【動画】今年のマンス・オブ・メイが(バーチャルで)開幕。インディカーiRacingチャレンジ第6戦は最終周で大波乱!!
コロナウィルスの感染拡大を受け、シーズン開幕を見合わせているNTTインディカー・シリーズ。しかしその代替イベントとして、レースシミュレーターのiRacingとコレボレーションしたバーチャルレース・シリーズ『インディカーiRacingチャレンジ』が開催されている。
最終戦となる第6戦は、インディカー・シリーズの象徴ともいえるインディアナポリス・モータースピードウェイを舞台に開催された。インディカー・シリーズでは毎年5月を『マンス・オブ・メイ』の愛称で呼び、ロードコースのインディGP、そしてシリーズ最大のイベントであるインディ500で盛り上がる。
今回の『インディカーiRacingチャレンジ』では、インディ500と同じインディアナポリス・モータースピードウェイのオーバルコースを舞台に『ファースト・レスポンダー175』として開催され、レース距離は175マイルで争われた。
レースは実際のインディ500さながらに、スタンドには満員の観客が溢れ、頭上には抜けるような青空が広がる。そしてインディアナポリス消防署職員によるアメリカ国歌斉唱、そしてニューヨーク救急隊によるスタートコマンド『ジェントルメン、スタート・ユア・エンジン!』と続き、いよいよレースがスタートした。
実際のインディ500の約1/3弱というレース距離で争われるだけに、スタート直後からトップ争いは白熱。序盤は前戦で優勝を果たしたランド・ノリス(アロー・マクラーレン)とスコット・スピード(アンドレッティ・オートスポート)の新旧F1ドライバーによるトップ争いが展開される。
そして5周目には、昨年2019年は日本国内でSUPER GTやスーパーフォーミュラを戦い、今季よりNTTインディカー・シリーズに参戦予定のアレックス・パロウ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・チームゴウ)がクラッシュ。このレース初のフルコースコーションとなる。
コーション解除の後も飛び抜けた速さを見せるマシンはおらず、大きな集団でレースが続く。各所で順位の変動はありつつも淡々とレースは進み、動き出したのは残り20周を過ぎたころ。序盤から速さを見せていたスコット・スピードほか数台のマシンがクラッシュし、レースは再びフルコースコーションとなる。
残り14周の時点でいったんリスタートとなるが、2周後になんと10台以上が絡む多重クラッシュが発生。このレース3度目のフルコーションが出される。そして残り10周でリスタートを迎えると、各マシンが一気にペースアップ。グレアム・レイホール、シモン・パジェノーといったインディカーのレギュラー参戦組と、ランド・ノリスが激しいバトルを展開する。
すると熱くなりすぎたか、パジェノーとレイホールはまさかのクラッシュ! これでランド・ノリスが首位に立つと、後方からはオリバー・アスキュー、そしてパトリシオ・オワードが迫り、アロー・マクラーレンがなんとチーム1-2-3フォーメーションを築きあげる。
実際のレースであれば、ここでチームオーダーが発せられてもおかしくはない場面だが、インディカーiRacingチャレンジではお構いナシの大バトル。さらに3台の後方には、スコット・マクラフラン(チーム・ペンスキー)とマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が追い上げてくる。
そしていよいよ残り3周というところで、ランド・ノリスが周回遅れとなっていたシモン・パジェノーに激突してクラッシュ。そしてファイナルラップには、最後のコーナーであるターン4を抜けた先でトップ争いをしていた2台のマシンがクラッシュ! 3位を走行していたスコット・マクラフランはアクシデントを回避し、最後の最後でトップチェッカーを受けた。
続く2位はコナー・デイリー(カーリン)、そして3位にはトップ争いをしながらチェッカー目前でクラッシュしたサンティーノ・フェルッチ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・バッサー-サリバン)が3位に入った。
チームとして速さを見せたアロー・マクラーレンは、オリバー・アスキューが4位、パトリシオ・オワードが5位となっている。また、2017年(第101回)インディ500ウィナーである佐藤琢磨選手は、30位でレースを終えている。
全6戦が開催された『インディカーiRacingチャレンジ』は、残念ながら今回の第6戦が最終戦となった。いまだ現実のシリーズ開幕に向けては厳しい状況が続くが、まずは安全を最優先としつつ、一刻も早い開幕が期待される。
と同時に、バーチャル世界のレースとはいえ、実車さながらの熱いバトルを見せてくれた『インディカーiRacingチャレンジ』については、ぜひ今後も(オフシーズンなどに行うイベントとして)何らかのかたちで継続を期待したい。そしてできれば、さらなる日本人ドライバーの参戦が実現すれば言うことナシなのだが……。
(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)