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【S-Formula】真夏の青空が戻った第8戦、野尻選手は盤石の4位。笹原選手は最後尾から8位まで順位を上げる

2022 SUPER FORMULA 第8戦(モビリティリゾートもてぎ)
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#1 野尻智紀(TEAM MUGEN)
予選:3位
決勝:4位

#15 笹原右京(TEAM MUGEN)
予選:15位
決勝:8位
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2022年8月20-21日、全日本スーパーフォーミュラ選手権・第7戦&第8戦が栃木県・モビリティリゾートもてぎにて開催された。シリーズもいよいよクライマックスを迎え、終盤の4戦は土日それぞれに予選・決勝を行うダブルヘッダーとして開催される。

前日の第7戦に続き、8月21日(日)に予選および決勝が行われた第8戦。前日は急変する天候がレースにも大きな影響を及ぼしたが、第8戦は真夏を思わせる陽気のもとで開催された。予選では1号車・野尻智紀選手(TEAM MUGEN)が3位と好位置を確保するも、笹原右京選手は予選Q1にてマシントラブルが発生しコースアウト。赤旗の原因を作ってしまったため予選タイム抹消となり、決勝レースは15番グリッドからスタートした。

ダブルヘッダー・レースの朝は早く、全日本スーパーフォーミュラ選手権・第8戦は9時15分より予選Q1がスタート。その後にサポートレースの決勝やピットウォークが行われたのち、13時40分より決勝レースのスタート進行が開始となった。

前日に行われた第7戦とは対照的に、空は真夏を思わせるほど青く、時刻とともに気温もぐんぐんと上昇。正午すぎには気温31℃、路面温度は45℃まで上昇した。各マシンは8分間のウォームアップ走行を終え、いったんピットに戻ったあとにグリッドへと向かうが、予選Q1でブレーキまわりにトラブルが発生していた15号車・笹原右京選手のマシンが、今度はドライブシャフトが破損してしまう。幸いにもピットで修理することができ、決勝レースには間に合った。

そして午後2時30分、フォーメーションラップを経ていよいよ37周(または最大75分)の決勝レースがスタートした。前日の第7戦とは異なり、ドライ路面でのレースとなるため、タイヤ交換時期を中心とした様々なレース戦略も注目された。

そんな決勝レースを3番グリッドから臨んだ1号車・野尻智紀選手は、抜群のスタートを決めて2位のサッシャ・フェネストラズ選手をオーバーテイク。シリーズチャンピオン争いを考えると、野尻選手はライバルであるサッシャ選手の前でゴールすることがひとつの目標となる。

ホールショットを奪ったのは、ポールポジションからスタートした大湯選手。そして2位に上がった野尻選手が続き、以下、山下健太選手、平川 亮選手、関口雄飛選手と続いた。

スタート直後に2位へとポジションを上げた野尻選手は、序盤はトップを快走する大湯選手を追いかける展開。2台のペースはあまり変わらず、約2秒の間隔を保ったままレースは淡々と進んでいった。

膠着したレースに動きが現れたのは、タイヤ交換が可能となる10周目を過ぎてから。スーパーフォーミュラではレース中に1度のタイヤ交換を伴うピット作業が義務付けられており、このピットインを早めに消化しようという車両が動き出した。

1号車・野尻智紀選手は、大湯選手に続く2位を走行していたが、15周目の終わりでピットイン。6秒4という素早いタイヤ交換でコース復帰を果たした。いっぽう、後方グリッドからスタートしていたチームメイトの笹原右京選手は、ライバルたちよりもタイヤ交換を遅らせるステイアウトの作戦を選択。結局、レースも終盤となる29周めの終わりにようやくタイヤ交換を行った。

そしてトップ集団で最後にタイヤ交換を行ったのは、平川選手。スタート時のタイヤを労りながらハイペースを維持し、1位関口選手、2位牧野選手の後ろ、3位のポジションでレースに復帰する。さすがに復帰直後はタイヤが暖まっておらず、4位を走行していた1号車の野尻選手が平川選手を交わし、3位へと順位を上げる。

