【動画】北米HPDが800馬力オーバーのCR-Vハイブリッドレーサーを製作中。伝統のヒルクライムイベントに参戦か!?
北米市場におけるベストセラーSUVであり、ホンダの基幹車種といえるCR-V。2023年モデルではフルモデルチェンジを受け6代目へと進化し、ハイブリッドシステムが新世代の2モーター式へと換装されるなど注目を集めているが、なんと『最高出力800HPオーバーのレース仕様車が製作中』という驚くべきニュースが飛び込んできた。
CR-V Hybrid Racer(CR-Vハイブリッド レーサー)と名付けられたこの車両は、北米地域におけるホンダのモータースポーツ活動を担当するHPD(ホンダ パフォーマンス デベロップメント)が製作を担当しているプロジェクト。
詳細は2023年2月28日に明らかになると発表されているが、すでにディザー画像やプロモーション映像が公開されている。さっそくそれらの画像や映像から、車両の概要を推測してみよう。
まずボディについては、ヘッドライトやテールレンズにベース車両の面影を感じさせるものの、ほとんどの外装パーツは新規に製作されており、前後の強烈なオーバーフェンダーや大型のリアウィングを装着。フロントバンパーはカーボン素材を使用した一体式が採用されている。
大きく張り出したオーバーフェンダーもカーボン製で、上部にはタイヤハウス内の熱気を排出するダクトが設けられている。またボンネット上にも排熱ダクトの存在が見て取れる。
ボディ形状そのものはベース車両と同様の5ドアとなるが、フロントドアは跳ね上げ式されたほか、リアセクションは一体式のカウルとなっておりリアドアは固定式。そしてリアカウルを開けて整備中の写真には、エンジンルームなどに貼る金色の断熱シートもわずかに見えており、どうやらミッドシップレイアウトを採用しているようだ。
そのミッドシップマウントされるパワートレインについても当然ながら未発表だが、800HPそしてハイブリッドという条件を満たすのは、当然ながらCR-Vに搭載されている2モーター式ハイブリッドではなく、レース専用ユニットに限られる。
公開されている画像には赤いヘッドカバーが映っており、角度的にもV型エンジンの片バンクと思われる。となるとHPDが開発した最新レーシングカー、ACURA ARX-06に搭載される2.4リッターV6ツインターボ+ハイブリッドではないだろうか。
ACURA ARX-06とは、北米における「ハコ」レースの最高峰であるIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に、2023年シーズンから投入されたレーシングカー。LMDh規定に合わせて開発された車両で、アメリカの上位レースカテゴリーでは初めて、ハイブリッド・システムを搭載したレース車両となる。
2023年1月下旬に開催されたデイトナ24時間耐久がACURA ARX-06のデビューレースとなり、60号車が見事にポールポジション獲得および総合優勝を飾り、その速さや信頼性、耐久性をアピールした。
そのARX-06に搭載されたパワーユニットが、このCR-Vハイブリッドレーサーに搭載されていると予想する。Cまたインテリアの画像は、ステアリングのアップのみが公開されているが、各種ダイヤルやシフトインジケーターが搭載されており、その多機能ぶりはレーシングカーそのものだ。
そしてもっとも気になるのは、この800HPを超えるというCR-Vハイブリッドレーサーがいったいドコで走るのか? という点だ。
当然ながらCR-V(のガワを被ったレース専用車)が参戦できるレースカテゴリーは多くないが、本誌ホンダスタイルWebではズバリ、本年6月に開催される「パイクスピーク インターナショナル ヒルクライム」がCR-Vハイブリッドレーサーのお披露目の舞台であると予想する。
100年を超える歴史を誇る「パイクスピーク インターナショナル ヒルクライム」は、コロラド州パイクスピークの山々を舞台に行われるモータースポーツ。スタート地点は標高2862 mで、頂上までの距離19.99kmを駆け上がるスピードを競うタイムアタックイベントだ。
スタート地点とゴール地点との標高差は1439mもあり、コース全長19.99kmのうち後半セクションは富士山の山頂よりも高い場所を走行する。
世界中から様々な車両が集まる「パイクスピーク インターナショナル ヒルクライム」に、北米ホンダからは毎年従業員がチームを結成して参戦している。
これまでにもNSXやACURAインテグラなど、様々な新型車両がPRを兼ねて参戦してきたが、2023年はおそらくこのCR-Vハイブリッドレーサーがデモンストレーション・ランを行うと本誌は予想する。
純レーシングカーの心臓を移植された超速CR-Vハイブリッドレーサー、その走りに注目だ。
(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)
。