【愛車日記】S2000が突然3気筒に!? ドコドコドコ…という水平対向(風)サウンドの原因は意外なところにありました
まだまだ残暑が厳しかった9月下旬、取材に出かけるため約2週間ぶりにS2000のエンジンをかける。住宅街ゆえに暖気運転もそこそこにゆっくりと動き出し、交差点を2つくらい走って信号待ちのため停車したとき、ふと違和感を覚えました。
あれ? なんだかいつもと愛車の感じが違う。排気音がなんだかドコドコと水平対向エンジンのようで、シートから伝わってくる振動も微妙に不規則というか不安定です。軽く空ぶかししてみても、明らかに吹け上がりが重い。
直感で「きれいに燃えてないなコレは」と思ったのは、S2000のほかに同時所有している1960年代の旧車で得られた経験かもしれません。苦労は買ってでもしろと昔の人は言いましたが、こんなところで役に立つとは。信号が変わると同時にコンビニの駐車場にクルマを停め、メーターパネルを確認します。エンジンチェックランプは光っていないし、マフラーからもとくに白煙などが見られません。
少しだけ安心したものの、アイドリングは変わらず不安定です。幸い取材開始時間にはだいぶ余裕があったので、いったん自宅へ引き返すことにしました。取材現場へは別の手段で向かうことにして、S2000は後日プロに見てもらうことに。
アイドリング不調の発生から4日後、当然ながら症状は自然治癒するはずもなく、ボロボロボロ…と擬似水平対向サウンドを響かせながら『イーグルショップ浦和』へ自走で入庫。タイヤや脚まわりのプロショップでありながら、S2000のチューニングを得意とする同店では、機関系のメンテナンスやリフレッシュといったメニューも充実しています。
『イーグルショップ浦和』の草間さんは、僕のS2000の排気音を聴くなり「たぶん3気筒になってしまってますね〜」と診断。どうやら頻繁にというわけではないけれど、同様の症状が発生するケースはそれなりにあるようだ。まずは不調なシリンダーがどれかを確定させるため、プラグを外して確認していきます。
プラグカバーを外してひとつずつプラグを外してチェックしていくと、もっとも車両の前方に位置する1番シリンダーのプラグだけ少し色が異なっています。さらに先端のギャップも拡がっていました。
幸いにもオイル上がりや下がりの発生は見られなかったため、まずはプラグを4つとも交換して様子を見ることにしました。
プラグの銘柄は、イーグルショップ浦和でオススメというHKS製スーパーファイヤーレーシングM35i。着火性や耐久性、耐カブリ性がバランスよく強化されており、チューニングエンジンはもちろんノーマルエンジンでも効果は体感できるそうです。
4つすべてのプラグを交換し、続いてイグニッションコイルの装着も完了。エンジンスタートボタンを押すと、F22Cはブオン!と以前のように元気よく目覚め、空ぶかしでも明らかに軽くフケ上がります。う〜ん原因はプラグの不調だったか、これからは定期的に交換するクセをつけよう。
そう心に誓いながらいったんエンジンを止めてプラグカバーを再装着し、ボンネットを閉じてエンジンをスタートさせます。すると周囲に響いたのは、ボボボボボ…という水平対向(擬似)サウンド。
あれ? たった今、快調だったのに。そのあいだに行った作業はプラグカバーの装着のみだから、つまり原因はソレか!? しかしなぜプラグカバーの有無が影響を与えるんでしょうか。
エンジンをかけたままボンネットを開け、目を凝らしてプラグカバー周辺をよく見ると、1番シリンダーの上のあたりに小さく火花が飛んでいる……。いったんエンジンを切ってプラグカバーを外してみます。どうやらプラグカバーの裏面がイグニッションコイルの頭部に接触していたらしく、コイル頭頂部の金属パーツが押されて凹んでいます。
その頭頂部がプラグカバーに接触して通電(漏電!?)していたことで、プラグが発火していなかったようです。プラグカバーを外して再始動すると、すぐに絶好調なF22Cサウンドに戻りました。
なお僕が装着していたイグニッションコイルは、純正ではなく社外品。より効率的な燃焼を実現すべく交換したもので、純正コイルの場合は頭頂部に金属部品がそもそも存在しないため、今回のような事例は起こり得ません。
このコイル自体の効果は体感できており気に入っていたから、今後も引き続き使用するためにひとまずプラグカバーを外すことにしました。ちょっと前に新品交換したばかりで惜しい気もするけれど、外しっぱなしの姿もレーシーでカッコイイかも!
(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)
http://www.eagleshop-urawa.co.jp