【K4-GP】N-ONEオーナーズカップ参戦メンバーでチームを結成、軽自動車のお祭り7時間耐久レースに参戦!【後編】
いよいよ2023年のモータースポーツシーズンもスタート! 1月28-29日の週末に静岡県・富士スピードウェイで開催された「K4-GP FUJI 7時間耐久」に参加してきました。
「K4-GP」とは、軽自動車をベースとするレース車両で争われる耐久レース形式のモータースポーツイベント。耐久レースとはいいつつも、参加車両のクラス毎に使用できる燃料量が厳しく定められており、『限られた燃料内でいかに燃費を良く長い距離を走るか』を競う、エコ耐久レースです。
例年、K4-GPは夏と冬にそれぞれ耐久レース形式で行われていますが、今回は2023年冬の7時間耐久レースに「NO(エヌオー)」クラスが新設。名称のとおり、「N-ONEオーナーズカップ(NOC)」の参戦車両によるクラスで、K4-GPにおけるレギュレーションも特例としてNOCの規定がそのまま用いられます。
そんな面白いイベント、ぜひ参加したい! というわけで、ふだん384号車のメンテナンスをお願いしている「HCMスポーツガレージ」からNOCに参戦しているメンバー、そして同店のメカニックも加わってチームを結成。1台を5名のドライバーでドライブし、合計2台10名で参戦!
いよいよ公式練習! しかしピットロードはスケートリンクみたい!?
2023年冬のK4-GPは、1月28日(土)に練習走行と予選、翌1月29日(日)に7時間の決勝レースが行われます。練習走行が行われた1月28日は、前夜に降った雪のためコースの各所は真っ白! ピットロードは凍結しておりツルツルに滑りやすく、人が歩くことも難しいくらい。
幸いにも午前中から陽射しに恵まれてレーシングコースは乾いていったものの、ピットロードは雪と氷に覆われており、富士スピードウェイのスタッフが懸命に作業を行っていました。本当にありがとうございます。
富士スピードウェイは常にコースの南側から太陽があたるため、メインストレートの右側およびピットロードは基本的に日陰。午後になってもピットロードは氷に覆われており、車両が通るには安全が確保できないために公式練習はピットロードを通らずにコースインする形式で行われました。
今回384号車HCMホンダスタイルN-ONEは、NOC参戦経験が豊富な真弓徳浩選手、箕浦雄二選手、佐野こうじ選手、HCMスポーツガレージの工場長である吉田ヒトシ選手、そして僕(佐橋健太郎)の計5名でドライブ。まずは前編で紹介したブレーキパッドやタイヤの感触を確かめつつ、想定燃費を意識した走りを試します。
K4-GPは7時間の耐久レースですが、使用できる燃料は各クラスごとに決められています。僕らの「NOクラス」は車両の燃料タンク容量である35リットルに、32リットルの給油を合わせた計67リットルが使用できる総量となります。
もちろん、ずっと全開で走っていたら到底完走できる燃料量ではありません。いかに燃費を抑えつつ、ラップタイムは落とさずに走るかが重要になります。
燃料消費を抑えるためには、まずはなるべく急加速をしないこと。コーナー立ち上がりでのスロットルは優しくじわっと踏み、コースも広く使うことをイメージしてボトムスピードを落とさず走ることを意識してみました。タイヤやブレーキパッドのフィーリングは上々で、あとはドライバー交代の練習などを行って公式練習が終了しました。
富士スピードウェイのストレートに127台が整列!
そしていよいよ迎えた決勝の朝、天候は晴れ。富士山もくっきりと姿が見えるほどの青空ですが、風は非常に冷たく春の到来にはまだちょっと時間がかかることを感じさせます。
今回のK4-GP 7時間耐久に参戦した車両は全127台。K4-GPのスタートシーンといえば、ストレート上に並んだ車両にチームスタッフが駆け寄る「変則ル・マン式」が有名ですが、気温が低すぎたためか参戦台数が多すぎたためか、今回はオーソドックスにストレート上にマシンを並べます。
NOクラスは全17台で、384号車のチームメイトである232号車HCM☆NORI☆N-ONEをはじめ、NOCのトップドライバーたちが多数参戦! 現役のSUPER GT/SUPER FORMULAドライバーである野尻智紀選手と大津弘樹選手など、バラエティに富んだ参戦チーム(の一部)はコチラで紹介していますのでぜひご覧ください!
