【FK8】新世代のタイプRチューンは「速さ」と「実用性」を両立。最高出力400PSオーバーのK20Cは信頼性も確保
ホンダ車オーナーの気持ちに寄り添った、チューニングやパーツ開発を展開することで知られる「SEEKER」。FK8型シビック・タイプRについても、発売直後からサーキット走行テストなどを精力的に行ってきた。だからこそ、FK8にまつわる「あるウワサ」には違和感があるという。信頼性と高出力を両立させるシビック・タイプRチューン、それがSEEKERの提案だ。
(Honda Style 103号/2021年9月発売号に掲載)
サーキットにおける「速さ」と、日常使用もストレスフリーな快適性を両立
2017年に登場したFK8型シビック・タイプRは、「世界最速FF」の実現をコンセプトとして開発された。その驚異的な運動性能は、市販車においても数々の封印が施されており、チューニング次第で大きく進化する。いっぽうで「速さ」だけでなく「快適さ」も両立できると、SEEKER代表・寺岡 亮さんは教えてくれた。
寺岡:時代性もありますし、車両価格を考えても、FK8型シビック・タイプRのは最大パワーの追求はもちろん、快適性や実用性を両立させることがチューニングにおいて重要と考えています。当社で開発・販売している製品も考え方は同じで、サーキットだけでなくワインディングや市街地におけるフィーリングも大切にしています。
FK8型シビック・タイプRは、2020年10月に行われたマイナーチェンジを境に前期型/後期型と分かれるが、前期型のウィークポイントとして挙げられるのが水温が上昇しやすいこと。そのためボンネットを排出ダクト付きに交換しているほか、SEEKERではオリジナルのFRP製フロントグリル(5万5000円)を開発した。
この開口部が大きくデザインされたフロントグリルは、走行風をラジエターに積極的に導くことで水温上昇を抑え、サーキットにおける連続走行でも安定した走行を実現してくれる。牽引フックは3万9600円(前後セット)だ。
排気系は、専用フロントパイプ/テールピース/3連フィニッシャーという3つのパーツで構成されるS.E.S.マフラーKIT「トライデント」を装着。純正と同様のセンター3本出しながら、テールは101.6mm径×3へと変更され、排気効率を向上させている。
フィニッシャーは青焼きチタン風スラッシュカールとし、リアビューに高級感を演出。最低地上高もしっかり確保されており、実用性は損なわれていないことも特徴といえる。
北米のJDMチューニングシーンで再び人気上昇中の「リーガマスター」
ホイールは、ホンダ車ファンには根強い人気を誇る「リーガマスター」をチョイス。最新の工法で復活した新生リーがマスターは16〜18インチがラインナップされており、カラーも特注色を含め全6色が用意される。
脚まわりは、SEEKERオリジナルの車高調整式サスペンション「S.A.S.ダンパーKIT」を装着。限界性能を高めるだけでなく、ドライバビリティを重視した味付けがなされる。チューニング業界における「日本のニュル」ともいうべき、群サイ(群馬サイクルスポーツセンター)仕様のほか、サーキット仕様と2タイプが用意される。
いっぽうでFK8オーナーからお店に問い合わせがあるなかで、『FK8に搭載されているK20Cエンジンは、チューニングをすると壊れやすい』という、やや極端な認識の広まりを感じるそうだ。
寺岡:FK8のエンジンが壊れやすいという認識は、決して事実ではありません。しっかりとバランスを考えて手を入れてあげれば、FK8が秘めている本来の実力を安全に解放でき、さらに楽しい走りを味わうことができます。
ターボユニットであるK20Cのチューニングにおけるカギは、ECUや吸排気システムのコーディネートだ。適切な吸気と温度管理、効率的な燃焼、そしてスムーズな排気が重要となってくる。それらを実現すべく、SEEKERでは3種類のオリジナルECUを展開している。
3種類あるオリジナルECUのうち、もっともハイチューンとなるのがバージョン3.0だ。設定ブースト圧は1.85(社内測定値)で、SEEKER製S.E.S.マフラー、HKS製インタークーラー、さらに吸気系にHKS製コールドエアインテークキットを組み合わせると、ノーマルから約91PSのパワーアップを実現するという。
コックピットまわりでは、SEEKER製アルカンターラ巻きステアリング(8万8000円)を装着。純正ステアリングに備わるスイッチ類は移設して使用することができるため、利便性はそのままにスポーツドライビングを楽しめる。
そのほかシフトのショートストローク化を実現する「スーパーシフト(4950円)」をラインナップ。スーパーシフトカラー(2970円)と組み合わせて使用することで、さらに節度感の高いシフトワークが可能となる。
そのほか、SEEKERが国産スポーツシートメーカー・BRIDEとコラボしたフルバケットシートがモデルチェンジ。日本人にマッチするサポート性と着座位置のローマウント化を実現した、
同社の「ZETAⅣ」をベースに、表皮素材はファブリックを使用。SEEKERのイメージカラーであるブラック×レッドの2トーンで仕立てられている。
寺岡:そのほかにも、『安全で速い』を実現する様々なメニューを提案させて頂きます。ぜひFK8のチューニングを楽しむお手伝いができたらと思います。
(photo:Kiyoshi WADA 和田清志、text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)
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