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【ホンダアクセス】参戦2年目を迎えたEVレース、オートサロンに出展した「e-DRAG」をリメイクしたホンダeで挑む!

ホンダアクセスの有志チームが「Honda e」を使って、JEVRA(日本電気自動車レース協会)が主催するEVレースに参戦を開始している。

JEVRAシリーズは、その名称のとおり電動車両によるレースで、2010年からスタートしている。基本的には50km~60kmのレースで争われ、市販のピュアEVだけでなく、コンバートEVや開発中のプロトモデルの参戦も可能。さらに電動での走行であれば、燃料電池車やレンジエクステンダーEVも参戦可能となっている。ホンダ車でいうと、これまでにもフィットEVやFCVクラリティの参戦経験がある。

レースは、バッテリーの容量による電欠だけでなく、バッテリーやモーターの発熱によるオーバーヒート抑制のための制御モードの回避など、EVならではの特性をとらえたうえでいかに効率よくレース距離を走らせるのか、が重要となる。効率よく冷却をさせる対策であったり、走行速度を下げない走りなど、ただアクセルを踏んでいくだけでは勝てないというEVならではの走らせかたもあり、奥の深いレースとなっている。

その「Honda e」のデビュー戦となったのは、2023年10月に筑波サーキットで開催となったJEVRAシリーズ最終戦「ALL JAPAN EV-GP SERIES ROUND.6 全日本筑波EV60kmレース」だった。ホンダアクセスのチームは、そこでの問題点を洗い出し、今シーズンから本格的に参戦をするにあたり車両を入れ替えてきた。

それが、「東京オートサロン2021」で一般公開された「e-DRAG」である。当時のコンセプトはドラッグレースへの参戦をイメージし、HKSが手掛けたワンオフの脚まわりに、CFRP製の外装をまとい約300㎏もの軽量化を実現していたが、これを周回レース仕様へとリメイクしたのだ。

「Honda e」は、搭載する駆動用バッテリーの容量35.5kWhと、大容量化が激しい最新EVの中では極めて容量が少ないモデル。レースにおいては、もちろん厳しい戦いとなることが予想されるが、その少ないバッテリー量を補うために車両を軽量化し、レースをしようというのである。

4月27日(土)に筑波サーキットで開催されたJEVRAシリーズ第2戦「ALL JAPAN EV-GP SERIES ROUND.2 全日本筑波EV55kmレース」が、e-DRAGをベースとした「ModuloレーシングHonda e」の初戦となった。チームはホンダアクセス社内の部活動的な活動で行われており、メンバーはみなホンダアクセスの社員により構成されている。

JEVRAシリーズは午前中に15分間の予選セッションを行い、そこから全車の充電時間を設け(今回は4時間強)、夕方に決勝レースが行われる。レース距離は50km~60kmの設定となっており、今回の筑波サーキットでのレースは55km(27周)となる。

昨年のJEVRA最終戦では、完走することに重点を置いていた。しかし今回は「テスラモデル3を打ち負かしたい」という目標を持っていた。予選セッションにおいて、ドライバーの渋谷和則選手が出したタイムは、1分9秒868。前回の量産車Honda eで出したタイムは1分20秒491であり、約11秒アップと大きく向上。15台で争われる決勝レースは、8番グリッドからのスタートとなった。

迎えた決勝、スタートで出遅れる上位勢に食い込み、1コーナーへは4番手で進入する快挙を見せる。オープニングラップも5台のテスラに続く6番手、その後方に2台のテスラ車を従えてコントロールラインを通過し、まずまずの立ち上がりとなった。

その後、スタートで出遅れたテスラモデルS Plaidに抜かれはしたものの、前方の2台がトラブルでリタイアするなど出入りの激しいレースを淡々と走行。燃料電池車のトヨタ・ミライ、そしてヒョンデIONIQ5に先行を許し、無事に25周を走り切って7位でチェッカーを受けた。

黒石田利文 チーム監督 コメント

「何とか完走できてよかった。やはり量産車から300㎏の軽量化はすごく大きく、今日はレースができたと言えます。(このレースは先頭の車両のペースによってラップダウンとなった後方の車両の走行周回数が変動するが)当初の予定通り、最終周で電池残量もゼロになってチェッカーを受け、クルーズでピットまで帰ってくることができました」

「ただ、Honda eの能力を100%を引き出せたわけではないです。脚まわりのセッティングはまだまだ詰めていけますし、タイヤも選定し直しも必要です。さらに経験を積みながら、バッテリーの冷却など、これから少しずつ手を加え、その性能をしっかり引き出してもっとレースをできるようにしたいです。その手応えも感じています。今はレース経験の多いベテランにドライバーをお願いしていますが、いずれは若いスタッフにやってもらおうと思っています」

とコメントしてくれた

レース後、チーム監督の黒石田利文さんはこのように話してくれた。今後もJEVRAシリーズでHonda eのレース活動は継続していく予定とのこと、今後の飛躍に期待すると同時に、ぜひHonda eオーナーは応援していただきたい。

(photo&text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)