【NOC】2021年シーズンは新タイヤGOODYEAR E-Grip RVF02を導入! 第3戦(鈴鹿)では最後にアクシデントが…
現在、日本で唯一となっている軽自動車のワンメイクレースが『N-ONEオーナーズカップ(NOC)』だ。N-ONEのターボエンジン搭載車/FFをベースに、ロールケージやフルバケットシート、4点式シートベルト、牽引フックといった最小限の安全部品を装着した車両で行われる。今年からは従来モデルのJG1型に加え、新型のJG3型も混走となることで、さらに注目が高まっているレースだ。
そんなNOCの2021年シリーズ第3戦(鈴鹿)に、ホンダスタイル編集部はN-ONE Modulo Xをベースとした「#384 HCMホンダスタイルN-ONE」で参戦! 約1年ぶりとなるNOCに、新たにタイヤをGOODYEAR E-Grip「RVF02」へと新調して参戦した。
改造範囲が厳格に定められているNOCでは、使用できるタイヤも各メーカーから販売されているECOタイヤに限定される。現在、NOC参戦車両で多くを占めるのがヨコハマFLEVAで、そのほかブリヂストンREGNO、ダンロップRV505などが使用されている。
今回、384号車に装着したGOODYEAR「RVF02」は、昨年’20年に使用していた「RV-F」の後継モデル。従来製品のRV-Fは主にミニバンユーザーに向けて開発された製品であり、ドライ/ウェットとも決して抜きんでたグリップ力があるわけではないけれど、サーキット走行においてタイヤが滑り始める際の怖さが少なく、一言で表すなら「非常に素直なタイヤ」だった。
常に車両をコントロール下に置けているという安心感は、とくに僕のようなへっぽこドライバーにとっては何よりありがたい。それでいて市場での販売価格は前述の競合製品に比べて安いし、1セット4本で練習(専有走行2本)/予選/決勝という1レースの使用サイクルを2レース連続で使用できたほどライフも長かった。
そんなRV-Fの後継モデルだけに、RVF02での最初のレースとなる第3戦(鈴鹿)を非常に楽しみにしていたのである。
2021年4月24日、鈴鹿サーキットは初夏を思わせるほどの日差しに恵まれた。今回のNOCは『鈴鹿2&4』のサポートレースということで、場内は朝から賑わっていた。NOCはトップカテゴリーのサポートレースとして開催されることも多いため、大勢の観客の前で走ることができるのも、NOCの大きな魅力といえるだろう。
午前中に行われた予選には、全48台が出場。僕にとって鈴鹿サーキットを走るのは約1年ぶりで、RVF02のフィーリングは良いのに、まったくリズムに乗ることができない。久しぶりの参戦ということを差し引いても、我ながらコース前半の走りっぷりはイケておらず、384号車HCMホンダスタイルN-ONEは41位となった。
そこで決勝レースに向け、NOCのドライビングコーチとして帯同している、レーシングドライバーの中山友貴選手からアドバイスをもらった。ドライビングコーチは予選中に全参加者の走りを外から見ており、必要に応じてスキルアップのための助言をしてくれる。こういったサポートが充実しているのも、NOCの大きな魅力だ。
そのアドバイスをはじめ、パドックでは他のNOC参戦ドライバーとドライビングや車両について話したりできる時間は非常に楽しい。同じ趣味を楽しむ仲間たちとのコミュニケーションが図れるNOCは、「草レース」の魅力が詰まった本当に良いカテゴリーだと思う。
迎えた決勝、スタートで1台に抜かれたものの、中山コーチのアドバイスになったS字から逆バンク、ダンロップコーナーまでのライン取りを意識したところ数台のオーバーテイクに成功! RVF02に履き替えて最初のレースとしては上々だ!
そして最終ラップ、まもなくチェッカーというシケインに進入したところで、車両の右側から強い衝撃が!! 後方車両との距離はじゅうぶんにあったはずだけど、一体なにが起こったのか!!??
なんと最終ラップのシケインで、ブレーキ操作を誤った車両が後方からミサイルのように飛来!! もちろん避けることなどできずに思いっきり突っ込まれ、車両の右側が大変な状態に…。
接触の瞬間はなにが起きたのか理解できなかったが、ドアガラスは一瞬にして車内に飛び散り、ドアは車内側に向けて大きく変形してしまった。衝突時はステアリングを右に切っていたため、僕は手を挟むようなことはなかったのは不幸中の幸い。とりあえずチェッカーフラッグは受けようと、コース左側をヨロヨロと走ってフィニッシュ。
なんとかチェッカーフラッグは受けたものの、そのまま約1周を走ってパドックへと戻らなくてはならない。前述のとおりドライバーの僕に怪我はなかったけれど、変形した右ドアが車内に大きく変形しておりステアリングを持つ右手が通るスペースがない。
しかたなく左手の「送りハンドル」で右へ大きく曲がる1〜2コーナーをクリアし、その後の約1周を走ってパドックへと戻る。停車後も当然ながら右ドアは開かず、仕方なく助手席側から降りると、愛車の変わり果てた姿に唖然としたのだった……
フロントフェンダーやリアドアには大きな接触痕や変形は見られないものの、N-ONE Modulo Xはサイドシルやボディ本体に強いダメージが及んでおり、ロールケージもちょっと押されて変形している。修理するにも結構な作業が必要になりそうで、当然ながら金額もそれなりに…。はたして今後はどうなる!?(涙)
(photo:Yukio YOSHIMI 吉見幸夫 text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)
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