シティ・ターボ復活!! 23.8km/Lの好燃費と優れた実用性を誇るコンパクトセダン。日本市場への導入も期待できそう!?
世界の自動車市場において、近年ますます注目度を高めているのがアジア市場。なかでも東南アジア地域で人気の高いモデルがホンダ・シティだ。日本国内ではグレイスの車名で販売される小型セダンが、フルモデルチェンジを受けて5世代目へと進化を遂げた。エンジンはアジア圏初投入となる1リッター3気筒ターボ。シティにターボ。往年のファンにはちょっと懐かしい響き、『シティ・ターボ』が21世紀に復活した。
ホンダ・シティの初代モデルが登場したのは’81年のこと。「ホンダホンダホンダホンダ…」と連呼するCMを覚えている人も多いに違いない。3ドアハッチバックのコンパクトモデルだが、ターボ/ターボⅡやカブリオレなど多彩なラインナップを展開し、ワンメイクレースも開催されるなど話題となった。
1986年には第二世代へとモデルチェンジし、以後8年間に渡って販売されるロングセラーモデルとなったが、コンパクトカーとしての役割はロゴそしてフィットへと受け継がれ、シティの名前は国内ラインナップから姿を消した。
日本国内市場でこそシティの名前を聞くことはなくなったが、現在でもアジア諸国を中心に60以上の国と地域で販売されるグローバルモデルとして継承されている。日本市場では「グレイス」の車名で販売されているが、全世界での累計販売台数は400万台を超える、まさにホンダの屋台骨といえる存在だ。
そんなシティの最新モデルが、2019年秋にタイ・バンコクで開催された『モーターエキスポ』にて発表された。セダンのボディ形状を採用してから5代目(通算7代目)となる新型シティは、欧州風に表記するとBセグメントに位置するコンパクトセダン。
新型シティのデザインは基本的に現行モデルを踏襲し、精悍さの増したヘッドライトや大型メッキグリルを採用。上位車種であるシビックやアコードにも共通するデザインとなっている。
ボディはひとまわり大型化され、全長4553×全幅1748×全高1467mm。前述のようにコンパクトのカテゴリーには入るものの、日本でいう5ナンバーサイズ枠からは脱却している。
搭載されるエンジンは、1リッター直列3気筒DOHC VTECで、ターボチャージャーが組み合わされる。トランスミッションはCVTだ。日本国内ではなじみのないパワートレインだが、これは欧州仕様のシビックに搭載されているユニットに改良を加えたもの。
ただしタイは年間を通して気温が高く、また都市部では激しい渋滞もあるため、インタークーラーが空冷式から水冷式へと改められたほか、使用燃料もレギュラーガソリン対応となった。最高出力は122psで、従来の1.5リッターNAとほぼ同等。ただし最大トルクは173Nmを誇り、燃費もリッター23.8キロを計測するなど、トータル性能の高さが特徴といえる。
インテリアは、従来モデルと同様にミドルサイズ級の広い室内空間を備える。後席中央にもヘッドレストを備えた5名定員で、サイドブレーキは全車が従来どおりのハンドタイプを採用する。写真はRSで、ブラック基調の内装に赤いステッチがスポーティ仕様らしい演出だ。
タイ仕様のグレードは4種類で、エントリーモデルからS、V、SV、そして最上級のスポーツモデル「RS」となる。RSはクロームメッキ&ハニカムメッシュのグリルや、フルLEDを採用したヘッドライト、リップスポイラーなどスポーティな外観に仕立てられるほか、専用16インチホイールや7速パドルシフトなどを備える。
新型シティのタイ市場における車両価格は約58万バーツ(約210万円)から約74万バーツ(約265万円)。現行グレイスのNAモデル「LX」の車両価格は180万1800円なので、やや割高感は否めないが、ハイブリッドモデル同等の好燃費性能を考えると納得できる範囲か。MTモデルの存在はアナウンスされていないが、ぜひRSは日本上陸を期待したい1台だ。
(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)