【新型N-ONE】RSの6MTをSPOONが四輪ディスクブレーキ化! 現代の「Nッコロ」で25時間耐久レース出場を目指す
ホンダ車用アフターパーツメーカーとして知られるSPOONが、2020年11月に登場したばかりの新型N-ONEをさっそくチューニング! 2021年1月、千葉県・袖ヶ浦フォレストレースウェイにて、シェイクダウンが行われた。
ベース車両は新型N-ONE RSの6MTモデルで、市販用パーツの開発と並行して『サンダーヒル25時間耐久レース』への参戦を目指してマシン制作を進めていくとのこと。
サンダーヒル25時間とは、アメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコ郊外のサーキットで例年12月に開催される耐久レース。欧州のニュル24時間のように多種多様なマシンが参戦しているビッグイベントだ。SPOONでは以前にもCR-Zをベースとしたマシンで参戦しているが、軽自動車ではもちろん初参戦となる。
さてSPOONでは、新型N-ONEが納車されて以降、急ピッチで車両開発を進めており、まずはボディと脚まわりから手が入れられた。
サスペンションは前後とも車高調整式へ変更されており、フロントにはS660用モノコックブレーキキャリパーおよびベンチレーテッドディスクを装着。ブレーキパッドもSPOON製に交換されている。
そして驚くべきはリアブレーキだ。ハブまわりごと現行フィットから移植しディスクブレーキ化。ロアアームも補強が加えられている。気になるのは新型N-ONEから採用された電磁式パーキングブレーキだが、現時点では除去されているものの、SPOONでは純正ブレーキを移植し制御する方向で解決の糸口が見えているとのこと。
ホイールはブリヂストンのSW010で、タイヤはブリヂストンのハイグリップラジアルであるRE71RS。N-ONE RSの純正サイズである165/55R15を装着する。今回はシェイクダウンということで、まずは純正装着タイヤで30分を走行、そしてインターバルを挟んだのちにRE71RSで30分の走行が行われた。
ドライバーを務めたのは、ご存知SPOONの市嶋 樹社長。先代N-ONEが発売された当初、NAモデルをサーキットで走らせた経験はあるものの、ターボモデルでのサーキット走行は初めてだそう。今回はシェイクダウンということで車両のフィーリングをつかむべく、まずは新車装着タイヤでコースイン。
N-ONEやS660でサーキット走行を行った経験のあるオーナーなら、サイドブレーキを除去していることで『メンテナンスモードは使えるの?』と思うかもしれない。VSAをはじめとする電子制御システムの介入を解除するためには、サイドブレーキスイッチが必要となるが、SPOONではそれらも解決ずみ。
まずは純正装着のエコタイヤで、電子制御もノーマル、VSA OFF(点灯)、VSA 解除(点滅)とピットインのたびに変更してデータを収集していく。そしてインターバルを挟み、ハイグリップラジアルのRE71RSへと履き替えて走行を行った。
走行を終えた市嶋社長いわく、新型N-ONE RSは「ブレーキングからの旋回が非常に素直。フロントタイヤの通ったラインをリアが追従してくれる」ため、コーナリングが非常に楽しい。インパネシフトの6MTは操作性に優れ、ペダルレイアウトも自然でスポーツ走行を楽しむ環境が優れているとのこと。
現時点ではエンジン本体やECUもノーマルであるため、「シャシー側に余裕があってサーキット走行が楽しい。ホンダのFFらしい軽快感が味わえるモデルに仕上がっている」と笑顔を交えて語ってくれた。
シェイクダウンを順調に終了したSPOONの新型N-ONE RS。今度は車高調整式サスペンションの煮詰めやLSDといった脚まわり&駆動系を強化するほか、エンジン本体や周辺パーツの開発にも力を入れていくとのこと。
次号ホンダスタイル(2021年3月19日発売)では、この新型N-ONE RSの最新開発状況のほか、サーキット試乗インプレッションを掲載予定。
N-ONEの外観デザインのルーツともいえるN360は、日本国内では「Nッコロ」の愛称で人気を集め、1967年からはN600へと排気量を拡大してアメリカ市場へも輸出された。それから50年余り、21世紀のNッコロは果たしてどんなパフォーマンスをサーキットで示してくれるのか、SPOONの開発に今後も注目していきたい。
(photo:Kiyoshi WADA 和田清志、text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)