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【GT500】天候やアクシデントによる波乱のレースでルーキーが魅せた! 64号車Modulo NSX-GTが今季初の2位を獲得

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2023 SUPER GT 第4戦(富士スピードウェイ)
#64 Modulo NSX-GT
予選:8位
決勝:2位
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2023年6月に開催された第3戦から約2ヶ月間のインターバルをはさみ、2023年SUPER GT第4戦が富士スピードウェイにて開催された。第2戦以来となる富士でのレースだが、過ごしやすかったゴールデンウィークとは異なり予選日は真夏の暑さとなった。

翌日の決勝レースは一転してスコールのような強い雨に翻弄される展開となり、8番グリッドからスタートした64号車Modulo NSX-GTは序盤から手堅い走りで順位を上げていく。ライバルチームのペナルティといった要因もあり、今シーズン初、チームとして2020年以来となる2位表彰台を獲得した。

日本国内モータースポーツの最高峰カテゴリーであるSUPER GTは、今年も国内6カ所のサーキットで全8戦が行われる。富士スピードウェイと鈴鹿サーキットが2回開催となるが、いずれも450kmの距離で争われるセミ耐久レースだ。

第4戦の舞台となった富士スピードウェイは、約3ヶ月前に第2戦が行われているけれど、季節が夏へと進んだことで気温・路面温度とも大幅に上昇、タイヤ選択もあわせて勢力図が見えにくいと予想された。そんななか、64号車Modulo NSX-GTはサクセスウェイトが2kgと車体が軽く、予選から前方のグリッドを獲得して有利なレースを進めたいところ。

そんななか迎えたレースウィークは、まさに真夏を思わせる天候となった。8月5日の午前9時から行われた公式練習では、開始時点で気温が30度を超えており座っているだけでも汗が噴き出てくるほど。マシンにもタイヤにも辛いコンディションのなか、ホンダ勢は5台すべてが上位に名を連ねていく。公式練習では16号車と8号車の2台のARTA MUGEN NSX-GTが1-2位となり、64号車Modulo NSX-GTも1分29秒333という4番手のタイムを記録した。

そして公式予選が行われる午後を迎えると、陽射しはますます強くなり午後15時20分でも気温は33度、路面温度は45度という状況。GT300クラスの予選Q1に続いて、いよいよGT500クラスのQ1がスタートした。

64号車Modulo NSX-GTのステアリングを握るのは、今シーズンからModulo Nakajima Racingに加入した太田格之進選手。アタックラップでは第3セクターでややミスをしたと本人は語っていたが、1分28秒478をマークして7番手でQ2へ進出した。

続くQ2は、午後16時31分にGT500クラスが開始。さすがに周囲の暑さもひと段落といった感じで、この時点での路面温度は39度まで低下していた。午前中の公式練習で上位を占めたホンダ勢によるポールポジション争いが予想されたなか、24号車リアライズコーポレーション ADVAN Zが1分27秒763というトップタイムをマークする。

ホンダ勢は16号車が2位、8号車が3位で続き、17号車Astemo NSX-GTが5位、続いて100号車STANLEY NSX-GTが6位、そして伊沢拓也選手がQ2に挑んだ64号車Modulo NSX-GTは8位となり、翌日に決勝レースに臨むこととなった。

そして翌日8月6日は、早朝から空模様がコロコロと変わる天候となった。午前中は時折り雨が降るものの、その時間は決して長くなく、じきに路面も乾くという状況を繰り返していた。やがて正午が近づくにつれ雨脚は強くなり、コースは完全にウェットコンディションとなる。

しかしながら天気予報では雨は長く続かないとも言われており、各チームともスマートフォンなどで雨雲レーダーから目が離せない。数十分後には雨雲は遠ざかり晴れ間ものぞくという予報ではあったが、まずは安全確保のためセーフティカー(SC)先導のもとレースが開始された。

64号車Modulo NSX-GTのスタートドライバーは、伊沢拓也選手。第4戦のレース距離は450km(100周)だが、天候もあり混乱が予想されるレース序盤をベテランらしい安定感ある走りで凌ぎ切り、後半を担当する太田格之進選手には走りやすい状況下で思いっきり走ってもらおうという作戦だ。

SCの先導によりレインタイヤを装着したGT500車両の隊列がゆっくり動き出すと、SCは2周目の終わりにピットロードへと進み、3周目からグリーンシグナルとなる。ホームストレートを全開で駆け抜ける各マシンの後方に大きな水しぶきがあがるなか、レース序盤はライバルの日産勢が圧倒し、早々に1-2体制を構築した。

