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【Type S】スポーツセダンの灯は消えず! 355馬力のV6ターボを搭載するTLXタイプS PMCエディションに限定車追加

ホンダが北米市場で展開する高級車ブランド「ACURA(アキュラ)」は、スポーツセダンである「TLX タイプS」の特別仕様車・PMCエディションに、50台限定のスペシャルボディカラー「ゴッサムグレー」を設定して発売する。

2023年モデルのTLXタイプS PMCエディションに追加された「ゴッサムグレー」 Edition

2023年現在、アキュラ・ブランドに唯一ラインナップされているセダンがTLXだ。現行モデルは2021年9月より発売された通算二世代目にあたり、以前のようにホンダ・ブランドでの兄弟車は存在しない、アキュラ専用開発車種となっている。

2023 Acura TLX Gotham Gray PMC Edition

グレードおよびパッケージは全7種類が設定されており、大きく分けると標準グレードのTLX(標準モデル/Technology/A-Spec/Advance)が4モデル、そして高性能モデルのタイプS(Type S/Performance Wheel & Tire/PMC Edition)が3モデル。

TLXはK20C型2リッター直列4気筒ターボ、タイプSには新開発の3リッターV6ツインスクロールターボを搭載し、トランスミッションはいずれも10速ATが組み合わされる。駆動方式は2リッター車がFFおよびSH-AWDで、高性能モデルのタイプSは全車がSH-AWDとなる。

TLXタイプSに設定される「PMCエディション」は、かつて第二世代のNSXを生産していたオハイオ州メアリズビルの専用工場、パフォーマンス・マニュファクチャリング・センター(Performance Manufacturing Center)で組み立てられるスペシャルモデル。動力性能面では通常のタイプSと同等ながら、専用のボディカラーや内外装の装備が与えられ、PMCの最新設備と職人のハンドメイドにより生産される。

ホイールは前後20インチで、NSXからインスパイアされたというYスポークデザインを採用。255/30R20サイズのピレリP-ZEROが組み合わされる

今回、TLXタイプS PMCエディションに50台限定で設定された「ゴッサムグレー」は、NSXタイプSに設定されたボディカラーだ。外観では、カーボン製のトランクスポイラー&リアディフューザーを装着。またフロントグリルやドアハンドル、エンブレム類、ホイールなどはベルリナブラック塗装とされ、精悍さを高めている。

TLXタイプSはレブマッチシステムを標準装備。ステアリング背後に用意されたパドルでもシフト操作が可能だ

室内では、タイプSのエンブレムが備わるDシェイプ・タイプのステアリングを採用。レッドステッチがスポーティな印象を与えるが、ステアリングヒーター機能も備わるあたりが高級ブランドらしいところ。そのほか室内の各所にカーボンファイバー製のトリムが与えられ、サイドシル部分にはイルミネーションで光る「Type S」ロゴも配されている。

鮮やかなレッドカラーのシート素材にはミラノレザーを採用。さらに部位により、ウルトラスウェードが組み合わされている。またセンターコンソールには、限定50台を表すシリアルナンバープレートも装着される。

TLXに搭載されるエンジンは、前述のように2リッター直4ターボと、新開発の3リッターV6ターボの2種類。タイプSには後者のV6ターボ・エンジンが用意されている。60度のVバンクを持つこのユニットは、NSX用3.5リッターV6とはまったく異なる新設計エンジンで、最高出力が355hp/5500rpm、最大出力は354lb-ft(約49kg-m)/1400-5000rpmを叩き出す。

トランスミッションは10速ATを採用しており、ボタン式のシフトセレクターがインパネ下部に設置される。その上方には、NSXと同様にダイヤル式のIDS(Integrated Dynamics System)スイッチが用意されており、走行モードを切り替えることができる。

NSX専用工場であったPMCでは、完成した車両について設計どおりのパワーが出ているかなど、ダイナモチェックや走行テスト、そして厳しい塗装検査や雨漏りのテストなどを行ったのちにデリバリーを行っている。

TLXタイプS PMCエディションでも同様の手法が採られており、それらを考えるとTLXタイプS PMCエディション(ゴッサムグレー)の6万6995ドル(約870万円/1995ドルのdestination charge込み)という車両価格は、むしろお買い得に思えてくる。

「スポーツセダン」というジャンルは日本ではすでに死語のようになっている印象すらあるが、ぜひその走りっぷりを体験してみたい1台だ。

(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)