【Modulo 30th】「実効空力」のルーツはここにある! 大ヒット作となったシビック タイプR用純正アクセサリーに再会
ホンダ車用純正アクセサリーの企画・開発・販売を行うホンダアクセス。その純正アクセサリーのスポーツブランドである「Modulo(モデューロ)」は、今年で誕生から30周年を迎える。そこで自動車メディアを対象に、Moduloの過去から現在、そして未来を紹介する『Modulo 30th Anniversary EXPO Vol.2』が開催された。
タイトルのとおり、本年3月に開催された「Modulo 30th Anniversary EXPO Vol.1」に続くイベントとなっており、30年におよぶModuloの歴史がパネル解説や展示物により紹介されたほか、最新のシビックRSを使用して「実効空力」コンセプトを投入したテールゲートスポイラーの体験試乗や、懐かしのFD2型シビック タイプR試乗、さらにModulo開発メンバーが大切にする『剛性”感”』の体感プログラムなど盛りだくさん!
とても1本の記事にはまとめきれないほど濃厚なイベントとなっていたため(笑)、当日に体験した時系列に沿ってテーマごとに紹介していこう。
現在に受け継がれるModuloのルーツはシビック タイプR[FD2]にある
この日、我々が最初に体験したのはシビック タイプR[FD2]の純正アクセサリー装着車両。走行3万キロ台という程度極上の中古車をベースに、Modulo製エアロパーツやサスペンションを装着した1台だ。
といっても、当時の純正アクセサリーはホンダアクセス社内にも残っておらず、様々な方法で中古パーツを捜索したそう。しかし見つけたパーツも当然そのまま装着はできず、前後バンパーは補修作業を行い、サスペンションもリフレッシュメンテを施された後に装着されている。
シビック タイプRとしては3代めとなるFD2型が登場したのは、2007年のこと。シビック タイプRとしては初となる4ドアセダン、それも車体は3ナンバーサイズとあって注目を集めた。
開発においては、同じK20A型エンジンを積むインテグラ タイプRをサーキットのラップタイムで上回ることが命題とされ、専用開発されたハイグリップタイヤや、締め上げられたサスペンションは「一般公道では硬すぎる!」とも言われたほどだった。
そんなシビック タイプR[FD2]に向け、ホンダアクセスではスポーツサスペンションをはじめ、ブレーキローターやブレーキパッドといった純正アクセサリーを開発、販売した。
Moduloスポーツサスペンションには前後5段階の減衰力調整機構が備えられており、サーキット走行におけるスポーツ性能を高めつつ、ストリートにおける乗り心地の良さも両立させていた。当時、鈴鹿サーキットにて行われた走行テストでは、Moduloスポーツサスペンションはノーマルを凌ぐラップタイムを記録しつつ、乗り心地など快適性でも上回ったという。
このシビック タイプR[FD2]用スポーツサスペンションの凄さはシビック タイプRオーナーにも伝わり、純正アクセサリーの装着率(販売数)も、群を抜いて高かったそう。そしてModuloの『四輪で舵を切る』という走りの哲学は、その後のModulo製品に欠かせないフィロソフィとなっていった。
いっぽう前後バンパーやサイドステップ、トランク直付けタイプのリアスポイラーは、2018年1月に開催された東京オートサロンにおいて「Sports Modulo シビック タイプR」として初披露された。現在の「実効空力」コンセプトの礎となる、デザインだけでなく機能を追求したフォルムに大きな反響が集まり、市販化が実現した。
このシビック タイプR[FD2]は、群馬サイクルスポーツセンター周辺の一般公道にて試乗することができた。いまや懐かしさを覚える物理タイプのキーをシリンダーへ差し込み、捻ってから親指でエンジンスタートボタンを押すとK20A型エンジンが目を覚ます。
新車当時は「大きく重い」とも言われたFD2型シビック タイプRだが、2024年となっては全長4540×全幅1770×全高1430mmの車体はコンパクトとは言わないまでも引き締められた印象で、なにより1280kgという車両重量が生み出すクルマの動きは軽快そのもの。
リフレッシュメンテが行われたサスペンションの動きもスムーズで、ちょうど中間の「3」にセットされた減衰力はワインディングにベストマッチ。印象的だったのは、前後4輪で路面を掴んでいる感覚が強く感じられたこと。「四輪で舵を切る」サスペンションと「実効空力」エアロパーツ、双方のコラボレーションによりModuloの目指す走りの世界観がしっかりと表現されていた。
ベース車両のシビック タイプR[FD2]は、自然吸気エンジンを搭載したタイプRとしては現状最後のモデルとなっているため人気が高まっており、中古車市場における価格は上昇の一途。
純正アクセサリーもとうの昔に生産を終了しており、入手にはネットオークションなどで中古品の情報を粘り強くウォッチするしかないという状況はあらためて残念というほかないが、あらためてその魅力を再発見することができた。
(photo:Kiyoshi WADA 和田清志、text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)