その後、タイヤが暖まってペースを取り戻した平川選手は32周目に野尻選手を交わして3位へ。さらに34周目には、牧野選手も抜き去り2位に浮上。トップを走るチームメイトの関口選手へ猛チャージを開始する。通常ならチームオーダーも発動されそうなシチュエーションであったが、ふたりは最終周まで激しいバトルを展開して見事にワンツーフィニッシュを達成した。3位には牧野選手が入った。

シリーズチャンピオン争いをリードする1号車・野尻智紀選手は、4位でチェッカー。チームメイトの笹原右京選手は、予選そしてスタート前のマシントラブルを感じさせない素晴らしい走りを披露し、8位まで順位を上げててチームタイトルに貢献する貴重なポイントを獲得した。

このダブルヘッダー・レースを第7戦は3位、第8戦を4位で締め括った野尻選手は、総合113ポイントまで得点を伸ばしてチャンピオン争いをリード。2位のサッシャ・フェネストラズ選手とは32ポイント差となっているが、数字の上ではまだチャンピオンは確定せず、次戦以降に持ち越しとなった。

いよいよ今シーズンのファイナルバトルとなる第9戦&第10戦は、今大会と同じくダブルヘッダー。約2ヶ月という長いインターバルを挟み、10月29日〜30日に三重県・鈴鹿サーキットにて開催される。鈴鹿サーキットでのスーパーフォーミュラは、4月下旬に開催された第3戦以来となるが、季節が春から秋へと変わり気候をはじめとする諸条件が異なるため、勢力図はまったく予想がつかない。

ここまで圧倒的な安定感を見せ、シリーズチャンピオン争いをリードする野尻智紀選手にとっては、ぜひ優勝で2年連続チャンピオン獲得を決定したいはず。そしてチームメイトの笹原右京選手は、やや「流れ」を掴みきれていない印象はあるものの、コース上での速さは参戦ドライバーのなかでもトップレベル。2022年シーズンの全日本スーパーフォーミュラ選手権、いよいよ迎える最終決戦に注目だ。

野尻智紀選手 レース後ミックスゾーンでのコメント

「予選に関してはマシンの仕上がりもよく、良いラップを刻めたと思います。もちろん順位的には3位ですので、もう少し前、フロントローに並べれば最高でしたが。シリーズチャンピオン争いのライバルである、サッシャ・フェネストラズ選手が近い位置にいたので、決勝ではオーバーテイクするチャンスはあるという気持ちでレースに臨みました」

「決勝はスタートがうまく決まり、サッシャ選手をオーバーテイクすることができました。タイヤ交換のタイミングについてはチームと様々なケースを想定していて、決勝レース中の状況から判断して早めの交換をしました。結果的に、レースの優勝争いからは少し遅れてのチェッカーとなりましたが、今日できることはすべてやり尽くしての4位と思っています」

「シリーズチャンピオン争いという点では、うまく流れをこちら側に持ってこられたかなと思います。次はいよいよ最後のダブルヘッダーなので、少なくともどちらかは優勝してチャンピオンを決めたいですし、もちろんできれば連勝を狙っていきたいと思っています」

笹原右京選手 レース後ミックスゾーンでのコメント

「予選Q1では、スロットルが戻らないトラブルが起きてしまいコースアウトとなってしまいました。まったく予兆はなかったので、どうしようもなかったという感じです。タイムアタック前に終わってしまったので、マシンのフィーリングも感じきる前に終わってしまいました」

「最後尾スタートなので、決勝レースはとにかく追いかけていくしかないと気持ちを切り替えて臨んだのですが、ウォームアップ走行へ向かう際にドライブシャフトのトラブルが発生しました。これは本当に気持ちが折れそうになってしまったのですが、チームが必死に直してくれたおかげでスタートグリッドに着けました」

「決勝レース自体は、走り出したらマシンのフィーリングは素晴らしく、スタートから大きく順位を上げることができました。レースペースがすごく良くて、序盤から何台も抜くことができましたし、コース上でいちばん速かったという手応えもありました。予選はうまく噛み合わないけれど、決勝では速いというレースが続いているので、速さと安定感を兼ね備えたレースウィークを過ごしたいですね(笑)」

「ここから約2ヶ月のインターバルがありますので、チームスタッフとのコミュニケーションをさらに確実にして、なんとか良い流れで鈴鹿の2レースを迎えたいと思っています」

(photo:TEAM MUGEN、text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)