【TAS23】次期GT500車両の「シビック・タイプR-GTコンセプト」を発表! NSX-GTの後継として’24年に参戦予定
2023年1月13日、ホンダは千葉県・幕張メッセで開催された「東京オートサロン2023」において、新型レーシングカー・コンセプトの「CIVIC TYPE R-GT CONCEPT」を発表した。2024年のSUPER GTシリーズ GT500クラス参戦に向け、ホンダ・レーシング(HRC)が開発している次世代GT車両のコンセプトモデルとなる。
例年と同様、西ホールの奥にブースを構えたホンダ。ホンダ/ホンダアクセス/無限の共同展示となったブースには、向かって右手から無限、ホンダ、ホンダアクセスという並び。会期初日の金曜日は前半がメディアデイとなっており、ホンダのプレスカンファレンスは10時30分開始とアナウンスされていた。
プレスカンファレンスの開催前、ブース中央のステージ上に置かれた車両にはブラックのヴェールがかけられており、その内側を見ることはできなかった。
やがて定刻の10時30分を迎え、プレスカンファレンスが開幕。まずは本田技研工業の商品ブランド部長 篠原邦治氏が登壇すると、現在、半導体不足による新車製造スケジュールに遅延が発生し、購入者への納車期間が延びてしまっていることに対するお詫びの言葉が述べられた。ホンダとしても喫緊の課題として捉えており、今後もできるだけそれが短くなるように努力していくという姿勢が改めて強調された。
その後、今回の東京オートサロン2023におけるホンダブースについて紹介。「走りの楽しさを感じてもらう」ことを展示コンセプトに掲げ、ステージ横に展示されたシビック・タイプRのスーパー耐久参戦車両、フィットe:HEVのEnjoy耐久参戦車両、そしてN-ONEオーナーズカップの参戦車両について紹介した。
そして、ホンダのモータースポーツ活動を担うHRC(ホンダ・レーシング)の 代表取締役社長、渡辺康治氏が登壇。ステージ上の展示車両について概要を紹介するとともに、車両にかけられていた黒いベールが外されて「CIVIC TYPE R-GT CONCEPT」が姿を現した。
ベールの下から姿を現したのは、HRCのコーポーレートカラーであるトリコロールを身に纏った「シビック・タイプR-GT CONCEPT」だ。その名のとおり、ホンダが2024年からSUPER GTに参戦することを想定したコンセプトモデル。注目は「GT500に参戦を想定した車両」であるという点だ。
現在、ホンダはNSXをベースとしたGTマシン「NSX-GT」でGT500クラスに参戦しているが、2代目NSXでの参戦が開始されたのは、まだ「NSX CONCEPT-GT」という車名だった2014年のこと。同車は2016年まで参戦し、2017年からは「NSX-GT」としてSUPER GTに参戦してきた。
「NSX CONCEPT-GT」としての参戦初期はハイブリッドユニットをミッドシップにマウントしていたが、2016年からはハイブリッドシステムを降ろして純ガソリンエンジンへ変更された。2017年からは車名をNSX-GTとし、その後もレギュレーションに合わせてFRレイアウトへ変更されるなど進化を重ねた。
2018年と2020年には、いずれもTEAM KUNIMITSUがシリーズチャンピオンを獲得しているが、2022年いっぱいで2代目NSXの生産が終了となり、今後はどんな車種をベースとしたレース車両で戦うのか注目が集まっていた。そこで今回、新型シビック・タイプRをベースとしたGT500車両でSUPER GTを戦うことが明らかになった。
市販車両のシビック・タイプRはフロントにエンジンを横置き搭載し、フロントタイヤを駆動するFFレイアウトを採用しているが、GT500車両はレギュレーションに定められているとおり、現在のNSX-GTと同じく縦置きのFRシャシーを継続する。
ボディは市販車同様の5ドアハッチバックとなっており、NSX-GTと比べてフロントドアは明らかに短い。右ドア部分に排気口が存在し、左ハンドルを採用している点はNSX-GTと同様だ。ボディ後半部分は、Cピラーやリアのクォーターウィンドウ、テールゲートといったシビックならではの特徴が多く見られる。リアのドアノブは装着されているものの、リアドア自体は固定化されている模様だ。
「このマシンはまだデザインの方向性を示す段階ですが、この東京オートサロンをはじめ、ファンの皆様がご覧いただける機会を用意してまいりますので、ぜひご期待をいただきたいと思います」
登壇したホンダ・レーシング(HRC)の渡辺康治社長はこのように話すとともに、2023年シーズンがGT500クラスへの参戦が最後となるNSX-GTについても、「有終の美を飾るためにも今年はチャンピオン獲得を必達目標に掲げ一丸となって邁進してまいります」と力強く語った。
(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)