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【Are you ready?】マイクをステアリングに持ち替えてJoy耐へ参戦!! ドライバー「ピエール北川選手」にインタビュー

モビリティリゾートもてぎで開催される『Enjoy耐久(Joy耐)』といえば、アマチュアレーサーにとって夏のお祭り。名称のとおり楽しむことを最大の目的にした参加型モータースポーツで、今年は21回目の開催となる。例年は真夏の時期に行われるのが恒例になっていたが、今年は初夏の空気が漂う5月8日に決勝レースが開催された。

そんなJoy耐のエントリーリストに、モータースポーツファンにはお馴染みの名前を発見! SUPER GTやスーパーフォーミュラの場内実況を始め、レースアナウンサーとして活躍するピエール北川さんが、今年のJoy耐にレーシングドライバーとして参戦。決勝レースに備えて準備中のピエールさんに、Joy耐参戦の経緯や、その楽しさについてお話を伺った。

念願が叶って、ついにJoy耐初参戦!

36号車「HCM☆内野製作所☆DLFIT」のドライバーたち。左から坂井拓斗選手、岩間浩一選手、阿久津敏寿選手、ピエール北川選手、内野徳昭選手。総勢5名のドライバーでJoy耐に挑んだ

Honda Style(HS):今やサーキットには不可欠な存在といっていい、レースアナウンサー・ピエール北川さんですが、初めてモータースポーツと触れられたのはいつごろですか?

ピエール北川(PK):「僕はもともと三重県の出身なので、小さいころから親に鈴鹿サーキットへ連れて行ってもらったりしていました。ただ当時はあくまで「見るもの」であって、自分が初めてモータースポーツに参加したのは19歳のころかな、ジムカーナが最初でした。そのあと社会人として働くようになってからカートを始めました」

HS:最初はジムカーナだったのですね! ちょっと意外でした。

PK:「ジムカーナは運転技術を磨くのに最適だと思っていますし、市販車でほぼ無改造のクラスもあるので、経済的な部分でも魅力ですよね。カートを始めてしばらくして、レース場での場内実況を頼まれたんです。そこから「伝える」仕事を徐々に頂けるようになって、自然と軸足が移っていったという感じです。現在ではスケジュールが合ったときに、年に数度ラリーに出ているほか、N-ONEオーナーズカップにも出場しています」

HS:そうだったのですね。今回、Joy耐に参戦することとなったのは、どんな経緯だったのですか?

PK:「僕がN-ONEオーナーズカップに参戦してから、HCMスポーツガレージの岩間店長とは繋がりがあって、以前から「ぜひJoy耐を一緒に走りませんか」とお声がけを頂いていたんです。Joy耐は個人的にもすごく興味のあるレースだから、ぜひ参加したかったのだけど、夏の時期はどうしても他のレースイベントと日程が重なってしまって参加できずにいました」

PK:「今年はJoy耐が5月開催となったので、お声がけを頂いたときは二つ返事で『ぜひぜひ!』ですよ。ついに念願が叶って初参戦です。SUPER GT第2戦(富士)が終わってから、そのままもてぎへ移動してきました(笑)」

いよいよピエール北川センシュへとドライバー交代! 第3スティントを担当しました

HS:Joy耐をはじめ、参加型モータースポーツの魅力ってどんなところにあると感じられていますか?

PK:「今年から『モビリティリゾートもてぎ』へと名称が変わったけれど、僕はツインリンクもてぎの時代から実況をやらせて頂いていて。もう25年くらいになるのかな。だからJoy耐もカートのK耐もレースはよく知っています。K耐は出場したこともあります」

PK:「モータースポーツってドライバーだけじゃなく、メカニックやチームスタッフ全員で争う競技だけど、耐久レースはさらに「全員で戦う」という意味合いが強いですよね。そこが耐久レースの魅力。なかでもJoy耐やK耐は、グラスルーツカテゴリーとしての耐久レースだから、ベテラン選手がビギナーにいろいろノウハウやマナーを教えてあげていたり、幅広い人たちがわいわいと楽しみながら参戦している。このパドックの雰囲気が最高にいいと思います」

クルマにとって「軽さ」こそが正義だと思っている

HS:今回、フィットRSのレーシングカーを走らせた印象を教えてください。

PK:「とっても乗りやすい! 僕、モビリティリゾートもてぎでは何度も実況をしているけれど、レーシングコースを走るのは初めてなんです。もちろんフィットのレーシングカーも初めて。SUPER GTが終わって移動してきて、そのまま金曜日の練習走行を迎えるという日程だったから緊張するだろうなと思ったんだけど、驚くほど乗りやすくて比較的早く慣れることができました」

