【動画】ツインリンクもてぎ『インディジャパン』がバーチャルで復活! 佐藤琢磨選手はオーバーテイク連発で12位完走
世界的な脅威となっている新型コロナウイルス。その影響はモータースポーツにも及んでおり、ほぼすべてのカテゴリーでレース開催が見送られているなか、オンラインによるバーチャル世界でのレースが盛んに行われている。
アメリカおよびカナダを舞台に行われるNTTインディカー・シリーズでは、レーシングシミュレーターを手がけるiRacingとタッグを組み『INDYCAR iRacing CHALLENGE(インディカー iRacing チャレンジ)』を開催中。その第4戦の舞台がツインリンクもてぎのオーバルコースに決定し、さらに佐藤琢磨選手も参戦を発表したことで注目を集めていた。
レースはシモン・パジェノー選手(チーム・ペンスキー)が優勝。今回が初参戦となった佐藤琢磨選手(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は12位となったが、ここでは改めて、ツインリンクもてぎとインディカー・シリーズの関わりについて振り返ってみよう。
ツインリンクもてぎのオーバルコースを舞台に、アメリカンフォーミュラが初開催されたのは1998年のこと。当初はCARTシリーズの1戦としてスタートし、2003年からはIRL(インディ・レーシング・リーグ)の1戦となった。2010年まではオーバルコース、2011年は前年に発生した東日本大震災の影響により、ロードコースでの開催。1998年〜2011年にかけて全14回のレースが行われた。
全14回のうち4人のドライバーが複数回優勝を飾っており、延べ10人の優勝ドライバーが誕生。オーバルコースにおける最後の優勝ドライバーは2010年のエリオ・カストロネベス、2011年のロードコースではスコット・ディクソンが優勝を飾った。ふたりともツインリンクもてぎでは2度の優勝を果たしており、今回の「インディカー iRacing チャレンジ」第4戦にも参戦している。
そんな「インディカー iRacing チャレンジ」第4戦には、レギュラー参戦ドライバーのほとんどがエントリーリストに名を連ね、佐藤琢磨選手(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)も満を辞して登場。さらに一昨年の大クラッシュでリハビリ中のロバート・ウィケンスや、NASCARではトヨタ・カムリを駆ってチャンピオンを獲得したカイル・ブッシュなど、33名ものドライバーが参戦した。
113周(175マイル)で争われたレースは、ポールポジションのロバート・ウィケンスを先頭にスタート。これまでツインリンクもてぎのオーバルコースを33台ものマシンが走ったレースはなく、序盤から激しいバトルが各所で展開された。
2周目には、2010年インディジャパン・ウィナーのエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)がターン2の立ち上がりでバランスを崩し、そこに後続が突っ込む多重クラッシュが発生。ここに佐藤琢磨選手も巻き込まれてしまう。レースはフルコースコーションとなるも、佐藤琢磨選手はピットに戻ってマシンを修復しコースに復帰する。
レースでは2度のピットインが義務付けられており、折り返しが近くなる50周が近くなると、上位を走るマシンが次々とピットイン。マシン修復のためピット作業をすでに済ませていた佐藤琢磨選手は後方から順位を上げ、一時は3位まで浮上。その後、55周目にピットインを行った。
レースは終盤、前戦の第3戦ミシガンで優勝を果たしたシモン・パジェノーと、最後のインディジャパン・ウィナーであるスコット・ディクソンの一騎打ちとなる。
後方から果敢にアタックするディクソンを、パジェノーが巧みなライン取りでブロックするという図式が数周に渡って繰り広げられたが、パジェノーはそのままトップを守ってトップチェッカー。第3戦ミシガンに続いて2連勝を飾った。2位にはスコット・ディクソン、3位にはウィル・パワーが入った。
初参戦となった佐藤琢磨選手は、序盤のアクシデントにより一時は最後尾まで順位を落とすも、最後まで粘り強く走り切って12位で完走となっている。
実際のレースさながらのバトルが随所に見られ、また参戦しているドライバーたちからの評判も上々な「インディカー iRacing チャレンジ」。コロナウィルスの収束までは、まだしばらく時間がかかりそうな気配だけに、今後ますます盛り上がっていきそうな気配だ。
なお第5戦の舞台は、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で、2020年4月25日(現地時間)に決勝レースが行われる。COTAでは、2020年2月に実車にて開幕前の公式テストが行われており、そこでのデータをバーチャルの世界に活かして飛躍するドライバーやチームがあるのかについても注目だ。
(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)