【21PPIHC】新型TSXタイプSも参戦! 第99回パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム【現地レポート】
100回記念大会まであと一回という、99回目の「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」が開幕した。
パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(PPIHC)は、アメリカ・コロラド州にある標高4302mを誇るパイクスピークという山を舞台に、1916年から開催されている伝統あるイベント。そのコースをだれが一番速く駆けあがるかを競うレースだ。
競技に使われるコースは、有料の山岳道路「パイクスピーク・ハイウェイ」の一部。つまり公道である。そしてゴールは、パイクスピーク・ハイウェイの終点でもあるパイクスピークの頂上となる。
今年で99回目を数えるPPIHCは、6月21日(月)に行われた車検日からスタートし、翌22日(火)からの3日間にわたって練習走行&予選、そして25日(金)に最後の練習走行が行われ、27日(日)の決勝日を迎えることとなる。
競技区間は総計約20kmとなるため、練習走行及び予選はこれをボトム/ミドル/アッパーと3つのセクションに分け、エントラントも3グループに分けて、各日ごとにそれぞれのセクションを入れ替えながら走行を行う。
なおコースは公道であり、大会期間中も日中は一般車両が通行する。そのため競技車両の走行時間は、各日ともに早朝5時半からの3時間と定められており、朝8時30分には走行セッションが終了する。全エントラントおよび関係者は、朝9時にはパイクスピーク・ハイウェイから撤収をし、ハイウェイの通常の営業を妨げないようにしなければならない。
練習走行および予選は、各スタートポイントから一台ずつがアタックをし、全車がセクションのゴール地点に上がったら、セクションのスタート地点まで一斉に戻り、再びワンカー・アタックという作業を繰り返す。3つのセクションのうちボトムセクションの走行は、そのまま予選セッションともなって、一部クラスを除いて、このボトムでのタイム順に決勝レースの進行が決められる。
そして今年のPPIHCにも、注目のホンダ車&アキュラ車が参戦をしている。ロビンソン・ブラザーズが率いるアメリカホンダの社内チームは、今回も4台の車両を持ち込んだ。
ジェームズ・ロビンソン選手(#902 2019年式 Acura NSX/タイムアタック1クラス)、ニック・ロビンソン選手(#173 2017年式 Acura NSX/エキシビジョンクラス)の兄弟は、今年もNSXで参戦。
ジェームズ選手のNSXは昨年からタイヤサイズの変更、冷却システムおよびソフトウェアのアップデートを行っている。ニック選手は特に変更はないというが、これまで目標としている市販車コースレコード(現在の記録は10分18秒5)を今年も狙うとしている。
昨年もアキュラTLXで参戦したジョーダン・ギター選手(#735 2021年式 Acura TLX/エキシビジョンクラス)と、ジャスティン・ランバート選手(#113 2021年式 Acura TLX/パイクスピーク・オープンクラス)は、ふたりとも発表されたばかりの新型TLX Type Sに乗り換えて参戦。
2台の新型TLX Type Sは、最高出力については違いはないものの、ジャスティン選手の車両はより大型化したタービンに換装しており、標高が上がった際のピックアップの良いマシンに仕上がっているとのこと。
日本でも記録を作ったシビックのタイムアタッカー、カナダのウイリアム・オゥーヤン選手(#13 2012 Honda Civic/アンリミテッドクラス)は、今回も2012年式シビックSiを持ち込んだ。ただし前回参戦したマシンは、昨年ロード・アメリカでのタイムアタック中にクラッシュしたため、今回は全く別の個体での参戦となっている。
今回、チーム&ドライバーともにルーキーとして参戦するのが、ブレッド・リッキー選手が駆る#29 S2000だ(#29 2000年式 Honda S2000/アンリミテッド・クラス)。もともとワールドタイムアタックに出場していた車両だが、今回のPPIHCでは、最高出力を600馬力ほどに落として(!!)臨む。目標は12分以下だ。
ホンダエンジンを搭載したスペシャルマシンで、2019年に最速タイムを叩き出し『2019年の山男』の称号を得たロビン・シュート選手(#49 2018年式 Wolf GB08 TSC-LT/アンリミテッド・クラス)も、もちろん参加。昨年は新型コロナウィルス感染症拡大のため、イギリスからの参戦は見合わせていたので2年ぶりの参戦となる。
今回は新しいエアロパッケージを投入しこれまでよりも50%ダウンフォースを強くしているという。搭載するエンジンは前回同様K20ターボ・エンジンである。
これらホンダユーザーが登場する第99回パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムは、現地時間6月27日(日)に決勝を迎えることとなる。
(photo&text:Yoshiaki AOYAMA 青山義明)