HS:チームからも、ピエールさんの「速さ」には流石だという声がありました。

PK:「なんとか及第点を頂くことができました(笑)。僕は、クルマにとって『軽さこそ正義』だと思っています。ラリーをやっていると、軽いクルマって加速も減速も、旋回も、軽いクルマってすべての反応が素直だなと感じます。ドライバーの思いどおりに動かせるから、乗っていて疲れないし運転が楽しい。このフィットは完全なレース仕様だけど、エンジンやミッションはノーマルだし、決してパワフルなクルマじゃない。だけどボディ剛性は高いし、内装がぜんぶ外されて車重が軽いから、とにかく乗りやすいし楽しい」

コックピットで寝ている…ワケではありません。Joy耐ではピット滞在時間が厳密に定められており、ピットアウト前のわずかな時間を使用して最後の集中! このあとピエールさんは約1時間30分のスティントを走行しました

HS:現行モデルのフィットではRSが設定されておらず、その反動か、先代GK5型フィットRSの中古車価格も上がっている印象です。

PK:ホンダに限らずですが、市販車の世界でも軽くて小さいクルマってどんどん減っているからね。そこはちょっと残念に思います。小さくて軽いクルマを操ることの楽しさを伝える、そういう意味でもJoy耐のようなレースは重要なんじゃないかなと感じます」

HS:ご自身がサーキットを走行することで、普段のレースアナウンサーのお仕事にも「活かされている」と感じる部分はありますか?

PK:「うーん、どうだろう。もちろんプロのレーシングドライバーの速度域とは全然違うから、感覚や技術的なところは参考にできないと思います。だけど走っているコースは同じだから、ドライバーが話している感覚的な言葉を、自分の頭のなかでイメージしやすくなるという点はあるかもしれませんね。ほとんどは、走るたびに『レーシングドライバーってやっぱりスゲー!』って驚いてばかりです(笑)」

初体験のグリッドボーイはとっても感動的でした

HS:今回はスタート前の「グリッドボーイ」もご担当されていました。お疲れさまでした。

PK:「これまでは「もてぎエンジェル」が担当していたのだけど、今回のJoy耐では初めてエントラントから募集することになって。チームのご好意で応募してみたら、なんと1通だけだったとか(笑) でもやってみたら、すごく感激しました! 5分前、3分前、1分前と、3回ボードを持って立つのだけど、1分前のときはコース上からメカニックも全員退去しているので、すごく緊張感がある。視線を独り占めしている!って感じられて、あの「見られている感じ」は快感で、ヤミツキになりますね」

HS:「もっとアピールしたほうがいいよ!」と仰っていましたね。

PK:「終わってすぐ、モビリティリゾートもてぎのスタッフにお話しました(笑) グリッドボーイ&ガールの権利、きっと売れますよ!って。それくらい注目度は高いし、緊張感が味わえるし。オススメです」

初体験のJoy耐を終えてからもコメントいただきました!

最後にトラブルはあったものの、7時間を走りきった36号車と記念撮影。チームは早くも来年へのリベンジに燃えている

HS:初めてのJoy耐、お疲れさまでした!

PK:「お疲れさまでした。本当に楽しかった。まずは7時間の決勝レース、残り50分の時点でトラブルが発生したときはリタイアも頭をよぎったのですが、メカニックの皆さんが総出で修復している姿をピットで見ていて感動しました」

PK:「このJoy耐のレースウィークは本当に楽しくて、車両オーナーである内野徳昭さんを始め、岩間浩一さん、阿久津敏寿さん、坂井拓斗さん、そして支えていただいたメカニックやサポートの皆さんに心からお礼を言いたいです。チームの雰囲気がとても暖かくて、はやくも今年の夏の宝物ができたという感じです」

HS:ピエールさんご自身の、今後のモータースポーツ活動予定について教えてください。

PK:レースアナウンサーという仕事に責任感を持ち、今まで以上にしっかりやるという前提ですが、これからも時間を見つけてモータースポーツを楽しんでいきたいと思っています。今はラリーを年間3戦くらい参加しているのですが、周回レースとは全然違った緊張感や難しさ、そして面白さがある。基本的にやり直しが効かないから気が抜けないうえ、コースの状況は刻一刻と変化していくので、自分のなかに少しマージンを残しておかないと対処できなくなる。熱さと冷静さを併せ持つことが難しい」

PK:「そしてもちろん、日程があえば来年もJoy耐にはぜひ参加したいと思っています。今年は41位スタートから一時は11位まで上がることができた。僕も1時間30分くらい走らせていただき、すばらしい経験ができました。チームは早くも来年のリベンジに向けて始動しているようなので、僕もこっそりと練習しておきます(笑)」

(photo:Naoki Yukioka 雪岡直樹、text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)

HCMスポーツガレージ(TEL:059-371-6678)
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