【S-GT】歴史的なSUPER GT×DTM交流戦、大混戦のRACE2で64号車Modulo Epson NSX-GTが初優勝!!
かねてよりSUPER GTでは、欧州のDTMとのマシンレギュレーションを含めた交流を推進していたが、ついに史上初めてSUPER GT×DTMの特別交流戦が実現! 10月上旬にはDTMのホームであるドイツ・ホッケンハイムでレースが行われたが、今回はSUPER GT勢が富士スピードウェイでDTM勢を迎え撃った。
この交流戦には、SUPER GTからはGT500クラスに参戦している3メーカーの全マシン15台が参戦。DTMからはアウディとBMWが乗り込んできた。タイヤはハンコックタイヤのワンメイクとなっており、もちろんウェイトハンデもなし。そのため、SUPER GT勢のなかでの争いも注目された。
レースは土曜日と日曜日にそれぞれ決勝レースが行われ、64号車Modulo Epson NSX-GTは土曜日のRACE1に牧野任祐選手、日曜日のRACE2にナレイン・カーティケヤン選手が出走。牧野選手は不運なパンクチャーに見舞われてリタイアとなってしまったが、日曜日のRACE2ではナレイン選手が見事にトップチェッカー! 中嶋 悟総監督も笑顔で表彰台に登壇した。
レースウィーク前に行われたテスト走行では好調さを見せていた牧野選手だったが、予選では20番手。決勝レースを迎える午後になっても気温は上がらず、雨も降ったり止んだりを繰り返すなか、インディスタートによりRACE1の決勝レースが始まった。
2番グリッドからスタートするはずだったDTMのマシンがアクシデントで出走することができず、牧野選手はひとつポジションを上げることになったが、ウェットタイヤでスタートしたため、オープニングラップを終えるタイミングでピットイン、ドライタイヤを装着してコースに戻る。
コースに戻った牧野選手は20番手を走行。上位と変わらないタイムで周回を重ねたが、15分が経過する頃にタイヤトラブルが発生し緊急ピットインを強いられてしまう。再びタイヤ交換を行ってコースに戻るも、残り時間が13分を切るころに、タイヤの不具合で三度ピットイン。そのままレースを終えることになった。
そしてRACE2が行われた日曜日も、天候は朝から雨模様。予選はウェット宣言が出されるなかで行われた。ナレイン・カーティケヤン選手はウェットタイヤでタイムアタックを行い、3番手のタイムを記録。ポールポジションを獲った16号車MOTUL MUGEN NSX-GTは前日のアクシデントによりマシン交換を行っため、決勝レースはスタートグリッドが5つ降格となったため、64号車は2番グリッドからのスタートとなった。
ピットウォークが行われるころには一時は汗ばむような陽気となったものの、決勝レースの開始に向け、上空はまたしても雲に覆われだす。カーティケヤン選手は2番グリッドからスタートを切ると、2周目に入った1コーナーでポールポジションのDTMのマシンをオーバーテイクし、トップに躍り出る。
しかし9周目には落下物を回収するためセーフティカー(SC)が導入され、築いたリードはいったんリセット。SCは2周後に解除されレースが再開されると、カーティケヤン選手は再びトップを守りながら周回をしていく。
そしてカーティケヤン選手は19周目にピットインを行い、タイヤを交換してコースに復帰。しかしこのピット作業によりトップの座をDTMのライバルに奪われてしまう。逆転は難しいかと思われたが、翌周に他のDTMのマシンにトラブルが発生し、再びSCが導入された。
残り10分を切ってSCはコースから外れ、レースはリスタート。そのタイミングでトップのDTMのマシンがピットインをしたことで、カーティケヤンはトップに返り咲く。その後も、刻々と周囲が暗くなり気温も路面温度も低下するなか、カーティケヤン選手は集中力を切らさずに走り切り、見事にトップでチェッカーを受けた。
ナレイン・カーティケヤン選手にとっては、SUPER GT参戦初年度の締めくくりに初優勝を飾るとともに、64号車に今季初の優勝をもたらした。表彰台には中嶋 悟総監督も登壇。満面の笑顔を浮かべ、ナレイン・カーティケヤン選手をはじめ牧野任祐選手、そしてチームスタッフへの感謝の言葉を述べた。
開催前は様々な意見が聞かれたSUPER GT×DTMの交流戦だったが、全車が同じタイヤを履き、ウェイトハンデも無し。SUPER GTのシーズン終了後に開催された対抗戦とあって、接触も厭わない本場さながらのバトルが各所で勃発。超接近戦のインディスタートなど、手に汗にぎる展開は観客にも好評だったようで、はやくも来年の開催に期待する声が多く聞かれた。
来年2020年、SUPER GTは新たなマシン規定のもとで開催されるシーズンとなる。ホンダNSX-GTはエンジン搭載位置が変更され、ライバルと同じフロントエンジン&リア駆動(FR)レイアウトとなる。これまで以上に熱い争いが繰り広げられそうな2020年のSUPER GTに期待が高まると同時に、SUPER GT×DTMの今後の展開にも注目が集まる。
(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)