シビック・タイプRのエンジンが買える!! アメリカのHondaモータースポーツを支えるHPDがK20C1を単体販売開始!
2021年2月10日、ホンダの北米におけるモータースポーツ活動を担当するHonda Performance Development(HPD)は、レースやクローズドコースでの走行用として、K20C1エンジンの”クレートモーター”およびコントロールパッケージを販売すると発表した。
「クレートモーター」とはアメリカにおける自動車部品販売で多く使われる言葉で、エンジン単体のこと。クレートとは木製で作られた枠や箱の意味で、単体販売されるエンジンを木製の枠に固定して輸送するため、このように言われる。
一般的には補器類なども含んだ状態を指し、エンジンブロックにピストンやコンロッドを組み合わせただけの状態はショートブロック、さらにヘッドを組み合わせた状態はロングブロックなどと表記する。つまり今回のK20C1は補器類なども備えたオールインワン・パッケージだ。
FK2型シビック・タイプRより搭載されたK20C型エンジンは、タイプR用としては初のターボチャージャー付きユニット。FK2の後継として登場したFK8型シビック・タイプRにも搭載され、最高出力320PS/最大トルク40.8kg-mを叩き出す。
『世界最速FF』を開発コンセプトとするFK8型タイプR用に開発されたK20C1エンジンは、モータースポーツの世界でも活躍。HPDが開発したレース車両『シビック・タイプR TC』そして『タイプR TCR』のパワーユニットとして高い競争力を示している。
またフォーミュラマシン用エンジンとしても、世界各地で開催されているフォーミュラ・リージョナル・カテゴリーのアメリカ・シリーズにおいて使用されている。2018年にスタートした同選手権は、リジェJS F3シャシーにK20C1エンジンを搭載したマシンで争われている。
これまでの数年間、HPDが制作したK20C1エンジンは、Honda Racing Lineと呼ばれる限られたメンバーとレースチームのみが利用できた。しかし今回の発売によって、HPDでは『多くのチームやドライバーが、信頼性の高い換装用K20C1エンジンを手頃な価格で購入できる』と発表している。
このK20C1型クレートモーターには、ロングブロックのエンジンのほか、オルタネーター、ターボチャージャー、スターターモーターが付属する。コントロールパッケージには、HPDが開発したECU、エンジンスワップハーネス、アクセルペダルが含まれるとのこと。
また使いやすさを念頭に置いて開発されたHPD製ECUは、クローズドコースの走行用に製作された車両に簡単に搭載できるよう事前に調整されており、高い信頼性と走行性能を提供するとしている。
このK20C1エンジンとコントロールパッケージは、新たに設立されたHPDの公式ディーラーを通じて2021年5月1日より販売が開始される。
購入を希望するユーザーは、ディーラーに直接連絡してパッケージの購入が可能なほか、車両へのカスタムインストールに関する専門的な技術サポートを受けることもできるとのこと。
[販売ディーラー]
United Speed Racing https://www.unitedspeedracing.com/
Science of Speed https://www.scienceofspeed.com/
Mountune USA https://www.mountuneusa.com/
4Piston Racing https://4pistonracing.com/
海外からの購入からが可能かどうかはわからないが、もし日本への輸出にも対応してくれるとなれば、今後の『K型換装』チューンのトレンドは、K20AやK24AからK20C型へのコンバートへと変化していくのかも!?
(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)