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【名車図鑑】一世を風靡した「デートカー」の最終モデル、5世代目プレリュードは最先端技術を搭載したスペシャリティ

1980年代後半から’90年代初頭、日本がバブル景気に沸いているなか、若年層を中心に人気を集めていたのが流麗なフォルムと高い運動性能を兼ね備えたスペシャリティ・クーペである。なかでもプレリュードは「デートカー」の代名詞的存在として知られ、最終モデルとなった5世代目はリッター100PSを誇るH22A型ユニットを搭載するなど、スポーツカー顔負けの性能を誇った。

(ホンダスタイル98号に掲載)

バブル景気が徐々にピークを迎えた1980年代後半、自動車業界は空前のクーペブームを迎えていた。スタイリッシュなボディに申し訳程度の後席を備える2+2が人気の中心となっており、ホンダのプレリュードはその代表的な車種といえた。

初代プレリュードが登場したのは’78年だが、その人気が爆発したのはリトラクタブル・ヘッドライトを採用した2代目&3代目モデルだ。しかし4代目モデルの登場以降は、メインターゲットだった若年層のクルマ人気がミニバンやSUV志向へとシフトしていき、プレリュードは5代目モデルをもって姿を消した。

縦型のヘッドライトが特徴的な5代目モデルは、’96年に登場。ロー&ワイドなフォルムが特徴のFFクーペという基本設計は不変ながら、最上位グレードのType Sには前輪の駆動力を電子制御で左右に配分するATTSや、後輪も操舵する4WS機構など、後世のプレシジョン・オールステアやSH-AWDへと通じるような最先端技術を搭載した意欲作だった。

エンジンは2.2リッターのSOHCまたはDOHCで、最上位グレードのタイプSには最高出力220PS/7200rpm、最大トルク22.5kg-m/6500rpmを発揮する高回転仕様のH22A型ユニットを搭載。トランスミッションは5速MTあるいは4速ATで、4速ATはマニュアル操作も可能な新開発の「Sマチック」が搭載された。

3代目モデル以降は、前後ともダブルウィッシュボーン式サスを採用するなどスポーティな走りが楽しめたプレリュードだが、インテリアはラグジュアリーなテイストでまとめられていた。

シート配列は2+2で、カブロンと名付けられた合成皮革をシート素材に採用、「Si」および「SiR」グレードに赤黒ツートンの内装がオプション設定された。なおボディカラーによっては、黒一色のカブロン内装を選択することも可能。4代目では設定されなかったサンルーフのオプションも復活するなど、全体的にラグジュアリーなテイストでまとめられていた。

先代にあたる4世代めモデルでは、室内の左右幅いっぱいに使った未来的なインパネデザインが話題となったが、この5世代めではオーソドックスな仕様に戻った。VICS対応の新世代3Dナビがオプションで用意されており、この3Dナビ装着車は当時としては大型の6インチ液晶モニターがインパネに装備された。

タイプSはサイドサポート性を高めた専用シートを採用。リアシートはバックレスト部が前方へ可倒式となっていたほか、開口部の大きなトランクが備わるなど優れた実用性も確保されていた。

プレリュード SiR・Sスペック(プレミアムホワイト・パール)

その後は1998年にマイナーチェンジが行われ、新グレードSiR・Sスペックを追加。最上位グレードのType Sに続くスポーティなモデルに位置づけられ、リッター100PSを誇るH22Aの搭載やLSDを標準装備。外観ではハイマウントタイプのトランクスポイラーと、ボディ同色のサイドシルガーニッシュが与えられた。

そのほかのグレードでも内外装の装備が図られるなどの変更を受けたが、時代の本流は本格スポーツモデルへと変わっていった。その筆頭ともいえる存在が、5代目プレリュードとほぼ同じ時期の’95年10年に登場したインテグラ・タイプRだったことは皮肉というほかない。

SiR・S specはカーボン調のメーターパネルやセンターパネル、パワーウインドウスイッチパネルを採用。シート表皮は質感の高いスウェード調とされた

1992年に登場したNSX-Rのフィロソフィを、もっと気軽に味わえる存在として登場したDC2型インテグラ・タイプRは、プレリュードよりも小さな5ナンバーサイズのボディに最高出力200PSを発生するB18C型エンジンを搭載。前後ともダブルウィッシュボーン式サスペンションを搭載する3ドア(2+2)という車体構成も同じだった。

それでいて車両価格はプレリュード Type sの265万3000円(東京)に対してインテグラ・タイプRの3ドアは222万8000円(同)に抑えられており、ホンダのクーペ/ハッチバック人気はスペシャリティから本格スポーツモデルへと変遷していく。そして’01年、インテグラが新型へとフルモデルチェンジするタイミングで5世代めプレリュードの販売を終了。スペシャリティカーとして一時代を気づいたプレリュードは、5世代/23年に渡る歴史に幕を降ろした。

1996 PRELUDE Type S
SPECIFICATION
□全長×全幅×全高:4520×1750×1315mm□ホイールベース:2585mm□車両重量:1270kg□乗車定員:4名□エンジン形式:H22A型直列4気筒DOHC□総排気量:2156cc□最高出力:220PS/7000r.p.m.□最大トルク:22.5kg-m/6500r.p.m.□サスペンション型式(F&R):ダブルウィッシュボーン式□ブレーキ型式(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク□タイヤサイズ(F&R):205/50R16□新車時車両価格:265万3000円

(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)