【愛車日記】カーボン素材ならではの紋様を守りたい! 輝き&保護性能マシマシのクリア塗装を施工してもらいました
2023年3月、「これが本当の最終生産ロット」と言われた無限製CFRPハードトップを購入してから約4ヶ月。以前のように気軽にオープンエアを楽しむのはちょっと難しくなったけど、そのぶん梅雨の時期や猛暑に対しては快適性が大幅向上! 以前にも増して日々のアシとして大活躍中です。
そんなCFRP製ハードトップですが、これから夏本番を迎えるにあたって気になってくるのが紫外線。もともとCFRP製ハードトップは表面をクリア塗装済みではあるけれど、さまざまな保護も兼ねて厚めに塗装し直してもらうことにしました!
ハードトップの表面をキレイに保つコツは?
2023年7月、まだまだ夏はこれから!という感じですが、日本全国で連日うだるような暑さが続いています。関東でも最高気温は38度や39度、これぐらい暑くなるとハードトップを装着して良かったと心から実感しますね。なんといってもエアコンの”効き”が段違い!
車内空間の広さでいうと、ソフトトップよりもハードトップ装着後のほうが頭上空間に明らかに余裕があるのですが、ソフトトップに比べて密閉性が高いからでしょう、どれだけ炎天下に駐車していてもエアコンをONにして5分もしないうちに車内を快適な温度にしてくれます。
いっぽうで購入直後から気になっていたのは、ハードトップ表面の保護をどうしようか?というもの。自動車用アフターマーケットパーツの世界では、カーボン素材を用いたエアロパーツは数多く販売されています。せっかくのカーボン素材だから、あの独特の模様を思いっきり露出して楽しみたいもの。もちろん僕もそのひとり。
だけどカーボン製エアロパーツは、年月の経過とともに表面のクリア塗装が白くボケてきて、最終的にはペリペリと剥がれてきてしまうんですよね…。無限のCFRP製ハードトップは、そのまま使用可能なようにクリア塗装ずみではありますが、いずれは劣化してしまう。特に僕の場合は基本的に青空駐車なので、なおさら心配です。
とはいえ「キレイなカーボン模様」をなるべく長く楽しむために、紫外線や雨から愛車を守ろうとボディカバーなどをかぶせると、今度はカバーが風にあおられたりして細かいスリ傷が心配になってしまう。そこでクリア塗装を長持ちさせるにはいったいどうすればいいのか、僕は埼玉県所沢市の『匠ボディワークス』を訪ねました。
鈑金塗装のプロショップである『匠ボディワークス』には、もう1台の愛車であるN-ONE Modulo Xのフロントグリルの塗装作業をお願いしたことがあるのですが、その際に丁寧なお仕事に感激したことと、「S2000の塗装がヤレてきたときは、ぜひお願いします」と当時から話していたからです。
『匠ボディワークス』にお話を伺うと、やはりクリア塗装は紫外線や熱、酸性雨といったもので劣化してしまうのは避けようがないとのこと。ただし塗装面の下地処理やクリア塗装の行程数を増やすことで、耐久性を高めることはできるそうです。というわけで今回は、カーボン模様をなるべく長く楽しみつつ、かつボディカバーの擦りキズもつきにくいような「厚めのクリア塗装」をお願いすることにしました!
