作業で、それが出来るのは実車を目の当たりにして取材した原型設計者が、自身の手で3D上で図面を引けるというメイクアップならではの強みということになる。
S2000のデザインは一見すると非常にシンプルな印象があるが、一部にクッキリとしたキャラクターラインが与えられている以外は、実は緩やかなアールや控え目なプレスラインで構成されており、誰もが“S2000らしい”と認識できる形にすることは意外や難しい。
世にS2000のミニカーは多かれど、それらを前に、特に実車のオーナーならば、どこかしらに違和感を覚えることも少なくないはず。そんな方にこそじっくり眺めていただきたいのが、メイクアップのS2000たちなのである。