欧州市場のみで販売される「もうひとつのタイプR」ことスポーツラインは、世界最高のグランドツアラーだ!
ホンダを代表するスポーツグレードとして、世界的な知名度を誇る「タイプR」。1992年に発売されたNSX-Rにルーツを持つタイプRシリーズは、インテグラやシビックに設定され、2020年現在はFK8型シビック・タイプRが発売中。タイプR史上初めて、欧州と日本、そして北米の三大マーケットで販売されている。
B16Bを搭載した初代シビック・タイプR(EK9)を第一世代、K20Aを搭載したEP3、FD2、FN2を第二世代とすると、先代のFK2よりK20C型2リッター・ターボを搭載している現行モデルは第三世代。そんな現行シビック・タイプRは、すべて英国スウィンドン工場で生産が行われ、そこから世界各地へ輸出される。そして2020年モデルでは、お膝元である欧州市場専売車種として、新たなグレード「スポーツライン」が追加された。
現行シビック・タイプRでは、320PSもの巨大なパワー&トルクを路面にしっかり伝えるべく、空力効果を追求したエアロパーツを積極的に開発。戦闘機あるいはロボットアニメのようと語られる巨大なエアロパーツは、デザインと機能を両立させたタイプRならではのフォルムと支持を集めるいっぽう、ちょっと大袈裟かも…と敬遠気味になるファンがいたことも事実。そこでホンダが用意したのが、このスポーツラインである。
欧州仕様のシビック・タイプRは、2020年モデルとして標準車となるGT、限定モデルのリミテッドエディション、そしてスポーツラインの3モデル展開。追加設定されたスポーツラインは、ローデッキタイプのリアウイングや19インチのタイヤ&ホイールのほか、フロント〜サイド〜リアのアンダースポイラーにグレーのラインを配することでシックな印象を強めている。
ベースとなっているのは2020年モデルのタイプRなので、2ピースタイプのフロントブレーキローターや開口部の拡大されたグリル、またインテリア素材にアルカンターラが採用されるといった2020年モデルの変更点は標準車と同じ。タイプRの圧倒的な運動性能は保ちつつ、ローデッキ仕様のリアスポイラーや19インチのタイヤ&ホイールにより、比較的おとなしめの外観としている。
インテリアも鮮やかなブラック×レッドを標準とするタイプRに対し、スポーツラインではブラックで統一しシックな印象。いっぽうステアリングやシフトブーツ、シートなどにはレッドステッチが採用され、タイプRファミリーらしい仕立てとなっている。
残念ながらスポーツラインは欧州仕様専売となる模様だが、「大人しめの外観を持つタイプR」は、日本国内でも人気を集めそう。購入するには並行輸入という形をとらなければいけないのは、ちょっと残念な気がする。
(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)