【RS復活】フィットがマイナーチェンジ。待望の「RS」は、2ペダルの次世代ボーイズレーサーらしい走りを見せるか!?
ホンダは、コンパクトカーの「フィット」をマイナーチェンジし、2022年10月7日より販売を開始した。外観こそ大きな変化は少ないものの、パワーユニットの刷新やグレード追加など、その内容は非常に多くのトピックを含んだ内容となっている。
今回のマイナーチェンジにおける最大の注目点は、現行の4代目フィットとなって姿を消していたスポーティグレード「RS」が復活したこと。残念ながら6MTの採用は見送られたが、脚まわりやパワーユニットの制御が専用となるなど、新世代のスポーツハッチにふさわしい内容となっている。
「RS」といえば、ホンダにとって伝統のあるスポーツグレード。その名称を冠した初のモデル、シビックRSが登場したのは1974年のことだ。その後、コンパクトハッチとしてのポジションをシビックから受け継いだフィットにも、第二世代のGE8型、ハイブリッドのGP1型、そして第三世代のGK5型とRSは設定されてきた。
それなのに2020年に登場した現行フィットにはRSが設定されず、残念に思っていたファンも多いことだろう。しかし今回のビッグマイナーチェンジで、ついにフィットRSが復活! しかもハイブリッドのe:HEVだけでなく、ガソリン車にもRSは設定される。ただしガソリン車のRSはやや遅れての登場となるため、まずはe:HEV RSについて紹介していこう。
まず外観では、RSとひとめでわかる専用デザインのフロントグリルと前後バンパー、サイドガーニッシュ、リアスポイラーを標準装備。さらにホイールも16インチの専用形状となる。ロアグリル部にはRSのエンブレムが装着され、特別なグレードであることをアピールする。
コックピットまわりでは、まずステアリング形状が3本スポークタイプとなり、グリップ部分にはレザー素材を使用。内側にはRS専用のイエローステッチが施される。インパネ右側にはスタートスイッチがあり、その対称となる左側にはドライブモードの切り替えスイッチが備わり、NORMAL/SPORT/ECONという3つのモードを切り替えることができる。
インテリアでは他グレードと大きな違いはないが、豊かなサイドサポートを持つフロントシートは快適性・スポーツ性ともに良好。後席は3名定員となっており、中央のバックレストは一部を引き出してアームレストとすることもできる。
パワートレインにおいては、2モーター式ハイブリッドのe:HEVはエンジン排気量を拡大。全車が1.5リッター4気筒を搭載する。そして駆動用モーターの最高出力は14PSアップし、123PSまで引き上げられた。さらにe:HEV RSでは、ドライブモードセレクターや、アクセルオフ時の減速力を4段階に調整できる「減速セレクター」を装備。純ガソリンエンジンに近いフィーリングを実現した。
脚まわりもe:HEV RSは専用チューニング。荒れた路面でもしなやかに凹凸を吸収し、ドライバーの操作に対してクルマが自然な挙動を示すよう、開発が進められたという。
なお他グレードにはFFのほか4WDも設定されるが、スポーティな走りを身上とするe:HEV RSはFFのみ。それでいてトランスミッションは、歴代フィットRSシリーズでは初めて6速MTの採用が見送られ、2ペダルのみのラインナップとなった。
かつての「ロードセイリング」なRSを期待するファンとしては残念ではあるものの、いっぽうで次世代のRSを象徴する存在として、e:HEV RSは2ペダルスポーツの未来像をどのように見せてくれるのかというワクワクもある。
e:HEV RSの車両価格は、234万6300円(税込)と比較的リーズナブルに設定されている。そうすると今後に発表されるガソリンエンジンのRSは、210〜220万円あたりの価格帯となるのだろうか。両車とも、その試乗が非常に待ち遠しいモデルだ。
(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)