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【GT500】全車ウェイトハンデがゼロの最終戦、64号車Modulo NSX-GTの決勝レースは11位でチェッカー【動画】

新型コロナウィルスの感染拡大により、変則スケジュールで行われることとなった2020年のSUPER GTもいよいよ第8戦。例年であれば、最終戦はツインリンクもてぎで開催されるが、今年は富士スピードウェイにて行われた。

今季は富士スピードウェイで4度めの開催とあって、各チームとも走行データは蓄積されているものの、冬の訪れを感じさせる11月下旬の寒さがどう影響するのかは未知数。そしてGT500クラスは、最終戦を迎える時点で10チームにチャンピオン獲得の可能性があるという混戦ぶりとあって、どのチームが有利となるかは想像がつかない。

そんななか、64号車Modulo NSX-GTがシリーズタイトルを獲得するには、予選でのポールポジション獲得と決勝レースでの優勝が絶対条件。今季ここまで、鈴鹿サーキットとツインリンクもてぎでポールポジションを獲得しているだけに、富士スピードウェイでも「最速」を証明すべく、気合十分でレースウィークに臨んだ。

予選日の午前中に行われた公式練習では、地元レースとなるトヨタ勢が1位〜5位を独占! ホンダNSX-GTは6〜8位と続くも、64号車は路面温度の低さからタイヤグリップが上がらず、11番手。午後の予選に向け、チームはマシンのセットアップを進めていく。

午後に行われたQ1、まずは大津弘樹選手がステアリングを握る。チームの懸命な作業によりマシンの戦闘力は向上し、大津選手はホンダ勢で最上位となる5番手でQ1を突破。Q2を担当した伊沢選手も、慎重にタイヤを暖めつつタイムアタックを行い、同じくホンダ勢最上位となる5番手グリッドを獲得した。

公式練習に続き、予選上位をトヨタ勢が独占する結果となったものの、64号車は公式練習のパフォーマンスを考えると大きな進化。チームのピットには安堵の空気と笑顔が見られ、翌日の決勝レースにおけるさらなる飛躍を期待させた。

迎えた決勝レース日の天候は晴れ。レース開始時刻を迎えても気温は13度に留まり、風も吹いていたため防寒具無しでは観戦するのも寒すぎるほど。また路面温度は11度までしか上がらず、タイヤが暖まるまでにも時間がかかることが予想された。

64号車Modulo NSX-GTは、伊沢拓也選手が前半スティントを担当。やはりタイヤが暖まりにくいのかグリップが得られず、スタートから徐々にポジションを落としてしまう。しかしタイヤグリップが得られてからは上位マシンと遜色ないペースで周回を重ね、11位で大津選手にドライバーチェンジ。

後半スティントを担当した大津選手は、これまで決勝レースでは試したことのないコンパウンドのタイヤを装着し上位進出を目指すも、想定していたより早くタイヤ磨耗が進んでしまったこともあり、タイヤ交換を強いられ11位でチェッカーフラッグを受けた。

新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、レーススケジュールの変更をはじめ多くのイレギュラーがあった2020年シーズンだったが、昨季からドライバー・ラインナップを一新して挑んだ64号車Modulo NSX-GTは予選で2度のポールポジション、決勝レースの最高順位は2位を獲得と、確かな前進を感じさせる1年となった。

2021年のチーム体制はまだ発表となってはいないが、中嶋総監督をはじめ伊沢選手、大津選手ともに来季への決意を新たにしており、さらなる飛躍が期待される。


中嶋 悟 総監督コメント
「富士での戦いはやっぱり甘くなかったですね。まだまだ結果には繋げられませんでした。しかし、今シーズンはチームの成長を感じることができた1年でした。特に後半はそれが結果にも表れていたと思います。コロナの影響でスケジュールの変更がありましたが、皆様のご協力のおかげで最終戦を無事に終えられました。最後にいいところをお見せしたかったですが、来シーズンを楽しみにしていてください。最後に、見事逆転チャンピオンに輝いたチームクニミツのみなさん、おめでとうございます」


伊沢拓也選手コメント
「思ったよりもタイヤを温めることができず大きくポジションを落としてしまいました。ペース的にはこれまでよりは良かったと思いますが、スティントの後半ではペースを落とさざるを得ない状況でした。1年を通してみると、富士を攻略できなかったことは残念でしたが、予選でのスピードを見せることができたので、来シーズンはさらに上を目指していきたいと思います。1年間ありがとうございました」


大津弘樹選手コメント
「もう少し上位で争えると思っていたのですが、特にリヤタイヤの摩耗が激しくペースが上げられない状況が続いたためタイヤを交換することになりました。最終的にはポイント獲得まであと一歩というところで終わってしまいました。自分にとってはGT500のルーキーイヤーでしたがポールポジションと表彰台を獲得できて実りの多い1年でした。特に伊沢選手からは多くのことを学ばせていただき、自分なりに大きく成長できたと感じています。まだまだ課題は多いですが、来シーズンはそれを確実に克服していき、さらに上位を目指していきたいと思います」

(text:Honda Style magazine)