大変革を迎える2020年のSUPET GT。ホンダNSX-GTはFRレイアウトへ
いよいよクライマックスを迎えている2019年シーズンのSUPER GTだが、現規定のマシンで争われるのは今年が最後。2020年は新たなレギュレーションに基づいたマシンが使用されることとなっている。
その新規定とは、かねてよりSUPER GTが進めているドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)との車両規則共通化に基づくマシンだ。2019年9月11日、鈴鹿サーキットにおいて国内3メーカーが揃って2020年仕様のマシンを発表した。
ホンダはこれまで通り、GT500クラスに『NSX-GT』で参戦。しかしその中身は大きく変更された。前述のようにDTMとの共通技術規則である『クラス1』に準拠したつくりとなっており、エンジンはフロントに搭載される。
駆動輪は従来どおりリア2輪で、ハイブリッドシステムも非搭載。つまり2020年からは、ホンダ・トヨタ(レクサス)・日産の3メーカーが同一の車体レイアウトで競い合うことになる。
2019年まで参戦を続けてきたNSX-GTのルーツは、2014年に参戦を開始したNSX-GT CONCEPTにある。この2014年から、GT500マシンの車両規則の一部はDTMと共通とすることが始まっていた。DTMの車両規則はFRに限定されているが、ホンダは最低車両重量を上積みすることを条件に特認を受け、市販モデルNSXと同様のミッドシップ・レイアウトおよびハイブリッド・システムを搭載して参戦した。
その後2016年シーズンよりハイブリッド・システムを非搭載としたが、ミッドシップ・レイアウトは変わっていなかった。もっとも唯一のミッドシップ・レイアウトを採用するがゆえに様々な論議を呼んでいたのも事実で、これで国内3メーカーが同じ土俵で競い合うかたちが誕生することになる。
9月11日に行われた発表会で公開されたNSX-GTは、あくまでショーカーモデルとのことだが、すでにマフラー出口が右ドアへと移されたほか、フロントグリルに開口部が設けられるなど、FRレイアウトへの変更に伴う違いが見受けられる。とはいえ、翌日に行われた3メーカー合同でのシェイクダウンテストには参加しなかったため、今後の開発次第でスタイリングは変更される可能性も高そうだ。
ホンダにとって、FRマシンでのSUPER GT参戦は2010−2013年の4シーズンにわたって参戦したHSV-010 GT以来となる。当時は参戦初年度となる2010年に、当時の18号車ウイダーホンダレーシング(小暮卓史/ロイック・デュバル組)がドライバーズ/チームの両タイトルを獲得しているが、果たして新生NSX-GTのデビューイヤーはどうなるだろうか。
なお2020年シーズンは、トヨタはレクサス・ブランドでの参戦に一区切りをつけ、マシンをLC500からGRスープラへ変更。トヨタ・GRスープラでGT500に参戦する。日産はGT-Rで変更はない。
(text:Kentaro SABASHI 佐橋健太郎)