たまには下道でアメリカ移動。陸路でのインディカー・シリーズ全戦取材、「ヒストリック・アメリカ」に出会う旅
アメリカの高速道路=インターステイト。「よくもこれだけの距離を」と感心させられる道路網が、縦横無尽に敷かれている。町を離れたら片側二車線がメインだけれど、都市部なら3、4車線は当たり前。便利この上ない。アメリカはガソリンも安いしね。
制限速度は、時速55マイル〜70マイルが一般的。ドイツのアウトバーンみたく無制限、とは行かない。それでも、近頃はスピードが上がって来ている印象だ。サウス・ダコタ、ワイオミング辺りでは時速80マイル(約128km/h)まで出せるようになっていた。昨年、テキサスのオースティン付近で90マイル(約144km/h)ってところを見た。かなり珍しいケースだろうし、今後スピードが全米どこでも上がってくってもんでもないとは思うけど……。
インターステイトは快適かつ便利。一般道に降りずに済むレストエリアにはトイレ、自動販売機、州の情報、ランチを食べたりするピクニック・エリア、ペットを散歩させる場所などがある。道沿いには、次の出口で降りると利用できるガソリンスタンド、ハンバーガーショップなどの食べ物屋の表示が出ているサービスの良さだ。
通行料が大抵は無料ってとこがまた凄いよね、アメリカは。有料のところもあるけど。制限速度か、ちょっとだけプラスぐらいのスピードで走っていると、無理をしなくても1時間に60マイル(約96km)ぐらいは走れる。普通の人って、1日にどんぐらいの時間、走れるんだろう? 私の場合は7時間ぐらいまでならノー・プロブレム。ちゃんと休みながら、さほど無理せずに420マイル(約672km)ぐらいは1日で移動できる。
ただし高速道路ってどこの国でも同じで、結構画一的なんだよね。今回の渡米で走り回っているワイオミングとかサウス&ノース・ダコタとかでは、これまでに見たことのない景色に出会え、感激に浸ったりできてるけど。私にとって走行頻度の高いオハイオ州とかインディアナ州は、畑〜小さな街〜畑の繰り返しで、「うわーっ!」って景色は、ほとんどない。
カーナヴィが時々、インターステイト以外の道を指定してくることがある。単純に距離が短い場合もあれば、渋滞を避けるため……ってこともある。そして、そういう道路が大抵の場合、なかなかに楽しい。時が止まっちゃったかのような街に遭遇したり、おもしろい店、変な店を見つけたり。
ウィスコンシン州の田舎町オシュコシュからミネソタ州セントポールへと向かった時、インターステイト90まで延々と国道、州道を走行したんだけれど、その時にタイム・スリップしたみたいなフォックス・レイクって小さな街を発見。思わずクルマを停め、散策してみた。3ブロックぐらいで商店街は終了。アンティークみたいな街にアンティーク屋を見つけてひとりでニヤッとしてしまった。
ちょうどいい場所にインターステイトが通ってないケースもある。サウス・ダコタの西端からノース・ダコタに行こうと思ったら、このふたつの州ってインターステイトが東西に1本、南北に1本通ってるだけで、南北のは東端にしかないもんだから、仕方なくUS 85って道を北上したが、その道で見ることのできた景色は壮大で、「これがアメリカだぁ!」となった。曇り空がちょっとおどろおどろしく、それが荘厳な雰囲気さえ作り出していた。
アイダホ州アイダホフォールズからワイオミング州のイエローストーン国立公園を目指した時には、降りるべき出口を通り越しちゃったことで、これまた不思議な景色が続く世界を体験できた。天気とか、道間違えたりとか、いろいろ偶然が重なると、またおもしろいことになる場合がある。一期一会なんだよなぁ。
(text:Hiko AMANO 天野雅彦)
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