【次世代船外機】水上にも電動化の波! 小型船舶向け電動推進機プロトタイプの実証実験を島根県松江市にてスタート
ホンダは、小型船舶用の4kW電動推進機プロトタイプを用いた実証実験を2023年8月より島根県松江市にて開始した。公益財団法人松江市観光振興公社が運営する堀川遊覧船に電動推進機プロトタイプを搭載し、実際の運行で使用することで、遊覧船における商品性を検証する。
ホンダは、2050年にすべての製品と企業活動を通じてカーボンニュートラルを目指す、という高い目標の実現に向けて取り組んでおり、その領域は二輪や四輪といった陸上のモビリティにとどまらず、水上でのカーボンニュートラルに向けても積極的にチャレンジしている。
ホンダが初めて船外機(マリンエンジン)を発売したのは、1964年のこと。マリンエンジンには軽量性やパワー面で有利な2ストロークが主流だった当時、ホンダの創業者である本田宗一郎氏は「水上を走るもの、水を汚すべからず」を信念に掲げ、4ストロークエンジンの船外機「GB30」を開発・発売した。
以来、ホンダは4ストローク船外機にこだわりながら、2023年8月現在は2馬力のBF2から250馬力のBF250まで全23機種のマリンエンジンをラインナップしている。
いっぽう松江市は脱炭素先行地域として「カーボンニュートラル観光」を掲げ、持続可能なまちづくり、および地方創生に寄与することを目的としてさまざまな環境活動に取り組んでいる。こうした松江市の環境への思いとホンダの思いが合致したことから、堀川遊覧船を活用して電動推進機プロトタイプの実証実験が開始された。
今回の実証実験で使用する電動推進機プロトタイプは、ホンダとトーハツ株式会社が共同で開発。ホンダは出力4kWの電動パワーユニット、トーハツはギアケースやロアーユニットなどのフレーム領域をそれぞれ担当している。
バッテリーには、ホンダが二輪車で使用している交換可能な着脱式可搬バッテリー「Honda Mobile Power Pack e:」を採用。コンパクトな本体に1.3kWh以上の大容量電力を貯蔵するリチウムイオンバッテリーで、BENLY e:やGYRO e:、GYRO CANOPY e:に搭載され市販されている。
サイズは高さ298×長さ156.3×幅177.3mmで、重量は1ケあたり10.2kg。価格は8万8000円となっている。今回の電動推進機プロトタイプでは、2ケのバッテリーを横向きに搭載している。
(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)