【北米シビック】NSX専用工場で生産される、シビックSiベースの市販レーシングカーが発表！ 価格は5万5000ドルから

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2022年6月15日、アメリカン・ホンダ・モーターはシビックSiをベースとしたレーシングカー「HPDシビックSi FE1」を発表した。

シビックSiは、北米市場で販売されている現行モデル。日本市場に導入されているシビック（FL1型）のセダンをベースとしたスポーティグレードだ。そのシビックSiをベースに、ホンダの北米におけるモータースポーツ活動を担うHPD（ホンダ・パフォーマンス・ディベロップメント）が開発した市販レーシングカーが「HPDシビックSi FE1」である。

車両そのものは、すでに2021年のSEMAショーにて発表されていたが、今回は納車時期および車両価格、そして詳細なスペックが明らかになった。すでに受注は開始されており、2022年11月からデリバリーが始まる予定。車両価格は、ロールケージやサスペンションなどが装着され、すぐ走行が可能な状態で5万5000ドル（約742万5000円）とのこと。

さらに注目は、このHPDシビックSi FE1の製造は第二世代NSXの生産拠点であるオハイオ州メアリズビルのPMC（パフォーマンス・マニュファクチャリング・センター）で行われるという点だ。最新の設備と最高の職人が在籍するPMCにおいて、この市販レーシングカーは製造される。

HPDシビックSi FE1は、北米仕様のシビックSiをベースにサンルーフや防音断熱材、ボディのアンダーコートなどを除去して軽量化。そのうえでFIAの認定を得たHPD製ロールケージが装着される。

そのインテリアには、HPD製の運転席フットレストをマウント。さらにOMP製のクイックリリース機能付きアルミ製ステアリング、レーシングシート、6点式レーシングハーネス、車載消火システムを装備する。車両に関する各種情報は、ダッシュボード上にマウントされたMotec製「C127」データロガーにも表示される。

エンジンは、ベース車両が搭載する1.5リッター直列4気筒VTECターボをベースに、レース専用ECUを装着。トランスミッションは6速MTのみで、HPD製の強化品が採用される。

排気系はBorlaとHPDの共同開発によるターボバック・デュアルアウトレット・エキゾーストを装着。また冷却性能アップを狙って大容量アルミ製ラジエターが搭載されているほか、フロントバンパーにはHPD製ブレーキ冷却ダクトも設けられている。

脚まわりでは、HPDとビルシュタインが共同開発した倒立式ダブルアジャスタブルダンパー、HPD製フロントキャンバープレート、HPD製リアアッパーアーム、HPD製リアトーアジャストアームを装着。

ブレーキキャリパーはウィルウッド製6ポットで、2ピースのフローティングローターを組み合わせる。ホイールはエンケイ製「RPF1」で、サイズは17インチ。駆動系ではHPDとCUSCOが共同開発したレーシングLSDも装着される。

アメリカのカスタムカーシーンでは、すぐに走り出せるくらいコンディションが整えられた車両を「Turn key」と表現するが、このHPDシビックSi FE1はまさにTurn key。もちろん現代のレース車両であるし実際にカギを挿す必要はないが、購入後すぐにサーキット走行が可能な内容となっている。

まだ詳細は明らかになっていないが、2023年にはHPDシビックSi FE1を用いたドライビングスクールが開催されるほか、レギュレーション上で参戦可能なレースに出場を予定しているチームがあるようだ。さらに以前は日本国内でも開催されていた、シビックによるワンメイクレースも予定されている。

ベース車両であるシビックSiの価格から考えると、レースに出場するために必要な装備がすべて装着されたHPDシビックSi FE1の『5万5000ドル（約742万5000円）』という価格設定は非常に戦略的だ。

かつて日本国内で開催されていたシビックのワンメイクレースでは、M-TEC（無限）がFD2型シビック・タイプRのレーシングカーを販売していたが、そちらはほぼ同じ内容で719万2500円（5%税込）であった。もちろん決して気軽に購入できる価格帯ではないものの、このHPDシビックSi FE1で、シビック・ワンメイクレースをもう一度！と期待するファンやエントラントは、決して少なくないのではないだろうか。

（text：Kentaro SABASHI　佐橋健太郎）

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