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【ACURA】新型インテグラ タイプSの価格が判明! 5万800ドルで6月19日より北米地域にてデリバリー開始【インテS】

2023年6月16日(現地時間)、ホンダが北米市場に展開するラグジュアリー・ブランドのACURA(アキュラ)は、新型インテグラ タイプSのデリバリー開始を発表した。

以前にもお伝えしたとおり、新型インテグラ タイプRは、現行FL5型シビック タイプRの姉妹モデル。しかしACURAというブランドの性格上、シビック タイプRに比べ外観は大人しめで、より高級感を重視した仕立てとなっている。そのぶん車両価格も上昇してしまってはいるものの、現地ではすでにプレミア必至の人気ぶりだそう。

シビック タイプRを上回るパワーを発揮

インテグラの車名が北米市場に登場したのは、1986年のこと。DA型と呼ばれる初代モデルで、同年に北米市場で立ち上がったACURAブランド専売車種として発売された。当初からホンダ・シビックの兄・姉といった位置づけがなされており、1989年には2世代目、1993年には3世代目が登場している。

2001年には5世代目のDC5型へとモデルチェンジされるが、ここで北米仕様はインテグラから「RSX」へと車名を変更。前モデルのDC2型では北米市場にも「タイプR」が設定されたが(ただし日本仕様とは内容が異なる)、DC5型のRSXではタイプRは設定されず。そして日本仕様インテグラと同様、2006年夏に販売を終了した。

そして15年以上にわたる雌伏の時間を経て、「インテグラ」の車名が北米市場に復活する。かつてと同様に現行モデルのFL型ホンダ・シビックと車体の基本設計を共有する5ドア・ハッチバックだ。

新世代のインテグラも、高級車ブランドのACURAらしく「プレミアム スポーツ コンパクト」を掲げており、シビックに比べて上質な装備や走りのフィーリングがセールスポイントとなっている。

その新型インテグラに追加されるスポーツグレードが「タイプS」だ。シビックにおけるタイプRとほぼ同じ位置づけではあるが、2023年時点で「タイプR」はシビックにしか設定されないのに対し、タイプSはMDX、TLXに続いて3車種めの設定となる。

最大の注目となるエンジンは、FL5型シビック・タイプRとおなじK20C型2リッター直列4気筒直噴ターボ。最高出力は320hpを発揮する。「320」という数値は日本仕様のシビック・タイプRと同様だが、じつは日本仕様の表記はPSであり、北米仕様車のhp表記とは単位が異なる。

そこで同じ北米仕様で比較すると、北米仕様シビック・タイプRは315hp、インテグラ・タイプSは320hpと5hpの違いがある。K20C型エンジン本体はもちろん、タービンや補機類も両車で差別化はされていないそうだが、インテグラとシビックでは排気系が異なることなどが、パワーアップに繋がっているようだ。

ロー&ワイドが強調されたスタイリング

インテグラ タイプSのボディサイズは、全長186インチ(4725mm)×全幅74.8インチ(1900mm)×全高55.4インチ(1405mm)。ホイールベースは107.7インチ(2735.5mm)だ。FL5型シビック タイプRに比べて全長は130mm長く、10mm幅広い。全高およびホイールベースはほぼ同じだ。

外観のデザインでは、前後のオーバーフェンダーや大きな開口部を備えたフロントバンパーや、ボンネット上の排熱用エアアウトレットといったディティールはシビック タイプRと同様。現行ACURAのファミリーフェイスであるダイヤモンドペンタゴングリル、そしてLEDを採用したヘッドライトが与えられる。

ラゲッジスペースは開口部が広く使い勝手が良さそう。リアシートは60:40の分割可倒式だ

リアまわりもバンパー下には大型ディフューザーが備わるほか、マフラーは3連のテールエンドを持つセンター出しマフラーを採用。シビック タイプRでは中央部分のみ大径となっているが、インテグラ タイプSでは同型の3連タイプとなる。

