【GT500】例年と異なる風景の「夏の富士」、64号車Modulo NSX-GTは2戦連続の13位フィニッシュ【動画】
新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、約3ヶ月遅れて開幕した2020年のSUPER GTシリーズ。7月18-19日に行われた開幕戦から、約3週間のインターバルを挟んで8月8-9日に第2戦が行われた。
今シーズンのSUPER GTは変則日程で行われ、第2戦の舞台も開幕戦と同じ富士スピードウェイ。しかし前回は梅雨の真っ只中といえる天候だったが、今回の第2戦は梅雨明け宣言が出された直後で真夏の暑さが予想されており、どのマシンが優勢なのかフタを開けるまでわからない。
開幕戦では決勝レースにおけるトヨタ勢の強さが印象的だったが、この第2戦からはウェイトハンデが課せられることもあり、マシンの重量増や真夏の気温&路面温度がどのように勝負に影響するかが注目された。
今回から通常どおりの2day開催となり、予選は8月8日(土)に行われた。64号車Modulo NSX-GTは開幕戦とドライバーの担当を入れ替え、大津弘樹選手が予選Q1に出走。前回のレースで完走し、貴重な走行データをチームに持ち帰ったことで上位のライバル車両との差は縮まったものの、Q1順位は前戦と同じ13番手。残念ながらQ2進出はならなかった。
決勝レースが行われる8月9日(日)も、サーキットは真夏の到来を思わせる日差しに恵まれた。スタート時刻が近くにつれ気温はぐんぐんと上昇し、13時のフォーメーションラップ開始時点での気温は29度、路面温度42度、湿度47%というコンディション。
66周で争われる決勝は、序盤から予選でポールポジションを獲得した8号車ARTA、そして2番手の17号車KEIHINという2台のNSX-GTがレースをリードする。13番手からスタートした64号車は、今回は大津弘樹選手がスタートドライバーを担当。スタート直後に前を行くライバルを抜いてポジションをひとつ上げるも、その後はペースが上がらず苦しい展開となってしまう。
決勝レースダイジェスト
そしてライバル車両よりやや早めの27周目にピットインし、伊沢拓也選手へドライバー交代を行った。マシンを受け取った伊沢選手は、ベテランらしくタイヤを労りながら41周ものロングランを行い、終盤にはライバルとの激しいバトルを展開しつつ順位を守りきり、13位でチェッカーフラッグを受けた。
いっぽう8号車と17号車で行われていたトップ争いは、15周目に17号車が8号車をパス。その後は2台の順位に変動はなかったが、31周目に17号車が先にピットイン。その際に8号車はトップに浮上すると、全力でペースアップし36周目にピットイン。チームも迅速なピット作業で応え、見事に17号車の前、トップのままレースに復帰する。
しかしピットアウト直後、まだ暖まりきっていないタイヤも原因となったか、痛恨のスピン。マシンへのダメージはなかったが、リアタイヤがコース外のグラスエリアにハマってしまいすぐに脱出できず、大きく順位を落としてしまう。いっぽうトップに返り咲いた17号車はその後も安定した走りで独走し、FRレイアウトとなった新型NSX-GTに初優勝をもたらした。
64号車Modulo NSX-GTは、GT500で唯一となるダンロップタイヤ・ユーザーだけに、少ない情報量のなかでいかに気温や路面状況にマッチするタイヤ性能を引き出せるかどうかが最大のカギとなる。ここまでは2戦連続の13位と苦戦を強いられているが、ベテラン伊沢選手の経験と勢いのある大津選手との組み合わせで、チームにとっては2017年以来となる表彰台を期待したい。
第3戦は8月22-23日、三重県・鈴鹿サーキットで行われる。ホンダ陣営にとっては、もちろん地元と呼べるサーキットだ。開幕戦ではトヨタ勢が圧倒するレースとなったが、この第2戦ではホンダNSX-GTが速さと安定感を見せるなど、同じサーキットであっても気温や路面温度など、わずかな要素で速さが入れ替わってしまう2020年のSUPER GT。残念ながら第3戦も無観客開催ではあるが、ぜひ64号車Modulo NSX-GTをはじめホンダ勢の活躍に注目したい。
(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)