【北米ワンダー】「環状」のテイストを現代に伝え、さらにUSテイストをミックス! 左ハンドルのシビックSi
アメリカから輸入された、左ハンドルのワンダーシビックSi。北米仕様のSiは、グレード名は同じでも日本仕様のSiとは異なり、EW3型という1.5リッター直列4気筒SOHCエンジンを搭載。最高出力は92PSと、名機ZC型を搭載する日本仕様に比べるとより穏当なキャラクターとなっている。
(Honda Style 102号に掲載)
そんな北米Siをベースに仕立てられた現車は、サンルーフも備わっていかにもアメリカっぽい雰囲気が漂う。ネオヒストリック・ホンダ好き垂涎の無限製ホイールとマフラーを装着し、車高はフェンダーを加工しないギリギリの低さにローダウンすることでスポーティさも演出している。
存在感バツグンのリアスポイラーは、このワンダーシビックを手掛けたファイブマートのオリジナルブランド「Osakajdm」製。これだけで大阪環状族らしさを醸し出す、まさにマストアイテム。独特の”反り”と”角度”は、ルーフとのマッチングも絶妙だ。
ホイールは無限製CF48。現存するCF48は14インチが多いが、こちらは珍しい15インチ。サイズは15×6.0JJ、インセットは+38。しっかりとレストアを行い、ADVANネオバAD08Rの195/50R15サイズを組み合わせている。
当時物のマッドガードも備わり、’80年代の大阪環状族らしさと、アメリカ西海岸の空気感を絶妙に混ぜ合わせている。日米のホンダチューニングカルチャーをクロスオーバーさせているところは、いかにも『ファイブマート』らしい仕上がりだ。
インテリアは基本的にオリジナルが残されており、当然ながら左ハンドルで、メーターもマイル表示となる。かなりきれいな状態の純正シートは、今となっては貴重品だ。ステアリングとシフトノブはグリップロイヤル製に交換され、いかにも北米のストリートチューニングシーンを想像させてくれる。
オーナーの松野祐季さんは、まだ30代前半の若さながら、1980年代の全日本ツーリングカー選手権で活躍したワンダーシビックの虜となったひとり。またモータースポーツが趣味とのことで、鈴鹿クラブマンレースに参戦するなど、「ホンダスポーツ」を体現している若武者でもある。
「これまでシビックだけで5台くらい乗り継いできました。左ハンドルはEJ7型シビッククーペに乗っていたことがありますが、北米仕様のワンダーシビックはとても珍しいですし、当時の環状文化へのリスペクトも呼び起こしてくれるので、ぜひこのクルマに乗ってみたいと思って購入に至りました」
そう語る松野さんは、今は通勤のために毎日ワンダーに乗っているそう。ノーマルのエンジンはちょっと物足りないので、いずれはVTECへの載せ替えなども視野に入れているそうだが、好みの車高にセッティングし、貴重な無限のマフラーも備えるネオクラシックな仕上がりを大いに気に入っている。
「クルマは走ってなんぼだと思っているので、魅せるだけのショーカーには興味ありません。外観はもちろん、ワイヤータックしてエンジンルームもキレイなワンダーでストリートを乗り回してたらかっこいいじゃないですか(笑)。左ハンドルなのに環状のDNAが生き続けているこのワンダーを、これからも大事に楽しみながら乗っていきたいです」
(photo:Kiyoshi WADA 和田清志、text:Hideo KOBAYASHI 小林秀雄)
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