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【21SEMA】次世代レーシングドライバーはシビックSiが育てる! HPD制作のレースカーが2022年にデビュー【動画】

2021年12月8日、アメリカホンダはHPD(ホンダ・パフォーマンス・デベロップメント)が制作したHPDシビックSiレースカーで、2022年のSRO TCアメリカシリーズに参戦すると発表した。

このHPDシビックSiレースカーは、2021年11月に開催されたSEMAショーのホンダブースにて展示された車両。市販モデルの新型シビックSiをベースにしており、外観からはノーマルの面影を強く残すワンメイクレース仕様を連想させるが、その中身は遥かにスパルタンだ。

新型シビックSiをベースにHPDによって開発されたレースカー。ボディサイドに描かれた93のゼッケンは、HPDの設立年である1993の意味か

SRO TCアメリカのほか、アマチュアツーリングカーシリーズ、クラブレースなどへの参戦を想定して開発されたHPDシビックSiレースカーは、ホワイトボディから組み上げられる純粋なレーシングマシン。アンダーボディコートや防音断熱材などは除去され、安全性確保のため車内にはHPD製ロールケージが装着されている。

SEMAショーで公開された車両は、レッド×イエローのカラーリングで彩られ、フロント/サイド/リアには市販モデルにも設定のあるHPD製アンダーボディスポイラーを装着。レースカー専用装備として、APR製の大型リアウイングや牽引フック、フロントバンパーにブレーキ冷却用のダクトが新設された。

そのフロントバンパーからは、大容量のHPD製アルミ製ラジエターを見ることができる。1.5リッターVTECターボのエンジン本体は変更ないが、HPD製のレース仕様ECUを採用。さらに駆動系ではCUSCOとの共同開発によるレース仕様LSD、Borlaと共同開発されたターボバック・デュアルアウトレット・エキゾーストを装着している。

そのほか脚まわりは、ビルシュタイン製の倒立ダブルアジャスタブルダンパーとアイバッハ製レースコイルスプリングの組み合わせ。フロントキャンバープレートやリアアッパーアームも交換され、セッティングの自由度を拡大している。

タイヤ&ホイールは、ベースモデルの18インチに対して17インチへとインチダウン。ホイールはMomo製「エトナ」で、サイズは17×8Jだ。タイヤはピレリ製DHHレーシングスリックで、245/620-17を組み合わせる。

ブレーキはウィルウッド製で、フロントには6ポットの軽量ブレーキキャリパーを装着。ディスクローターは2ピースのフローティングタイプで、レース仕様のブレーキパッドやHPDのステンレス製ブレーキホースが用意される。

インテリアに目を向けると、ドンガラの車内にはHPD製のロールケージが組まれるほか、OMP製クイックリリース式ステアリング、フルバケットシート、6点式シートベルト、車載消火システムなどを装備。メーターフード内にはAiMテクノロジー製のMXPメインディスプレイ、Motec製C125センターダッシュデータロガーが備わる。

今回、HPDは2022年シーズンのSRO TCアメリカシリーズへの参戦にあたり、レーサー養成学校のSBRS(スキップ・バーバー・レーシングスクール)とのパートナーシップを延長することも併せて発表した。

このSBRSは1975年に設立されて以降、全米規模で展開され35万人以上のドライバーを指導。45年を超える歴史において、近年ではアレクサンダー・ロッシ、ファン・パブロ・モントーヤ、AJ・アルメンディンガー、ジェフ・ゴードンなど、アメリカ国内のトップカテゴリーで戦うレーシングドライバーを数多く輩出している。

HPDが開発し、製造・販売を行うシビックSiレースカーは、アメリカ国内はもちろん世界各国の参戦可能なレースに合わせ、様々な仕様変更も可能とのこと。

シビックのレースカーといえば、長らく日本国内でもワンメイクレースが開催されており、多くのドライバーが腕を磨いた。現在でも各地のサーキットにてクラブマン・カテゴリーのレースが行われているものの、ワンメイクレースシリーズとしてはFD2型シビック・タイプRが最後となっている。

HPD製シビックSiレースカーの車両価格は発表されていないが、このマシンを使用して、またシビックのワンメイクレースが日本国内で見られるようになったら……。きっと日本国内のシビック人気は、さらに高まるのではないだろうか。

(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)