【現地レポート】ホンダの地元、ミッドオハイオのダブルヘッダー。第11戦ではホンダがトップ5を独占!
当初、8月初旬に予定されていたHondaインディ200は、オハイオ州の判断で1週間前に延期が決定。9月第2週に1日6000人限定ながらファンをミッドオハイオスポーツカーコースに迎えて開催された。
ダブルヘッダー・レースながら2dayのコンパクトな日程とされ、土曜日がプラクティスと予選、さらに1レース目の決勝レース。日曜はプラクティスなしで予選と決勝が行われた。こうした状況ではチーム力が重要。ミスは小さなものでも挽回が難しいからだ。
涼しめの快晴下、ドライコンディションで行われたレース1では、強豪チーム・ペンスキーのウィル・パワー選手が自身60回目のポールポジションから優勝。2位はチームメイトのジョセフ・ニューガーデン選手だった。シボレー勢のワンツーフィニッシュ。ホンダ勢は、3位のアレクサンダー・ロッシ選手(アンドレッティ・オートスポート)が最上位で、3位〜7位と、9〜10位でゴールした。
日曜日に行われたレース2(シリーズ第11戦)は、朝の予選前に大雨。予定を少し遅らせたが、ハーフウェットでの勝負となり、コルトン・ハータ選手(アンドレッティ・ハーディング・スタインブレナー・オートスポート)がポールポジションを獲得。予選2位はサンティーノ・フェルッチ選手(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァン)となった。
続く3位はスコット・ディクソン選手(チップ・ガナッシ・レーシング)、4位がアレックス・パロウ選手(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・チーム・ゴー)、5位はフェリックス・ローセンクビスト選手(チップ・ガナッシ・レーシング)と、ホンダ勢が予選トップ5を占めた。
決勝レースのスタート時には空はもう快晴。完全ドライコンディションでのバトルとなったのだが、グリーンフラッグ直後に2番手スタートのフェルッチがパロウ、ローゼンクビストを巻き込むアクシデントを起こし、ディクソンが単独スピンで優勝争いから脱落……と、予選2位〜5位を占めたホンダ勢が上位から数多く姿を消した。
それでも先頭を行くハータを予選10位だったロッシ、予選8位だったライアン・ハンター-レイ選手(アンドレッティ・オートスポート)が追う展開になり、そのままアンドレッティ軍団の1−2−3フィニッシュが達成された。
4位には2日連続でグレアム・レイホール選手(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が入賞し、5位はマーカス・エリクソン選手(チップ・ガナッシ・レーシング)。レース2でのホンダは、予選とはメンバーが入れ替わったものの1−2−3−4−5フィニッシュを決めた。
コルトン・ハータはまだ20歳。デビュー2年目だけれど、これがもうインディカー通算3勝目。「今年は開幕からマシンが速かったのに、何かが起こって結果が出せなかった。今日は何もかもがうまく行った」と彼は喜んでいた。先輩チームメイトたちとの間隔を上手にコントロールしての、20歳とは思えない勝ちっぷりだった。
第104回インディ500ウィナーの佐藤琢磨選手(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、チームのミスが重なって力を発揮できなかった。レース1の予選ではアタックのためにコースインするタイミングが遅く、タイヤがベストの状態になる時にはセッションが終わっていて、予選18位。イエローが一度も出ないレースとなって17位フィニッシュ。
2レース目は得意のウェットコンディションの予選でタイヤの内圧など、セッティングが間違っていたようで、トップより10秒以上も遅いラップしか記録できず、ほぼ最下位の予選21位。レースでは序盤に出たイエローを利用してトップに躍り出たが、その後の展開が味方してくれることはなく、18位でのゴールとなった。
「トップを走った時には5秒以上のリードを築けた。でも、マシンをもっと速くしたかった」と、琢磨選手は自分たちの戦力を評価していた。勝つためには、あと少しスピードが足りていなかった……ということだ。
残り3レースは、インディアナポリスのロードコース(ダブルヘッダー)と、セントピーターズバーグのストリートコース。琢磨選手と30号車にはすべてのレースでトップ争いをしてもらいたい。最終戦セントピーターズバーグは、過去にポールポジション獲得経験もあり、琢磨選手が得意としているコースだ。
ディクソンは単独スピンで一時は20番手まで落ちながら、驚異的な追い上げでトップ10入り。2レースとも10位というのは、ミッドオハイオで6勝の実績を持つ彼にしたら納得のいかない結果だ。しかし、チャンピオン争いをしている相手、ニューガーデンはレース1でこそ2位フィニッシュをしたものの、レース2は8位で、ディクソンとの差は3レースを残して72点となっている。
いっぽうマニュファクチャラーのタイトル争いは、11戦中の7戦で勝利しているホンダが911点で、824点のシボレーをリードしている。
(text:Hiko AMANO 天野雅彦)
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