【料金体系変更】ホンダモビリティランド、鈴鹿SMSC&もてぎTRMC-Sの走行会員制度を’22年12月よりリニューアル
鈴鹿サーキットとモビリティリゾートもてぎを運営するホンダモビリティランドは、両サーキットの走行会員制度「SMSC」および「TRMC-S」を、2022年12月7日にリニューアルすると発表した。
変更点を記す前に、まず鈴鹿の「SMSC」および、もてぎの「TRMC-S」について説明しておこう。こちらは両サーキットでスポーツ走行を楽しむ会員制度で、走行するためには両クラブの会員となり、規定のライセンスを受講しなければならない。
ライセンスは1年毎で有効期限は翌年2月末日までとなっており、例えば2022年のライセンスであれば、有効期限は2023年2月末日。今回発表されたリニューアル内容は、来年2023年度のライセンスにおいて反映されることとなる。
手続きはすべてオンライン上で。走行当日はスマホを忘れずに!
リニューアルにおける変更点については、基本的に鈴鹿SMSC/もてぎTRMC-Sともに共通。入会や更新、ライセンス講習の受講、スポーツ走行予約および当日の決済などの手続きがオンライン化され、パソコンやスマートフォン、タブレットでの手続きのみ対応となる。
これまでは、走行当日に現地の清算所に赴いて現金またはクレジットカードで支払いとなっていたが、2022年12月7日以降は事前にクレジットカード払いまたはコンビニ払いのみとなり、逆に現地での支払いはできなくなる。
入会および更新時に受講が義務付けられているライセンス講習についても、2022年12月7日以降はオンラインのみで実施。そのかわり24時間いつでも受講が可能となるほか、ライセンスカードはデジタル会員証に集約され、スマートフォンにて表示されるとのこと。
現地での諸手続きや精算・入会講習が廃止となるうえ、サーキットライセンスを忘れた!ということもなくなるので(スマホを忘れたらOUTだが)、参加者とすれば走行当日の時間にゆとりが持てるようになり、利便性は大きく向上するといえそうだ。
なおSMSCとTRMC-Sのライセンス資格の共有や、走行時のピット利用、エアーコンプレッサーの使用、マイポンダー登録によるタイム計測サービスレース観戦料金(自由席)および駐車場の無料化、リゾート施設の割引といった優待は変わらない模様だ。
鈴鹿サーキット SMSCの場合[2022年12月以降]
…と、ここまではGOODニュース。以下がBADな変更点となる。
まず最大の変更点は、各種料金の値上げだ。新料金についてはSMSC、TRMC-Sのどちらも表を参照いただきたいが、共済会費のみ据え置きで、登録料(入会初年度のみ必要)、年会費、そして走行料金のいずれも値上げとなっている。
そしてキャンセル規定も変更になる。今回のリニューアル後は、走行を予約した日の2日前の正午12:00より以降にキャンセルした場合、キャンセル料が100%発生する。つまり前日や当日朝の天候を見て『今日はウェットだしヤメておこう…』が出来なくなるということだ(正確にはキャンセルは可能で、ただし料金は通常どおり発生する)。
鈴鹿サーキットを愛車でスポーツ走行してみたい!という方にとって、もっとも一般的な「チャレンジクラブ」を例にして見てみよう。SMSCチャレンジクラブとは、ナンバー付きの車両で、鈴鹿サーキットのフルコースおよび南コースを走ることができるライセンスだ。
これからSMSCに入会して鈴鹿サーキットを走ろうとした場合、2022年は入会金(登録料)1万1000円+年会費1万5300円+共済会会費1万円、そして走行料が6600円(30分)だ。1日に30分×2本を走るとした場合、年度初めは計4万9500円が必要となる。
これが2022年12月以降に適用されるリニューアル料金でいうと、入会金(登録料)2万5000円+年会費2万5000円+共済会会費1万円、そして走行料は8000円(30分)なので、同じく30分×2本を走るとした場合、年初の総計は7万6000円にもなってしまう。
モビリティリゾートもてぎ TRMC-Sの場合[2022年12月以降]
モビリティリゾートもてぎのTRMC-Sもリニューアル内容はSMSCと同様だが、値上げ幅はやや少なめ。TRMC-Sでは、四輪車の区分はフォーミュラのみ別となるだけで、ナンバー付き車両であるかどうかは関係がない。
2022年は入会金(登録料)1万5000円+年会費1万6000円+共済会会費1万円、そして走行料が6700円(30分)だ。1日に30分×2本を走るとした場合、総計5万4400円が必要となる。
2022年12月以降に適用されるリニューアル料金では、入会金(登録料)2万円+年会費1万8000円+共済会会費1万円、そして走行料は曜日や季節によって異なるが、7000円〜7500円(30分)なので、30分×2本を走るとした場合の総計は最低でも6万2000円が必要になる。
鈴鹿のN-ONE限定ライセンスは設定が継続されるけれど……
ちなみに鈴鹿サーキットのSMSCでは、「N-ONE限定」というライセンスが存在する。鈴鹿サーキットおよびモビリティリゾートもてぎでは、フルコースを軽自動車で走行することを認めていないが、唯一の例外として鈴鹿ではN-ONE OWNER’S CUP車両によるスポーツ走行が認められており、その際に必要なライセンスだ。
筆者もこちらのN-ONE限定ライセンスを所有しているが、N-ONE OWNER’S CUP車両の走行枠はせいぜい1ヶ月に1度設定されるかどうかであり、しかも平日であるために参加できないことも多い。昨年2021年はコロナ禍ということもあって、結局1度も使用することなく終了してしまった(泣)。
4輪ではもっとも身近な料金設定となっているN-ONE限定ライセンスだが、それでも2022年12月以降は年会費2万円+共済会会費1万円、そして走行料が8000円(30分)となる。一般車両に比べれば依然としておトクではあるけれど、前述のようにそのぶん走行枠の設定が少ないので心証的にはトントンという感じ。
いっぽうで一般の四輪車は、消耗品費やメンテナンス費も多くなることを考えると、今回の料金体系変更によって気軽に楽しめる趣味とは言えなくなっている気がするのは筆者だけだろうか。もちろんユーザーサイドにおける利便性の向上や、充実したサーキット設備の使用、また安全に走行できるサポート体制の充実といった部分は歓迎されるべきなのだが……。
(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)
https://www.suzukacircuit.jp/smsc/
モビリティリゾートもてぎ TRMC-S
https://www.mr-motegi.jp/trmc-s/