じつは愛車にハードトップを装着して以来、取り外すのは初めて。ソフトトップと同様にストライカーを外し、シート背後2箇所のレバーを動かせばハードトップはガチャリと外れます。GFRP製に比べれば軽量なCFRP製とはいえ、ひとりで脱着することはちょっと厳しそう。それもせっかくのオープンスポーツながら、ハードトップ を着けっぱなしになってしまう要因なのですが…。
作業台に乗せられたハードトップは、「足つけ」と呼ばれる塗装準備から行われます。まずはスコッチブライトや塗装前の処理材を使用して丁寧に洗浄したあと、600番〜1200番のペーパーをかけて表面を研いでいきます。その後、あらためて洗浄したのちにエアブローで水分を飛ばし、クリア塗装しない部分をマスキング。
そしていよいよクリアを塗装するわけですが、今回は2液性ウレタンクリアとミラークリアを3:1の比率で使用したそうです。その理由は塗装の際の作業性に優れ、さらに磨きやすいため仕上がりの美しさも抜群。すべてにおいてバランスのとれたオールマイティなクリア塗料だからとのこと。
クリア塗装の手順は、まず①回目に「バラ吹き」として薄塗りを行い、②③回目がツヤ出しとしての本塗装、そして④回目が仕上げとなります。ちなみにクリアに限らず、塗装する際は湿気のない晴れた日が最適なのでは…と、梅雨どきに作業をお願いしたことをちょっと後悔したりしましたが、あまり関係はないようです。
カーボン製パーツにクリア塗装を行う際は、通常よりクリアの塗装回数を増やすようにしているため、乾燥時間やクリアの透明度などを考えると、しいて言うなら寒い時期はできれば避けたいというぐらいだそう。仕上がりの美しさを左右するのは、気温や湿度などよりも塗装までの手順によるところが大きいんだそうです。
というのもアフターマーケット市場に流通しているカーボン製品には、基本樹脂を仕上げた状態で輝きを美しく見せるため、仕上げ材などを多く使用している場合があり、そういった製品に塗装前作業が足りない状態で塗装をすると、塗料ハジキなどの塗装不良を引き起こしてしまうことがあるんだとか。そのため『匠ボディワークス』では、塗装するまでの工程を重要と考え、足付け作業と洗浄を徹底して行っているそうです。
約1週間後、作業を終えて対面した無限製CFRPハードトップは、以前と変わらないカーボン素材モロ出しの姿で僕を迎えてくれました。けれどその表面の輝きは、明らかに以前とは違っています。近づいて見るまでもなく、ハードトップの表面に映り込む周囲の景色は作業前より明らかに増えており、同じクリアでも深みというか奥行きが増したように感じられます。
さっそくソフトトップを開け、取り外したときと逆の手順でハードトップを装着していきます。すでに乾燥してまったく問題ないとはいえ、やはりピカピカになった塗装面に手のひらの脂が着いてしまうのは忍びなく、ウェイターさんがトレーを運ぶようにハードトップの内側天井部分を持って車体に載せ、前後をロックします。
僕が購入した無限のCFRP製ハードトップは、メーカー出荷時点でクリア塗装がされています。オーナーは購入後そのまま装着して使用することが可能ですが、僕の場合は保管状況が「青空駐車&ときおりボディカバー」という愛車にとって過酷な環境だったため、クリア塗装の耐久性や輝きを増すために重ね塗りしてみました。
日本の紫外線や酸性雨の影響ってクルマの塗装に対してはやはり良いことなくて、特にクリア部分は年月が経過すると痛んできてしまうんですよね…。そう思ったのは、塗装を終えたハードトップを引き取りにいく前日に洗車をしていたとき。フロントフェンダーにこんなものを見つけてしまいました。
S2000のフロントまわりは、アルミ製ボンネット、スチール製フェンダー、そしてバンパーは樹脂製とそれぞれ異なる素材に同じカラーが塗装されています。僕の愛車はフロントバンパーをホンダアクセス製20th Anniversary bumperに交換しているため、ボンネットとフェンダー部分のみが新車時の塗装。どうやらアルミ素材よりスチール素材のほうが、塗装の耐久性については厳しいということなのでしょうか。
写真のようにクリア塗装がぷくっと膨れ上がっており、指で押すと内側に空気が入っているような感触があります。当然ながら自然に回復はせず、修理するならいったん剥がして塗り直すしかないとのこと(泣)。ハードトップがピカピカになったことで喜んでいましたが、クルマ全体は2006年式ですでに17年モノですからね。機関は変わらず絶好調だけど、外観についてはリフレッシュが必要な時期に来ているようです。
(photo&text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)
http://takumi-bodyworks.com