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【名車図鑑】隠れた存在の「もうひとつのインテグラ」は、四輪ダブルウィッシュボーン式サスを採用した万能セダン

1996年3月1日に発売された、EK型シビック フェリオをベースに開発された兄弟車がインテグラSJだ。当時はホンダ車を販売するディーラー網がホンダ・ベルノ店、同クリオ店、同プリモ店と3系統に分かれており、そのうちスポーティーカーやSUVを専売車種としていたベルノ店向けに開発されたセダンである。

前述のように基本設計はEK型シビック フェリオをもとにしているが、バルクヘッドより前方は同時期(約1週間前)に発売となったステーションワゴン、オルティアと共有。ただオルティアにはフォグライトやボディ同色グリルが採用されていたのに対し、インテグラSJではオーソドックスなグリルデザインとされた。

エンジンはD15B型の1.5リッターSOHCのみで、グレードにより仕様違いの2種類が用意されていた。VTEC機構は搭載されているが、パワー重視ではなく燃費性能を重視した3ステージVTEC(130PS)がVXiに、ハイパー16バルブ(105PS)がLXiおよびEXiに搭載された。

組み合わされるトランスミッションは5速MTのほか、ホンダマルチマチックと呼ばれたCVTがLXiとVXi、4速ATがEXiで選択することができた。

車体設計を共有するEK世代のシビックといえば、DOHC VTECのB型エンジンを搭載してクラスを超えたスポーティな走りっぷりで人気となったが、インテグラSJは「インテグラ」の車名を冠してはいてもパワフルな走りを楽しむといったカテゴリーのクルマではなかった。

しかしサスペンションは4輪ダブルウィッシュボーンを採用し、車両重量は最大で1100kg。最軽量モデルでは970kgに抑えられており、5速MTを駆使して走れば、車名が示すようなスポーティな走りも楽しめた。

なお車名の後ろにつく「SJ」とは、「セダン・ジョイフル」の頭文字を組み合わせたもの。つまりセダンでもドライビングを楽しめるモデルという自信の表れだろうか。

 インパネの操作系も基本的にシビックと同じ。全モデルに運転席&助手席エアバッグが標準装備されたほか、3チャンネルデジタル制御ABSがオプション設定された。写真はオプションのナビゲーションシステム装着車で15万5000円アップとなる。

プレーンな印象のインテリアは、シート表皮や形状ともにシビック・フェリオと同じ。コンパクトな車体ながらルーフの長いデザインを採用したことで、後席の頭上空間がしっかりと確保されている。

クラスを超えた快適性や経済性を追求したモデルとして登場したインテグラSJだったが、やはり販売チャンネルの少なさから知名度は高くなく、幾度かのマイナーチェンジを経て2000年にモデルライフを終了した。

ディーラー網が「ホンダカーズ」に統合された現在では誕生しえない兄弟車だが、今では希少車として一部のファンから人気を集めている。

(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎) 

1996 INTEGRA SJ VXi
SPECIFICATION□全長×全幅×全高:4450×1695× 1390mm□ホイールベース:2620mm□トレッド(F/R):1475/1475mm□車輌重量:1070kg□エンジン形式:直列4気筒SOHC□ボア×ストローク:75.0×84.5mm□総排気量:1493cc□圧縮比:9.6対1□最高出力:130PS/7000r.p.m.□最大トルク:14.2kg-m/5300r.p.m.□トランスミッション:5速MT(4速AT)□サスペンション形式(F&R):ダブルウィッシュボーン□ブレーキ形式(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク□タイヤサイズ(F&R):185/ 70R13□新車時車両価格:151万2000円