【GT500】最終戦は惜しくもポイント獲得ならず。64号車は12位でチェッカー
4月に岡山国際サーキットで開幕した2019年のSUPER GTシリーズは、ついに最終戦を迎えた。シーズン総決算の舞台となるのは、毎年恒例のツインリンクもてぎ。シリーズ最終戦にふさわしく、レースウィークの11月2-3日両日とも、秋晴れにふさわしい青空に恵まれた。
シーズン序盤は苦しい戦いが続いた64号車Modulo Epson NSX-GTだったが、苦しいながらも全戦で完走するなど高い安定感を見せていた。やがてシーズンが進むにつれタイヤとのマッチングが向上し、前戦の第7戦スポーツランドSUGOでは今季初表彰台となる2位を獲得。約1ヶ月半という長いインターバルを挟んで行われた最終戦でも活躍が期待された。
SUPER GTでは、各マシンが獲得したポイントに応じて次戦のウェイトハンデが決まり、この独特の制度が均衡した戦いを演出している。しかし第7戦ではウェイトハンデが累計の半分、そして最終戦では全てのマシンがウェイトハンデを非搭載というルールがある。シーズン序盤であれば、2位表彰台を獲得した次戦ではウェイトハンデに苦しむこととなるが、最終戦では全マシンがハンデゼロのガチンコ勝負。それだけに勢いに乗る64号車の活躍が期待された。
まずは11月2日に行われた予選で、64号車の予選Q1は牧野任祐選手がドライブ。ライバルたちがコースインするなか、ひと呼吸おいてピットを後にした64号車だったが、全車がウェイトハンデを載せない純粋なスピード勝負となったQ1で、1分37秒064をマーク。8番手のタイムを記録する。コースインしたタイミングは遅かったものの、タイムアタックに入った時間は早かったことから、ダンロップタイヤの暖まりの良さを感じさせた。
GT300のQ2を挟んで行われたGT500のQ2は、ナレイン・カーティケヤン選手が担当。気温と路面温度が下がり、タイヤグリップの低下が心配されるなか1分37秒028を記録し、7番グリッドから2019年最後のSUPER GT決勝レースに挑むこととなった。
翌日の決勝レース、事前の天気予報では下り坂と伝えられたものの、最終戦に集まった3万5000人を超えるファンの熱気も後押ししたか、午前中から美しい青空に恵まれた。日差しは11月とは思えないほど暖かく、ピットウォークやグリッドウォークでは上着を脱ぎたくなるほど。
スタート進行が始まるころには少し雲が広がり始めるものの、最終戦の恒例となった栃木県警の白バイとパトカーの先導走行を経て、決勝レースがスタートした。
今回の最終戦は、全8戦のうちもっともレース距離が短く、250km(53周)で争われる。そのためスタート直後からトップ争いが白熱するなか、7番グリッドからスタートした64号車Modulo Epson NSX-GTだったが、思うようにペースが上がらない。
スタートドライバーを勤めたナレイン・カーティケヤン選手がレース後に語ってくれたところによると、前日の予選時には良かったタイヤグリップが決勝では感じられず、なかなかペースが上がらなかったとのこと。スタート前は暖かさを感じるほどだった気温が、午後になると冷たい風が吹くなど下がってきたことも影響しているのか、後方からアタックをかけてくるライバル車両に次々と先行を許してしまう。
やがてナレイン・カーティケヤン選手は18周目終わりにピットイン。タイヤ4本交換と、牧野選手へのドライバーチェンジを行った。13位でピットアウトし、フレッシュタイヤでの巻き返しに期待がかかったが、症状は変わらず。牧野選手もペースに苦しみ、残り15周という時点でもう一度タイヤ交換を行った。レースはライバルマシンのリタイアもあり、12位でチェッカーフラッグを受けた。
チーム名が変更され、マシンのカラーリングやドライバー・ラインナップも一新された64号車。手探りで迎えたシーズンながら、第7戦では2位表彰台を達成し、シリーズランキングは12位となった。中嶋総監督、ナレイン選手、牧野選手をはじめチーム全員にとって、決して満足のいくシーズンではなかったかもしれない。しかしシリーズ8戦すべてで完走したことは、誇らしい結果といえるだろう。
(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)