ホンダ勢はその後方に続く体制となったが、ここからコース上は急速に乾いていき、レコードラインがくっきりと見えてくる。すると各マシンは次々にピットインし、給油よドライ用のスリックタイヤへと交換を行っていく。

64号車Modulo NSX-GTもタイヤ交換のためピットイン、あわせて給油も行うが伊沢選手はそのままドライブを継続する。その後の35周目、GT300クラスの車両にトラブルが発生して火災が発生したために、2回目のSCが導入される。

車両回収のため5周の先導走行を終えると、41周目からレースが再開。伊沢選手は引き続き堅実な走りを披露し、55周を走ったところでピットイン。太田格之進選手へとドライバー交代を行った。

ステアリングを託された太田選手は、残り周回数の45周を燃料とタイヤの両方をコントロールしながら走ることが求められたが、66周目に13コーナー手前でふたたびGT300クラスの車両から火災が発生。この日3回目となるSCが導入がされたが、車両火災の規模は大きくなかなか消火することができない。そのためレースはいったん赤旗中断となる。

すると消火活動を行っているあいだに天候が崩れ始め、ときおり雷も発生するなど雨脚も強くなる。この中断時間を使用し、ホームストレートでGT500/GT300のクラスごとに隊列整理を行い、すべての作業が終了した16時30分にSCの先導でレースが再開。スタート直後を思わせるようなフルウェットコンディションのなか、各マシンが激しいバトルを展開する。

そして、このレース終盤の雨のなか、太田格之進選手が目を見張るような走りを見せる。SCがコースを外れ、レースが再開された時点での64号車Modulo NSX-GTは14位。しかしダンロップのレインタイヤがコースコンディションにバッチリとハマり、前を走るライバルを次々に捉えて抜き去っていく。なんとポジションを10もアップし、4位に浮上。さらに表彰台獲得を目指し、3位の100号車STANLEY NSX-GTとファイナルラップまで激しいバトルを展開する。

100号車を駆るベテラン、山本尚貴選手にも一歩も引かずアタックを繰り返し、一時はパスして見せたものの、残念ながら順位を取り戻されて4位でフィニッシュ。しかし決勝レース後に主催者から他チームの競技規則違反が発表され、当該チームにペナルティが発せられた結果、64号車Modulo NSX-GTは2位へと順位が繰り上がった。

今シーズン初、チームとしては2020年第7戦以来の表彰台を獲得。ここまで苦しいレースが続いていたModulo Nakajima Racingにたくさんの笑顔をもたらす結果となった。次戦の第5戦は、チームやDUNLOPタイヤが得意とする三重県・鈴鹿サーキットを舞台に8月26-27日に開催される。

 中嶋 悟 総監督 コメント

「天候を含めていろいろなことがあったレースで4位チェッカーとなっていたのですが、他車のペナルティにより2位という結果を得ることができました。特に最後のスティントでコンディションが味方してくれたことが大きかったと思いますが、もちろんドライバーをはじめみんなの頑張りで掴んだ結果だと感じています」

「今日は表彰台に上がる姿をお見せすることができない2位だったので、次はそれを成しえるよう頑張っていきます。コンディションが悪いなか、たくさんのご声援をありがとうございました」 

伊沢拓也選手 コメント 

「僕たちのタイヤとクルマに合っているコンディションだった時が多かったので、そういう場面ではすごくいい走りができました。ドライではしんどい部分もありましたが、ミスなくつなげることができましたし、最後の30周、太田選手が持てる力を出し切ってくれて、素晴らしい走りで大きく順位を上げてくれました」

「今シーズンはここまでポイントを獲るのも難しい状況が続いていたなかで、非常にいいレースが出来ました。正式結果の2位は、他チームのペナルティでラッキーな部分もありますが、自分たちがしっかりと戦った結果ですし、チームとしてもDUNLOPとしても、僕としても素直に嬉しい結果です。応援ありがとうございました」 

太田格之進選手 コメント 

「レース後に正式結果で2位に上がったと聞いて、最高の気持ちです。正直なことを言えばきちんと3位以内でゴールして表彰台に乗りたかったですが、それでもしっかりと追い上げて4位でゴールしたからこその結果です。この結果がチームをさらに加速させると思うし、みんなが喜んでくれたことが嬉しいです」

「伊沢さんにとって久しぶりの2位で、僕もGT500の4戦目で2位という結果を得られるとは思っていなかったので、本当にうれしいです。次戦以降は30kg以上のサクセスウェイトを積むので、また頑張っていきたいと思います。応援ありがとうございました」 

(text:Honda Style Web)