さて前述のとおりK4-GPでは使用できる燃料量が各クラスごとに決められていますが、給油回数は4回と定められており、さらに「各回に何リットル給油するか」も事前に申請しておかなければいけません。
また給油は各ピットではなくサーキット内のガソリンスタンドにて行うため、複数の車両が同じタイミングで給油に向かうと、ガソリンスタンドで給油渋滞を起こしてしまいます。スタート時点では全車が満タンとなっていますが、この給油タイミングや給油量も、レース戦略を立てるうえで重要な要素といえます。
なお今回のK4-GPでは、予選は開催されたものの参加は任意。スタートグリッドはクラスごとに並べられ、そのクラス内での順番は「エントリー費用を振り込んだ順」とのこと(ただし真偽は不明)。
いずれにしても7時間の耐久レースであり、スタート直後からハイペースで走ったり、逆に燃費を意識して明らかに抑えて走るチームもいたりと作戦はバラバラなのでさほど大きな問題ではありません。
ホームストレート上に並んだ127台のマシンは、定刻どおり9:00にスタート! といっても最初の数周はセーフティカーによる先導走行となっており、数周を走ったのちにグリーンランプが転倒してローリングスタート! バラエティ豊かな車両たちが、次々と1コーナーへ向かっていきました。
私たちの384号車も、チームメイトである232号車とともにラップを重ねていきます。なんといってもNOC車両は「純正コンピュータ」で「スピードリミッター有り」かつ「吸気系はノーマル」なので、チューニングされた他車両に比べるとストレートスピードが段違い!!(もちろんNOC車両のほうが遅い)
NOC車両はなんせ135km/hでスピードリミッターが効いてしまうので、いくら燃費を重視した走行といっても周囲との速度差は大きく、バンバン抜かれていきます。
いっぽうECOタイヤ装着ながらコーナリングスピードは(それなりに)速いし、そもそもコース上では127台もの車両が同時に走っているため、あちこちでオーバーテイクが行われます。混戦のなかでもいかにスピードを落とさず、そして燃費を抑えて走るか。自車に対するドライビングテクニックだけでなく、周囲の車両の動きを読む能力も大事になります。
レースは1時間を経過したあたりからトラブルやアクシデントが発生し始め、7時間耐久の折り返しを迎える前に3度のセーフティカー導入となるなど荒れ模様。そんななか384号車は、メーター内の燃費表示を注視しつつ、1分45秒〜50秒くらいのペースで安定して走行を続けていきます。
レース前の想定プランどおりに走行を続けている384号車は、接触やトラブルもなくクラス11番手を走行していきます。タイヤ「GOODYEAR RV-F」、ブレーキパッド「プロジェクトミュー TYPE HC+」はともにスタート時から無交換ですが、タレやフェードの兆候もなくフィーリングは良好。各ドライバーのコメントも「走りやすい」「まったく問題ない」と好評です。
そしていよいよ残り1時間を迎えるころ、どうやら燃料消費的には余裕があり、このままチェッカーまで全開で走っても大丈夫そう。というわけで、いよいよラストスパート! 全開走行で前をいくライバルたちを追いかけます。
最終スティントを担当した箕浦選手は、チームからの檄に応えて123周目にこの日のベストラップとなる2分36秒173を記録。やがて7時間が経過してトップのマシンがチェッカーフラッグを受けると、384号車も131周を走り切って無事にチェッカーとなりました!
最終結果は、384号車HCMホンダスタイルN-ONEがNOクラス10位(17台中)、総合60位(127台中)。チームメイトの232号車HCM☆NORI☆N-ONEは、NOクラス6位(17台中)、総合37位(127台中)となりました。
K4-GPは、その名のとおり軽自動車をベースとする車両で行われる耐久レースであるため参戦のハードルは低く、また大勢で楽しめる参加型モータースポーツイベント。
NOクラスはNOC車両のみで争われますが、他クラスには往年のレーシングマシンを模したカウルを装着した車両など、非常にユニークでバラエティに富んだマシンが参加しており、見ているだけでも楽しめます。
しかしながら、各クラスが使用できる燃料量は主催者によって非常に絶妙な値に設定されており、上位入賞を果たすためには、速さと燃費を両立させる高度なドライビングテクニックと、マシンセッティングが必要になることを、改めて感じました。
モータースポーツはやっぱり楽しい! そして非常に奥が深い。こうなったら夏のK4-GPに向け、ドライビングの練習やマシンセッティングの勉強を今から準備するしかないですね!
(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎 photo:Hideo HAGIWARA 萩原英士)
https://www.project-mu.co.jp/ja/
日本グッドイヤー
https://www.goodyear.co.jp
HCMスポーツガレージ
https://www.hcm-sportsgarage.com