【新型EV】クールフェイスがスタイリッシュ! ホンダの新世代電気自動車「e:Ny1」が2023年秋から欧州で販売開始
2023年5月12日(欧州現地時間)、ホンダは新型EV(電気自動車)「e:Ny1」を発表した。車名は「イーエヌワイワン」と読み、2023年秋から欧州市場で順次販売を開始する。
e:Ny1は、ホンダのEVブランド「e:N(イーエヌ)」シリーズの欧州市場向けモデル。すでに欧州市場では「Honda e」が発売されており、量産電気自動車としては2台目となる。
基本的なフォルムは欧州仕様HR-V(日本仕様ヴェゼル)とよく似ているが、車体そのものは「e:N Architecture F(イーエヌ アーキテクチャー エフ)」と呼ばれる設計を採用。高剛性ボディ構造、低重心、床下の空力特性という3つの基本特性に焦点を当てた、新開発のフロントモーター駆動プラットフォームだそう。
細部には新型EVシリーズに共通する意匠が盛り込まれており、その象徴ともいえるのが、グリルレスとされ精悍な印象を強めたフロントマスクや、Honda eと同様にブラック×ホワイト仕様を採用したフロントエンブレムだ。
低く構えたボンネットや太いCピラー、クーぺのように見えるピラー内に収めたリアのドアノブといった基本骨格はHR-V(ヴェゼル)と同様。フェンダーやサイドステップ、前後のリップ部分がブラックにペイントされている点も共通で、SUVらしさを強調している。
またHR-V(ヴェゼル)では左リアに備わっていたフューエルリッドは当然ながら存在せず、それもe:Ny1のボディデザインをクリーンに感じさせる一因となっている。
ホイールは専用のものが与えられ、先進性とともに高級さも感じさせるデザインが印象的。タイヤはコンチネンタル製ウルトラコンタクト6で、サイズは225/50R18が組み合わされる。
リアスタイルではテールゲートやリアバンパーはHR-V(ヴェゼル)とほぼ同形状だが、ストップランプが横一文字となったことで大きく印象が変わっている。なかでも車体の中央に備わるはずのエンブレムが、「H」ではなく「Honda」となっている点は注目すべきだろう。
従来の概念に捉われない、新世代のEV車両であることを象徴するデザインといえるが、この「Honda」エンブレムは、今後のe:Nシリーズに共通するアイコンとなっていくようだ。
いっぽうインテリアでは、インパネのデザインが完全新型となったことで大きく印象を変えている。メーターパネルが液晶タイプとなったほか、センターコンソールに15.1インチの大型モニターを備えるなど先進性をアピール。
各種操作はタッチスクリーンで行え、そのほかの物理スイッチは可能な限り少なく、シンプルで扱いやすいレイアウトが採用された。セレクターはボタン式で、その周囲には複数の収納スペースやスマートホンのワイヤレス充電機能も備わっている。
パワーユニットにおいては、発進直後からのスムーズで力強い加速と繊細な制御を実現する電動モーターを採用し、大容量バッテリーの搭載により412km(WLTCモード)という航続距離を実現。これまでホンダが培ってきたダイナミクス技術に基づくスポーティな走り、人車一体感の高い独自のドライビングプレジャーを提供するとのこと。
ホンダは、2050年にHondaが関わる全ての製品と企業活動を通じたカーボンニュートラルの実現を目指している。その実現に向けて欧州市場に投入されるe:Ny1だが、いずれ日本国内を含めた各地域・市場への投入も期待されるところ。
2023年4月26日に開催した「2023 ビジネスアップデート」では、ホンダが今後に展開する企業変革に向けた取り組みを発表しており、日本国内では「N-VAN」をベースとした新型EV、2025年には「N-ONE」のEVモデルを発売。さらに「2026年にはSUVタイプを含む小型EV2車種を発売する」と発表した。
この小型EV2車種に「e:Ny1」が含まれているかどうかは明らかにされていないが、日本市場投入の可能性は高そう。VTEC機構をはじめとして内燃機の存在感に魅力を感じていたホンダ車オーナーからすれば、電動化へ舵を切る企業姿勢は仕方がないとはいえ複雑な心境という方も多いだろう。
だからこそ来たるべきEV車時代のモーターにも、ホンダらしいパワーユニットであること、そして『ホンダらしいスポーティな走り』や『人車一体感の高い独自のドライビングプレジャー』に期待したい。
(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)