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【現地レポート】ランドスピードレコードのメッカ、ボンネビルソルトフラッツに行ってみた

『ボンネビル ソルトフラッツ』って聞いたことあるかな? 場所はユタ州だけれど、もうすぐ西がネバダ州という辺り。ユタ州の大都市ソルトレイクシティと、ネバダ州の小さな街・ウェンドーバー(カジノは多数)を繋ぐ、インターステイト80沿いが、もうほぼずーっと白くて平らな世界になっている。大昔にここは海だったってことだよね?

地殻変動があって海の水が陸地に封じ込められ、湖になった。それが干からびてソルトフラッツができた、と。グレイトソルトレイクの方は、内陸の水が大量に加わって、湖として残ったってことでしょう。

ソルトレイク側から走って行ったので、こういう景色が結構長いこと続いた。対向車線の向こう側も塩、塩、塩で、ここに線路敷いたり、道作ったりも相当大変だったはずとか走りながら考えていた。塩の上に土を敷いて土台を造らないとならないからね

どれぐらい長い年月がかかったのかは知らないが、塩水の湖が完全に乾燥して、塩が残されて固まった。その広さは30,000エーカー以上……。全然ピンとこない。めっちゃくちゃ広いです。とてつもなく。果てしない感じ。遠くに山は見えるけどね。州のサイトに「これはユタ州で最もユニークな自然です!」って宣伝が出てたけど、これって間違いなく世界でもかなりユニークな部類でしょ。

で、そこに「ボンネビル・スピードウェイ」はある。塩湖の西の端に。スピードウェイといっても、グルグル走り回るインディーカーやストックカーが走るタイプのサーキットではなくて、まっすぐ延々と突っ走るコース。スピードトライアル用だ。

フロリダ州デイトナビーチの平らで硬い砂浜でもスピードトライアルは長く行われていたけれど、コースから外れると海に入っちゃうし、陸地側に外れたとしたって結構危険。ボンネビルなら平らさ、広さで断然その手の競技に向いている。世界のメッカになって当然だった。

レンタカーでスピードウェイに入ってみた。地面? 湖面? いずれにしろ思ってたよりカチカチに硬かった。走ったところが凹む、とかはない。ハンドル切ったら、ちゃんと曲がる。塩に触ってみると、クルマの鍵とかで削れないほどではなかった。削るのは簡単じゃないけど、岩や石って硬さではない。クルマで旋回すると、白い塩に黒いタイヤの跡が残る。塩がレストエリアより白いのは、土埃が飛んでこないから?

ここは完全といっていいぐらいにまっ平ら=平坦で、多少コースから逸れたってぶつかるものなんて、まるでないから。塩は分厚く、硬い表面を作り上げているのでタイヤはグリップするし、トラクションかけ過ぎて凹んじゃうとかもないみたい。

ちなみにアメリカにおける地上最速の速度記録は、なんと時速763.035マイル(約1,227.723km/h)というから驚き! 残念ながらボンネビルじゃなく、ネヴァダのブラック・ロックって砂漠で記録されたものになってるという話だ。

砂漠にも延々平らで、路面が硬いところがあるのか……と思ったら、ボンネビルと同じく湖が干上がった土壌(=塩じゃなく、土)らしい。

ボンネビル・スピードウェイに到着するすぐ手前=ソルトレイク側にレストエリアがあって、インターステイトを走っていて人々が塩の上に出ているのが見えた。「これは自分も!」と高速を降りる。そして、まずは歩きで塩の上へ。そして、次に恐る恐るクルマを乗り入れてみた

ボンネビルは塩だから、草や木が生えていない。遥か向こうに見える岩山まで、ずーっと、ずーっと塩。雪で覆われた白銀の世界にパッと見は似てなくもないんだけど、来たのが9月だったから、ユタ、ネバダ界隈といったらカラッと暑い時期。そこに白い世界が延々と広がる景色。ここだけのものでしょ。不思議でもあり、感動的でもある。

冬には気温が氷点下まで下がることもあるそうなんで、そのコンディションだったら雪景色っぽいだろうな。でも、この地に冬に来る気にはなれないなぁ。ちょっと恐ろしい。

ボンネビルでは蜃気楼もよく見られる……という話。砂漠が水に覆われているように見えるのだろうか? 残念ながらそれは体験できなかった。でもまぁ、それを見なくたって十分にユニークな景色を堪能することができたから、満足度は100パーセントだった。

フリーウェイに戻って西に進むと、ボンネビルスピードウェイのサイン発見。側道を降りて一本道を数分走ると、そこがボンネビルスピードウェイ。看板意外に何の施設もなし。お土産などは、フリーウェイ降りてすぐのガソリンスタンドでたくさん売っていた

スピードウェイにはインターステイトを降りて数マイル走らないと行けないけれど、それだけの時間をかけなくてもソルトフラッツ体験は可能だ。スピードウェイの出口からすぐ東側にある、インターステイト80の休憩所(西に向かう方)で体験することができる。

「ここから塩湖上へどうぞ」という案内板とかはないけれど、行けば人々が塩の上を歩いているはずだし、クルマで乗り入れている人たちもたくさんいる。ただし、雨が降った後(そういう時もあるらしい)はちょっとスリリングかもしれない。

さすがはアメリカ、濡れて柔らかくなったところにわだちがクッキリ! フリーウェイ沿いで塩の上に出てみる無謀な人がいるんだね。慌ててフリーウェイに戻った……って痕跡を、何箇所かで見た。塩の下は泥で、場所によっては塩が少なく、柔らかいケースはあるという話なので、上記の場所以外では試してみないのが賢明と思う。

また塩の上に水がある場合は、クルマが傷むし、電気系がショートする可能性が考えられるそうなので、入らない方がいいみたいだ。なお最後に、ソルトフラッツ上でのキャンプは禁止だそうです。

(text:Hiko AMANO 天野雅彦)
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