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【TAS20】S2000だけじゃなくシビック・タイプRもリメイク!! 『夜に映える』をテーマにしたホンダアクセスの新提案

2020年の東京オートサロンにおいて、S2000の20周年を記念した『S2000 20th Anniversary Prototype』を展示したホンダアクセス。車両が置かれた北ホールのModuloブースは、会期を通じて来場者の波が途絶えることのないほど盛況となったが、S2000と並んで注目を集めたモデルが『CIVIC CYBER NIGHT JAPAN CRUISER 2020(シビック・サイバーナイト・ジャパン・クルーザー 2020)』だ。

S2000 20th Anniversary Prototypeが、市販化を前提としたパーツ開発として進められたのに対し、CIVIC CYBER NIGHT JAPAN CRUISER 2020は、ホンダアクセスによるカスタムトレンドの新提案として制作された。

ホンダ純正アクセサリーの開発・販売メーカーであるホンダアクセスでは、今回のオートサロンにおけるメインテーマを『乗り物で人と人とがつながる』とした。

そのメインテーマに則り、「世代をつなぐ」「生活をつなぐ」「こころをつなぐ」というコンセプトモデルとして展示した。つまりCIVIC CYBER NIGHT JAPAN CRUISER 2020は、とくに「世代をつなぐ」を強調して制作されたコンセプトモデルである。

よく見るとボンネット先端が水平な形状に変更され、グリルはGE型フィットを思わせる五角形形状となっている

EK9型のシビック・タイプRが発売されたのは、1997年のこと。東京オートサロン2020の23年前である。来場者の多くにとって、EK9型シビック・タイプRは「懐かしい」クルマだろうが、CIVIC CYBER NIGHT JAPAN CRUISER 2020は懐かしさだけでなく、現代の街中を走ってもカッコいいと思えるような内容に仕立てられている。

ベース車両の基本デザインに手を加えることはされていないが、新規制作された前後バンパーをはじめリップスポイラーやリアスポイラー、サイドミラーなど、外装で交換された部位は多岐にわたる。注目はサイドモール部分で、タイプRではボディ同色だった部分をあえてブラックに塗装。サイドステップや前後アンダースポイラーと合わせてグロスブラックで塗装し、ボディを薄く見せる効果を狙ったという。

前後の灯火類のアウトライン形状はベース車両と同じ。ただしライト本体は変更され、外周部分に白色LEDを装着。未来的な印象を強めると同時に、夜に「映える」フォルムを実現した。

テールレンズもヘッドライト同様、外周部分をLED化。さらにテールゲートはナンバープレートをバンパー下部に移設し、エンブレム類もすべて除去してスムージングすることでシンプルなラインが強調されている。

またリアスポイラーは、ベース車両に標準装備されるウイングタイプから、ルーフにベタ付けする形状に変更。先代EG6型シビックなどのアフターパーツによく見られた形状でもあり、車両を見た来場者からは懐かしいという声が多く聞かれていた。

マフラーもテールエンドをバンパー内に納めるタイプを新規制作。残念ながらエンジンサウンドを聴くことはできなかったが、ぜひ走る姿を見たいと思わせる仕上がりだ。

足元には、なんと現行インサイトの純正ホイールを装着。前後ともスペーサーなどは使用せずにそのまま装着している。センターキャップに描かれたロゴは、一見するとCIVICのように見えるが……じつは「CNJC」つまりCYBER NIGHT JAPAN CRUISERの頭文字を表しているという。

タイヤはYOKOHAMAのADVAN A052で、サイズは前後とも215/40R17を組み合わせる。EK9純正は195/55R15なので、タイヤ外径はほとんど変わっていない。

スタイリッシュさを強調しているサイドミラーは、S660の純正品を装着。ウインカー内蔵式ミラーであるため、EK9のベース車両に備わるサイドウインカーは外され、フロントフェンダーはスムージングされた。なおボディカラーは特別に作成したシルバーで、夜間に街中を走った際、夜景が美しく映り込む色を調合したという。

内装を見てみると、インパネ形状やステアリングには変更はないが、よくみるとメーター内部は完全に変更されている。S660のメーターがそっくり移設されているほか、メーター内にはCNJCのロゴも表示される。

レッドゾーンは7700r.p.m.からの表示となっており、S660の6MTモデルからの流用であることを連想させる。ちなみにEK9型シビック・タイプRのB16Bは8200r.p.m.がレッドゾーンだった。センターコンソールはベースモデルの形状を活かしつつ、大型のモニターパネルを設置。周囲もグロスブラック仕上げとされ、外観とイメージを合わせている。

EK9型シビック・タイプRといえば、純正でRECAROシートを備えることでも知られているが、そのシートも交換された。選ばれたのは、以前にホンダアクセスがSport Moduloブランドで販売したRECAROシートである。

リクライニングバケットシートの人気製品であるRECARO SR-7をベースに、サイド部をアルカンターラ、中央部をメッシュタイプとしたもの。運転席には座面のサイドサポートが高いスポーツタイプ、助手席には乗り降りがしやすいフラットタイプを装着している。

「若い世代のクルマ離れ」が言われて久しい現代だが、CIVIC CYBER NIGHT JAPAN CRUISERのベースであるEK9型シビック・タイプRが現役だったころは、クルマで出かけることが遊びの中心といってもいい。そのクルマ遊びには「ドライブに行く」「峠に行く」だけでなく、「夜に集まる」といった楽しみかたもあったことは間違いない。

『夜に映える愛車』というのは、クルマ好きにとって重要なファクター。それを改めて感じさせてくれ、これからの若い世代にもドレスアップカスタムのカッコよさを提案したCIVIC CYBER NIGHT JAPAN CRUISERは、まさに「世代をつなぐ」コンセプトモデルである。

(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)