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【名車図鑑】ロールーフ・ピープルムーバーという新提案。走りの「アブソルート」も追加された3代目オデッセイ

2021年夏、ホンダがオデッセイの生産終了を発表した。前年の’20年秋にビッグマイナーチェンジを行ったばかりというタイミングだけに驚きも大きく、また25年以上に渡って生産され続けてきた人気モデルだけに、惜しむ声が広がっている。

そんな歴代オデッセイのうち、ホンダらしい「走りも良いミニバン」という印象を決定づけたのが3&4世代モデルではないだろうか。そこであらためて低全高ミニバンという新しいジャンルを確立した、3代目オデッセイを振り返ってみる。

ホンダのミニバンとして、ステップワゴンと双璧の存在となっているオデッセイ。初代モデルが登場したのは’94年のことで、当時は「クリエイティブムーバー」を名乗った。4輪ダブルウィッシュボーン式サスを採用するなど、初代モデルから走りを意識した設計がなされており、’99年に登場した2代目もコンセプトは継続。しかし’03年登場の3代目では一変し、機械式立体駐車場へ入庫を念頭においた低全高ミニバンとなった。

2代目モデルに対して80mmもの全高ダウンを実現した低床パッケージ。なかでも薄型を実現した燃料タンクの貢献度は高い。3列目シートは床下収納式で、折りたたむとステーションワゴンに匹敵するラゲッジスペースを作り出すことができた

ファミリー層を中心に人気を集めているミニバンだが、都市部では住居やショッピングセンターなどの駐車場に全高制限があるケースも多く、そんなニーズに応えるべく新開発の低床プラットフォームを採用。全高は2代目に比べて80mmも低くなり、1550mm(4WD車は1570mm)に抑えられた。それでいて室内空間は最大限確保されており、室内高はむしろ5mm拡大。大人7名が快適に乗れる3列シートレイアウトを採用している。

コックピットはアルファベットのMを思わせる曲線で構成され、シフトレバーはインパネに備えられる。トランスミッションはMおよびLグレードのFF車には7速マニュアルモード付きCVT、スポーティグレードのアブソルートおよび一部の4WD車はダイレクト感に優れる5速ATが組み合わされた。

標準モデルの最上位グレードとして設定された「L」では、外観上の違いは少ないが、内装やシート素材が上質なものとなるほか、全グレード中で唯一となる電動格納3列目シートを標準装備。さらにオプションでは電動開閉式テールゲートを選択することもできた。

エンジンは2.4リッター直列4気筒。標準モデルは160PS、アブソルートではハイオク仕様となり出力が200PSまで高められている

エンジンはK24A型直列4気筒のみ。標準モデルの最高出力は160PS、アブソルートは200PSを誇った。脚まわりは高い路面追従性が自慢のダブルウィッシュボーンで、低床パッケージとの組み合わせにより、スポーツセダンのような走りを楽しむことができた。

機械式立体駐車場への入庫も容易にした、全高1550mm(FF車)を実現した3代目オデッセイ。ヘッドライトも薄型とされ、クールな印象を強めている。写真はスポーティグレードのアブソルートで、17インチのタイヤ&ホイールが組み合わされる

それほど素性に優れたパッケージという証だが、この3代目では先代モデルの後期に追加されたスポーティグレード「アブソルート」が、当初から設定された。エンジンこそ標準モデルと同じK24Aながら、アブソルートではハイオク仕様として最高出力は200PSまで引き上げられている。

さらにコックピットまわりでは5速ATのセレクターレバーが本革巻き仕様とされたほか、アルミ製スポーツペダルを標準装備。オプションでRECARO製セミバケットシートを装着することもできた。

その後の2008年には、キープコンセプトとなる4代目へとフルモデルチェンジが行われ、生産を終了。日本のミニバン史に一石を投じた存在といえる3代目だが、2021年でもそのスタイリングは新鮮さを感じさせるモデルだ。

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2003 ODYSSEY ABSOLUTE(FF)
SPECIFICATION
□全長×全幅×全高:4765×1800×1550mm□ホイールベース:2830mm□車両重量:1640kg□エンジン形式:K24A型直列4気筒DOHC□総排気量:2354cc□最高出力:200PS/6800r.p.m.□最大トルク:23.7kg-m/4500r.p.m.□サスペンション型式(F/R):ダブルウィッシュボーン式/トーションバー式□ブレーキ型式(F/R):ベンチレーテッドディスク/ドラムインディスク□タイヤサイズ(F&R):215/55R17□新車時車両価格:260万円
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(text:HondaStyle magazine)