【GT500】上がらない路面温度に悩まされた64号車Modulo NSX-GTは11位でフィニッシュ。次戦での巻き返しを誓う
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2023 SUPER GT 第6戦(スポーツランドSUGO)
#64 Modulo NSX-GT
予選:15位
決勝:11位
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2023年のSUPER GTはいよいよ残り3戦。前戦の第5戦(鈴鹿)でもポイントを獲得したModulo Nakajima Racingは、搭載されるサクセスウェイトが38kgへと増えたものの、ぜひとも表彰台を目指したいところ。
そして第2戦から450kmのレース距離で争われてきたSUPER GTだが、今回は開幕戦以来となる300km。よりスピードレースの色が強くなった第6戦が、2023年9月16-17日に宮城県・スポーツランドSUGOにて開催された。
第5戦から約3週間のインターバルを経て開催された第6戦。日本列島全域がまだまだ夏の暑さに包まれるなか、宮城県のスポーツランドSUGOも例外ではなく、レースウィーク直前まで真夏のような日差しが降り注いだ。
しかし公式練習と予選が行われる土曜日の天候は曇り。前日の金曜日に降った雨がまだ路面のあちこちに残るというコンディションのもと、公式練習が開始された。
9月16日の土曜日は、曇り空ではあるものの雨の心配はなさそうに思われた。GT500の公式練習が開始された午前11時すぎには、先にGT300車両の練習走行が行われたこともあってほぼドライ路面での走行となった。64号車Modulo NSX-GTも積極的に走行を重ねて確認作業を繰り返し、ベストラップは1分11秒679。そして午後の公式予選に臨んだ。
正午を過ぎても天候は変わらず曇りであったが、なんと公式予選が始まる直前に一瞬の雨が降り、各チームに緊張感が走る。幸いにも雨はすぐに止み、GT500の公式予選はほぼドライコンディションで行われた。午後3時13分から開始された予選Q1、64号車Modulo NSX-GTのステアリングを握ったのは太田格之進選手。
気温26度、路面温度は29度というコンディションは想定より低かったか、タイヤのグリップ力が高まる温度域までのウォームアップに時間がかかってしまい、タイムは1分11秒241に留まった。現状の力をすべて出し切ったミスのないラップで、公式練習時よりタイムアップしたものの、ライバルたちの進化幅には届かず15番グリッドから決勝レースに臨むこととなった。
迎えた9月17日、決勝レースが行われる日曜日もスポーツランドSUGOの空は曇り。早朝には霧雨が降りコースコンディションが心配されたが、幸い午前中から路面はドライ。またサーキット周辺には観戦に訪れたファンの車両が入場待ちで大渋滞となるなど、決勝レースの盛り上がりが期待された。
今回の第6戦は、開幕戦以来となる300kmのレース距離で争われる。450kmレースと異なるのは、給油義務が2回から1回へと変更になることだ。つまり2名のドライバーはそれぞれ1度の走行を行うシンプルなかたちとなるが、いっぽうで「マモノが棲む」というほど荒れる展開となるケースが多いスポーツランドSUGOだけに、決勝レースのゆくえは想像がつかない。
午後1時30分、宮城県警の白バイとパトカーが先導するパレードラップが行われ、その後フォーメーションラップを終えると、いよいよ84周の決戦レースがスタート。64号車Modulo NSX-GTのスタートドライバーは伊沢拓也が担当し、オープニングラップで早くもひとつポジションを上げ、14番手で周回を重ねていく。
全84周で行われる決勝レースにおいて、スタートドライバーの義務周回数である28周を迎えると各チームに動きがでてくる。ホンダ勢も100号車STANLEY NSX-GTが28周目にピットインを行ったのを皮切りに、次々とドライバー交代を行っていく。64号車Modulo NSX-GTは30周目の終わりにピットへと向い、タイヤ交換と給油、そして太田格之進選手へとドライバー交代を行った。
コースへ復帰した太田選手は、ライバル車両のアクシデントなどもあり少しずつポジションを上げていく。すると39周目のホームストレートで、ホンダ勢がかかわる大きなクラッシュが発生した。100号車STANLEY NSX-GTがGT300車両と接触、コースを横切ってガードレースへと激しく激突してしまう。
100号車は車両の後ろ半分が千切れてしまい、サーキット全体が騒然となるほどの大きなクラッシュですぐさまセーフティカーが導入、そして赤旗中断が宣言された。ドライバーの山本選手はドクターヘリで搬送され、コースでは車両回収と施設の修復に約50分を要したのちにレースが再開された。
15時20分、セーフティカーの先導によりレースが再開。各マシンはしばらく隊列をキープしたまま走行し、冷えてしまったタイヤを暖めていく。すると44周目の終わりセーフティカーがピットへと戻り、45周目からグリーンフラッグとなりバトルが再開された。
レース再開時、64号車Modulo NSX-GTを走らせる太田選手は12番手までポジションをアップ。その後も懸命に前に食らいついていくものの、なかなか追い抜くには至らないという苦しい周回が続いた。その後もペースは悪くないものの、前をいくライバル車両をパスするには至らず、12位でチェッカーフラッグを受けた。
なおレース後の再車検で失格となった車両があったため、64号車Modulo NSX-GTは順位がひとつ繰り上がって11位でフィニッシュ。8号車ARTA MUGEN NSX-GTが優勝となり、ホンダ勢は第5戦(鈴鹿)に続いて連勝となった。次戦の第6戦は、約1ヶ月後の10月14-15日に大分県・オートポリスにて行われる。
中嶋 悟 総監督 コメント
「予選のポジションが大きく響いてしまいました。レースペースは中段グループと同じぐらいでしたが、ポイントまでは届かず……。今シーズンもいよいよ残り2戦となりました。何とか結果を残して、いい締めくくりをしたいと思います。たくさんのご声援をありがとうございました」
伊沢拓也選手 コメント
「僕自身のスティントは、タイヤのピックアップもあったりして苦しい場面はありましたが、太田選手に交代してから、特に赤旗中断後のペースを見ると比較的周りと争える位置にいたので、コンディションが合えば多少パフォーマンスを上げられるところがあったと感じています。ただ、細かいところの詰めはなかなか難しかったです」
「昨日なぜうまくいかなかったのかという部分も含め、やれることをいろいろとやった結果、最終的にはある程度のところにはいけたと思います。でも、やっぱりもっとレベルアップしないといけないと再確認した1戦になりました。残り2戦、そのレベルアップを目指して頑張ります」
太田格之進選手 コメント
「昨日の予選のことを考えると、もっと離されて勝負にならないのではと思っていたのですが、決勝は比較的ペースが良く、思っていたよりもいいレースができました。でも予選はうまくいかなかったですし、そこから全部を合わせ込むことができないと勝てないと思うので、それが僕たちの課題だと思っています。それができるように引き続き頑張っていきます」
(text:Honda Style Web)