【名車図鑑】左側のみスライドドアを備えた初代ステップワゴン。5ナンバー枠いっぱいの車体に3列シート装備で大人気!!
まもなく、2022年春には6代目モデルの登場が予定されているステップワゴン。詳細なスペックなどはまだ明らかになっていないものの、別記事でも紹介しているように、すでにメディア向け実車撮影会などが開催されており、内外装のデザインは披露されている。
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新型ステップワゴンは、新たに「AIR」のサブネームを冠した標準モデルと、スポーティなエアロを纏った「SPADA」の2モデル展開となる。直線基調で描かれたエクステリアデザインは、初代モデルを連想させる『原点回帰』のようだと話題となっているが、その原点である初代ステップワゴンが登場したのは1996年5月のことだった。
初代ステップワゴンは「クリエイティブ・ムーバー」シリーズ第3弾
かつて「ファミリーカー」の代表といえば4ドアセダンだったが、今やその存在はミニバンへと移行した。フロントシートの下にエンジンを搭載する「キャブオーバー」タイプの商用1BOXとは異なり、FF乗用車のシャシーを採用することで乗り心地や静粛性を高め、たっぷりとした室内空間を確保していることがミニバン人気のポイント。
その流儀を用いてミニバンブームの先駆けとなったのが、車体左側(助手席側)にのみスライドドアを備える、左右非対称のボディ形状が特徴の初代ステップワゴンだ。
1990年代中盤、ホンダは「クリエイティブ・ムーバー」シリーズと称し、既存の乗用車をベースに多人数が快適に乗ることのできる車種を次々に開発した。初代オデッセイ、初代CR-Vに続く第3弾として1996年に登場したのが、初代ステップワゴンである。
初代ステップワゴンはアコードのFFレイアウト・シャシーをもとに開発され、従来の1BOXとは異なりボンネットが突き出た「1.5BOX」とも言うべきスタイルを持つ。そのボンネットは低く設計されドライバーからの見切りが良く、運転のしやすさにも定評があった。
これぞスクエアフォルムというべきボディは、全長4605×全幅1695×全高1830mmと5ナンバーサイズに抑えられ、取り回しの良さをアピール。テールレンズはDピラーに沿った縦長タイプで、テールゲートを開けた状態でも後方から視認できるなど、シンプルながら機能性に基づいたデザインとされた。
グレードは車名に倣ってW/G/Nの3種類で、W/Gは3列シート8人乗り、ベーシックなNは2列シート5人乗り。W/Gの2モデルは、前から2/3/3となる3列シート8名乗員とされた。
2列目シートは、折りたたんで荷室を拡大することのできる「ポップアップシート」のほか、2+1配列で3列目シートとの対面レイアウトを可能とした回転対座シートも選択でき、ファミリー層を中心に高い支持を集めた。
広い車内空間を確保しつつ、ボディのねじれ剛性を高めるために後席スライドドアは助手席側のみとし、フロント両席以外はスイング式ガラスとするなどの工夫がなされていた。
エンジンはB20B型2リッター4気筒の1種類のみで、最高出力は125PS。トランスミッションは全車コラム式の4速ATというシンプルな構成。駆動方式はFFのほか、4WDもラインナップされた。
インパネまわりは機能的なレイアウトが印象的で、コラムシフトながらフロントシートはセパレート式を採用しているため、左右シート間を通って2列目シートへのアクセスが容易に行えるなど、ファミリーユースを意識した設計がなされていた。
多人数乗車を前提としたクリエイティブ・ムーバーらしく、車内のあちこちに小物入れなど実用装備が用意されていた点も、初代ステップワゴンの特徴だった。
助手席前方には上下2段の収納スペースが用意されており、上段はアシストトレイ付きのボックス、下段が一般的なグローブボックス。上段のフタを開くと、車内での飲食時などに便利なトレイとしても使用できた。そして2列目の右側はドアが設定されないぶん、ドリンクホルダーなどが充実していた。
1990年代後半のホンダを支える人気モデルとなった初代ステップワゴンは、’98年にはメーカー純正キャンパーというべき、ポップアップルーフを備えた「フィールドデッキ」を追加。その後も毎年のように特別仕様車を設定する。
そして1999年には、外装デザインの変更を中心としたマイナーチェンジが行われ、新たに「デラクシー」と「スピーディー」を設定。後者のスピーディーは専用形状のエアロパーツを装着し、内装もスポーティな仕立てとなっていた。
やがて2001年4月にフルモデルチェンジが行われ、2世代目へと進化。初代ステップワゴンは約5年の販売期間で、累計登録台数47万6611台を記録する大ヒット作となった。
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1996 STEPWGN W
SPECIFICATION
□全長×全幅×全高: 4605×1695×1830mm
□ホイールベース: 2800mm
□車両重量: 1460〜1520kg
□エンジン形式: B20B型直列4気筒DOHC
□総排気量: 1972cc
□最高出力: 125PS/5500r.p.m.
□最大トルク: 18.5kg-m/4200r.p.m.
□サスペンション型式(F/R): マクファーソン式/ウィッシュボーン式
□ブレーキ型式(F/R): ベンチレーテッドディスク/ディスク
□タイヤサイズ(F&R): 195/55R15
□新車時車両価格: 214万8000円
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(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)