もっとも「タイプS」らしい点といえるのは、リアスポイラーの処理だ。シビック タイプRでは左右のステーが支えるウイングタイプのスポイラーを備えているが、インテグラ タイプSでは小ぶりなダックテールタイプのリアスポイラーが装着されるのみ。さらにリアワイパーも装備されておらず、ルーフから流れるようなボディラインが強調されているあたりは、ラグジュアリーブランドらしい仕立てといえる。

インテリアでは、ブラック×レッドを基調とするタイプRに対し、インテグラ タイプSではブラック×ホワイトとされた。水平基調のダッシュボードはシビックと同じような印象だが、正円タイプのステアリングはスポーク部分にアルカンターラ素材を使用したタイプS専用品で、レッドステッチがスポーティな印象を強めている。

各種メーター類は10.2インチの液晶モニターに表示されるほか、インテグラ タイプS専用の5.3インチヘッドアップディスプレイを搭載。さらにダッシュボード中央には9インチのセンター液晶ディスプレイも標準装備となる。

インテグラ・タイプSではもっともホットなモードとして「SPORT+」が用意されている。走行モードの切り替えは、シフトレバーの横に配置されたトグル式スイッチにて行う

メーターは10.2インチの液晶タイプで、オーソドックスな2眼式表示。シビック・タイプRの場合、走行モードで「+R」を選択するとデジタル式へと表示内容が変更されたが、インテグラ・タイプSの走行モードは「コンフォート」、「スポーツ」、「スポーツ+」、そしてオーナーの任意で設定できる「INDIVIDUAL」という4種類。そのため、シビック・タイプRのようなデジタル式表示は存在しないようだ。

インテグラ タイプSのトランスミッションは6MTのみとなるが、シビック タイプRとは異なる細身のデザインを採用。じつは初代インテグラ タイプRのオマージュとして設計されており、素材はなんとチタニウム製。6速シフトパターンもあえて黒字で記されるなど、「タイプS」として独自の拘りを感じさせる。

ホイールは前後とも19インチで、タイヤはミシュラン製パイロットスポーツ4S、サイズは265/30ZR19を装着する。ブレーキキャリパーもシビック・タイプRと同じくブレンボ製で、フロントの対向4ポットキャリパーにはACURAとbremboのロゴが並んで記されている。

ボディカラーは全7色、気になる車両価格は…

インテグラ タイプSのボディカラーは、専用カラーのタイガーアイパールを含む7色が用意されている。ホワイトパール系のカラーは(当然ながら)タイプR専用色のチャンピオンシップホワイトではないが、ボディの前後には「Type S」のエンブレムが与えられスペシャルモデルであることをアピールする。

そしてもっとも気になる車両価格(MSRP)は、5万800ドル(約日本円換算だと約711万円/1ドル140円換算)。ただし、このMSRPはあくまで車両価格のみの表記で、北米地域でクルマを購入する場合は「destination charge」と呼ばれるディーラーへの陸送費ほか諸費用が必要。

そのdestination chargeは1195ドルに定められており、インテグラ タイプSを車両購入する場合は合計5万1995ドル(約727万9300円)からがスタートとなる。

同じ北米市場におけるシビック タイプRの車両価格(MSRP)は、4万3795ドル(約613万円)。インテグラ タイプSは、さらに約100万円のアップとなる。

「世界最速FF」を誇るシビック タイプRとほぼ同等の運動性能を持ちながら、よりスマートかつ高級感を漂わせる内外装を誇るインテグラ タイプSは、それでもすでに多くの購入希望者がいるようだ。

日本市場へ導入される可能性はゼロといっていいうえ、並行輸入で日本国内へ持ち込まれたとしても相当に高価になってしまいそうなだけに、日本国内のホンダファンにとってインテグラ タイプSは残念ながら「高嶺の花」だ。

それにしても、北米市場におけるACURAは元気いっぱい! このインテグラ タイプSはMDX、TLXに続いて3台目の「Type S」だ。日本国内におけるHONDAのスポーツモデルがシビック タイプRのみ(それも現在は受注停止中)であるのと比べると、ちょっぴり、いやかなり羨ましいのである。

(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)